2025年8月25日
いぼ痔は手術しないと治らないと思っていませんか?多くのいぼ痔は生活習慣の見直しや薬による治療で改善が期待できます。恥ずかしさや不安から病院に行けず、我慢を続けてしまう方も少なくありません。しかし、放っておくと症状が悪化し、かえって大がかりな治療が必要になることも。
本記事では、いぼ痔の基礎知識から手術が必要かどうかの見極め方、そして手術を避けるための具体的な方法までをわかりやすく解説します。

いぼ痔とは?手術が必要とは限らない
いぼ痔(痔核)は、肛門のまわりの血管のクッション部分(痔静脈叢)がうっ血し、腫れてこぶのように盛り上がった状態を指します。直腸から肛門にかけての血流が滞ったり、排便習慣に負担がかかったりすることで発症し、誰でもなり得る身近な病気です。
主に以下の2種類があります。
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内痔核(ないじかく)
肛門の内側(直腸側)にできる痔核。初期は痛みがほとんどなく、出血で気づかれることが多い
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外痔核(がいじかく)
肛門の外側にできる痔核。痛みや腫れを伴いやすい。血栓性外痔核と呼ばれる状態になることもある。
どちらも、軽度であれば薬や生活習慣の改善で治ることが多く、すぐに手術が必要になるわけではありません
例えば、排便後の出血が少しある程度で、痛みや腫れが軽ければ保存的治療で十分です。しかし、症状が長引いたり、日常生活に支障が出るようなら早めに医師に相談しましょう。
いぼ痔の進行度別|手術が必要かの見極めポイント
いぼ痔(特に内痔核)は、症状の進行度によって治療方針が異なります。
進行度は主にGoligher分類(ゴリガー分類)を用いて脱出の程度を基準に4段階に分類されます。それぞれの特徴と治療目安は以下の通りです。

Goligher分類 | 症状の特徴 | 主な治療法 |
Ⅰ度 | 排便時に出血するが脱出なし | 薬物治療・生活指導 |
Ⅱ度 | 排便時に脱出するが自然に戻る | 薬物治療・生活指導 |
Ⅲ度 | 脱出し手で押し込む必要あり | 注射療法・ゴム輪結紮術など |
Ⅳ度 | 常に脱出して戻らない | 手術治療が中心 |
早期の段階であれば、多くの場合は手術をせずに治療可能です。しかし、Ⅲ度以上になると保存療法だけでは改善が難しく、手術を選択することが現実的になります。
いぼ痔を手術せずに治す方法
いぼ痔(痔核)の主な原因は「排便時のいきみ」「便秘」「下痢」「血流うっ滞」にあります。いぼ痔の多くは、日常生活の見直しと薬による治療で改善が見込めます。
以下の方法を実践することで、手術を避けられるケースも少なくありません。
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排便習慣の改善
毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつけ、いきまずに排便できるよう心がけます。
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食生活の見直し
食物繊維や水分をしっかり摂り、便をやわらかく保つことで痔への負担を減らします。
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処方薬の使用
座薬、軟膏、内服薬などを症状に応じて使うことで、出血や腫れ、痛みを和らげます。
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入浴・温熱療法
肛門まわりの血流を良くし、腫れや違和感を軽減します。シャワーよりも湯船につかるのがおすすめです。
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運動不足の解消
血行を促進し、肛門のうっ血を防ぐためにも、ウォーキングなどの軽い運動を習慣にしましょう。
こんな症状があれば手術が必要かも?見極めサイン
いぼ痔の多くは保存的治療で改善しますが、以下のような症状がある場合は、手術を検討すべきタイミングかもしれません。自己判断せず、専門医の診察を受けましょう。
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排便のたびに大量の出血がある
貧血になるリスクがあるほどの出血は、手術適応となる可能性があります。また、痔核以外の出血源がないかどうかを併せて確認することも重要です。
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脱出した痔が戻らない
Ⅳ度痔核の可能性があり、自然治癒は困難です。また、内痔核が肛門の外に脱出して元に戻らず、強く腫れて血流障害を起こした状態を嵌頓痔核と呼び、これは緊急性を要することがあります。痔核が肛門括約筋に締め付けられることで血流が滞り、腫脹や壊死に至ることもある重症の合併症です。
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激しい痛みや腫れが長期間続いている
外痔核に血栓ができている(血栓性外痔核)、または嵌頓痔核の可能性があります。
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保存療法を数ヶ月続けても改善しない
薬や生活改善で効果がない場合、外科的処置が必要になることもあります。
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日常生活や仕事に支障が出ている
痛みや不快感が強く、生活の質が落ちている場合は手術による根本治療を検討します。
手術を避けたい方に伝えたい3つの注意点
いぼ痔の手術を避けたいと考えている方は多いと思います。
しかし、適切な対処をしなければ症状が進行し、結局手術が必要になることも。以下の3つの注意点を意識することで、手術を回避できる可能性が高まります。
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便秘や下痢を放置しない
便秘も下痢もいぼ痔を悪化させる要因です。水分・食物繊維の摂取や、腸内環境を整える食生活を心がけましょう。
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長時間の同じ姿勢を避ける
デスクワークや車の運転など、長時間座りっぱなしは肛門の血流を悪化させます。1時間に1回は立ち上がって軽く動きましょう。
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早めに医療機関を受診する
恥ずかしさや怖さから放置してしまうと、症状が悪化して手術が必要になることもあります。早期であれば保存的治療で改善できる可能性が高くなります。
これらを意識することで、いぼ痔の進行を防ぎ、手術のリスクを大きく下げることができます。
肛門診療は恥ずかしくない!
肛門の診察と聞くと「恥ずかしい」「勇気が出ない」と感じる方が多いかもしれません。しかし、いぼ痔の治療は早期の受診が何よりも重要です。
当院では、患者様が安心して診察を受けられるよう、配慮した診療環境を整えています。
特に女性の患者様が不安を感じやすいことをふまえ、プライバシーを守る個室の診察室はもちろんのこと、検査には女性スタッフが付き添い、細やかな気配りを徹底しています。
また、診察時には必要な部位以外は露出しないよう配慮。診察前には丁寧に流れを説明し、不安を軽減することを心がけています。また、大腸カメラの検査時の同時診察の場合、鎮静剤で眠っている間に一緒に済ませることも可能です。
「こんなこと相談していいのかな」と思うことでも、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
いぼ痔は決して珍しい病気ではなく、多くの方が悩んでいます。しかし、「手術が必要なのでは」と不安に思って受診をためらう方も少なくありません。実際には、いぼ痔の多くは薬や生活習慣の改善で治療可能であり、早期の対応が手術を避けるカギとなります。
進行度によって治療法は異なりますが、自己判断せずに医師の診察を受けることが何より重要です。出血が多い、脱出が戻らないなどの症状があれば、早めに受診することで適切な治療につながります。
当院では患者様のプライバシーと安心を第一に考え、女性の患者様にも配慮した診療体制を整えています。恥ずかしさから受診をためらわず、ぜひお気軽にご相談ください。
よくある質問
軽度であれば、生活習慣の見直しや薬の使用で自然に改善することがあります。ただし、症状が長引く場合は医師の診察を受けましょう。
脱出した痔が戻らない、出血が多い、強い痛みが続くなどの場合は手術を検討します。Ⅲ度以上の進行度になると手術の選択肢が現実的になります。
初期症状であれば市販薬でも効果が見られることがありますが、自己判断に頼りすぎると悪化する恐れもあります。改善が見られない場合は医療機関の受診をおすすめします。