2025年11月20日
便が固くて出ない。トイレに長時間座っても、なかなか出てこない。
こんな状態が続くと本当に辛いと思います。排便のたびに痛みを感じたり、お腹が張って食欲が落ちたりすることもあります。
固い便を無理に出そうと強く力むと、痔や失神(迷走神経反射)につながることがあります。
この記事では、固くなった便をスムーズに出す方法と、やってはいけない対処法、そして便秘を繰り返さないための生活習慣について解説します。

固い便で悩んでいる方
便が固くて出ない悩みは、多くの方が経験しており、日本人の約3人に1人が便秘の症状を抱えているとされています。
特に女性や高齢者に多く見られますが、最近では若い世代でも食生活の変化やストレスから便秘に悩む方が増えています。
下記のような症状に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
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排便時に強く力まないと出ない
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便が小さく固い塊になっている(ブリストルスケール1〜2)
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排便後もすっきりしない
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トイレに行くのが怖い
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お腹が張って苦しい
固い便は単なる不快感だけでなく、放っておくと痔や直腸粘膜脱症候群、腸の機能低下につながることもあります。「ただの便秘」と軽く考えず、適切に対処することが大切です。
便秘症の方には下記の症状があります。
これらの症状が続いている場合は、対策が必要です。
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排便回数が週3回未満
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便が硬くて出にくい
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強くいきまないと出ない
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排便後もスッキリしない感じ(残便感)がある
固い便をスムーズに出す方法
1.朝起きたら水を飲む
コップ1杯の水を飲むと、腸が刺激されて動き出します。
冷たい水よりも常温の水や白湯の方が、お腹に優しいです。
1日に1.5〜2リットルを目安に、こまめに飲むのがコツです。
2.トイレで足元に台を置く
便座に座るとき、足元に台を置いてみてください。高さは10〜15センチくらいで大丈夫です。
膝を股関節より高くし前傾すると直腸肛門角が開き、便が出やすい角度になります。雑誌を重ねたもので十分です。
3.お腹を温める
カイロをお腹に当てる、お風呂でお腹をマッサージする、温かい飲み物を飲むなどになります。
腸の動きが活発になります。
4.軽く体を動かす
散歩やストレッチ、腹圧を高めすぎない体幹運動は便通改善に効果的です。
体を動かすと、腸も一緒に刺激されます。
やってはいけない対処法
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長時間いきみ続ける
5分以上ずっと力み続けると痔が悪化したり、血圧が急に上がったりする可能性があります。特に高血圧や心臓に持病がある方は注意が必要です。出ないと感じたら、一度トイレから出て時間を置いてから再トライしましょう。
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刺激性下剤を毎日使う
刺激性の下剤を毎日使い続けると、腸が薬の刺激に慣れてしまいます。
自然な排便ができなくなり、強い薬が必要になる悪循環に陥ります。下剤に頼る前に、まずは生活習慣を見直すことが大切です。ガイドラインではまず浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロース、PEGなど)を第一選択とし、刺激性下剤はオンデマンドでの使用が基本とされています。
便が固くなる主な原因
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腸内の善玉菌が減っている
加齢に伴い、ビフィズス菌などのいわゆる“善玉菌”は減りやすいことが報告されています。また、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸は蠕動を促すため、善玉菌バランスの乱れ(ディスバイオーシス)は便秘に関与しうると考えられます。
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食事の時間がバラバラ
朝食を抜いたり、夕食が遅かったりすると、腸のリズムが乱れます。食事時間が不規則だと、排便のタイミングも定まりません。
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トイレを我慢する癖
便意があっても我慢すると、直腸が鈍感になります。繰り返すうちに、便意そのものを感じにくくなってしまいます。
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長時間座っている
長時間座る生活は、排便に必要な筋肉を弱らせます。デスクワークの方は特に注意が必要です。
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冷たい飲み物ばかり飲む
冷たい飲み物は腸の動きを鈍らせます。常温や温かい飲み物の方が、腸の働きを助けます。
固い便を予防する生活習慣
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朝起きて30分以内に朝食
起床後すぐに食べることで、腸が目覚めます(胃結腸反射)。
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大さじ1杯のオリーブオイル
便の滑りがよくなります。
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水溶性食物繊維と十分な水分
オーツ麦、海藻、果実などの水溶性食物繊維と十分な水分を合わせて摂取することで便が適切な柔らかさになります。
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毎日同じ時間にトイレ
体が排便のリズムを覚えていきます(排便リズムの再学習)。
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お腹を「の」の字マッサージ
寝る前やお風呂で、おへその周りを時計回りに優しくさすってください。腸の流れに沿って刺激できます。
こんな症状があれば医療機関へ

次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
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1週間以上排便がない
お腹が張って苦しい、吐き気がする場合は特に注意が必要です。腸閉塞の可能性もあります。
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便に血が混じる
痔だけでなく、大腸の病気が隠れていることもあります。
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激しい腹痛がある
我慢できないほどの痛みや、冷や汗が出るような痛みは危険信号です。すぐに受診してください。
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急に便秘になった
今までそんなことなかったのに、急に便秘になった場合は要注意です。特に50歳以上の方は、大腸がんなどの可能性も考える必要があります。
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便が細くなった
いつもより明らかに細い便が続く場合は、腸に何か問題がある可能性があります。
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体重が減ってきた
便秘と一緒に体重が減少している場合は、必ず医師に相談してください。
まとめ
固い便は、生活習慣の見直しで改善できます。
朝起きてすぐの水分補給、トイレでの姿勢の工夫、お腹を温めることから始めてみてください。長時間力んだり、刺激性下剤を毎日使ったりするのは避けましょう。
強いいきみは避け、1週間以上排便がない、便に血が混じる、激しい腹痛がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
便秘は放っておくと、痔や腸の病気につながることもあります。
よくある質問
便の回数よりも、適切な柔らかさで出ているか?お腹の張りや残便感などの不快感はないか?などが便秘の指標となります。
ただし、適切な柔らかさであっても普段の排便習慣からの変化があった場合は注意が必要です。
一時的な使用は問題ありませんが、頻繁に使う必要がある場合は医療機関を受診してください。
根本的な原因を見つけて、適切な治療を受けることが大切です。
まずは水分と食物繊維の摂取を見直しましょう。
改善しない場合や、排便時に痛がる、出血や嘔吐がある場合は小児科を受診してください。
過敏性腸症候群などの可能性があります。一度、消化器内科を受診してください。



