2026年2月03日
「胃カメラは全身麻酔でできますか?」というご質問をいただくことがあります。多くの場合、これは「完全に眠って、検査中の記憶がない状態で受けられますか?」という意味で尋ねられていることが多い印象です。実際、胃カメラでは鎮静剤(静脈鎮静)を使うことで、ウトウトした状態になり、検査中のつらさや不快感を大きく軽減できます。体感としては「眠っているように感じる」方も多く、検査後に「ほとんど覚えていない」というケースも少なくありません。ただし、医学的には、手術で用いられる全身麻酔(意識を完全に失わせ、呼吸管理を行うことがある麻酔)とは異なります。鎮静は、不安や緊張を和らげて検査を受けやすくする方法であり、鎮静の深さには個人差があります。
この記事では、胃カメラ検査で使う鎮静剤と全身麻酔の違い、鎮静剤を使った検査の安全性、そして当院での取り組みについて詳しくご説明します。

胃カメラは全身麻酔ではない?鎮静剤との違い
胃カメラ検査で「麻酔をしてもらえますか?」とご希望される方は少なくありません。
しかし、一般的な胃カメラ検査で使用しているのは全身麻酔ではなく「鎮静剤」という薬です。
全身麻酔は、主に手術の際に使われる麻酔方法で、呼吸管理(気管挿管や人工呼吸など)が必要となあり、麻酔科医の管理のもと、設備の整った環境で実施されます。
一方、鎮静(静脈鎮静)は、検査への不安や緊張を和らげるための方法です。ウトウトとした状態になり、検査中のつらさが軽減されることが多く、検査後に「ほとんど覚えていない」と感じる方もいます。
多くの場合、「完全に眠って、検査中の記憶がない状態で受けられますか?」という意味で尋ねられていることが多い印象で、体感としては「眠っているように感じる」こともある点で、患者さんのイメージとしては近い部分があります。
ただし、鎮静は全身麻酔とは目的と管理が異なるため、同じものではありません。鎮静の深さには個人差があり、浅い眠りのように会話ができる程度の場合もあれば、より深くなることもあります。安全に行うために、検査中は心電図・血圧・酸素飽和度などを確認しながら実施します。(注:鎮静には呼吸が浅くなる、血圧が下がるなどのリスクもあるため、既往歴や体調に応じて慎重に判断します)
なお、胃カメラでは鎮静剤とは別に、のどの反射を抑える局所麻酔(いわゆる“のどの麻酔”)を併用することも一般的です。これは「眠るための麻酔」ではなく、検査を受けやすくするための工夫です。
全身麻酔は通常の胃カメラ検査では一般的ではありません。鎮静剤を使用した検査であれば日帰りで受けられ、検査後は回復室でお休みいただいたうえで、ふらつきがないことを確認してからご帰宅いただけます。(注:回復までの時間には個人差がありますが、検査後30分から1時間程度で目が覚め、お帰りいただけます)
鎮静剤とは?
鎮静剤は、神経の興奮を鎮めて、リラックスした状態にする薬です。胃カメラ検査では、検査に対する不安や緊張を和らげ、ウトウトとした状態で検査を受けていただくために使用します。
鎮静剤の効き方には個人差があります。年齢、体格、体調、その日の睡眠状況、持病、併用薬などによって効果や必要量が変わるため、事前の問診がとても重要です。
また、睡眠薬や抗不安薬(特にベンゾジアゼピン系など)を常用している方では、体が薬の作用に慣れてしまう「耐性」が生じ、同系統の鎮静剤(ベンゾジアゼピン系)が効きにくくなることがあります。
さらに、常習的な飲酒習慣のある方では、アルコールとベンゾジアゼピン系薬剤が脳内で落ち着きをもたらす仕組み(GABA_A受容体など)に関わる点が共通しているため、交叉耐性(同じ系統の作用が効きにくくなる状態)が起こり、鎮静効果が減弱する傾向があります。
そのため当院では、患者さんお一人お一人の体質や体格、飲酒習慣、内服薬、過去の鎮静経験などを確認したうえで、安全性を最優先に投与量や薬剤を調整して使用しています。(注:一方で、体質や併用薬・肝機能などによっては効きすぎる場合もあるため、自己判断での内服中断や増減はせず、必ず事前に申告してください。)
鎮静剤を使うことができない/慎重な判断が必要な方
鎮静剤は多くの患者さんに安全に使用できますが、一部の方には使用できない、または慎重に判断が必要な場合があります。
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検査当日に車やバイク、自転車を運転される予定がある方
鎮静後は眠気や判断力低下が残る可能性があるため、当日は運転できません。公共交通機関または付き添いでの来院をお願いします。 -
妊娠中または妊娠の可能性がある方
原則として、妊娠中は内視鏡検査そのものを慎重に検討します(緊急性が低い場合は延期が基本です)。ただし、吐血・黒色便(タール便)・進行する貧血など緊急性が高い症状がある場合は、母体の安全を優先して、産科とも連携のうえで必要最小限の検査として実施が検討されることがあります。(注:検査の必要性・時期・方法は、症状と妊娠週数を踏まえて医師が総合的に判断します) -
授乳中の方
鎮静で使用する薬剤は母乳へ移行する可能性があるため、当院では安全性を最優先し、原則として検査後72時間は断乳をお願いしています。(注:事前に搾乳して保管しておく/ミルク併用などで対応をご相談ください) -
重度の心臓病・肺の病気(COPDなど)、腎臓病・肝臓病などがある方/高齢で全身状態が不安定な方
鎮静により呼吸や血圧が変動する可能性があるため、安全性を優先して、鎮静なし・方法変更・高次医療機関での実施をご提案することがあります。 -
鎮静剤や麻酔薬にアレルギーがある方
(注:当日の体調、既往歴、内服薬、過去の鎮静経験などをふまえて最終判断します)
胃カメラが怖い、不安と感じる方
「胃カメラは苦しい」「怖い」というイメージをお持ちの方は少なくありません。過去に胃カメラでつらい経験をされた方や、周囲から話を聞いて不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
当院では、そのような不安を少しでも和らげるために、様々な工夫をしております。
まず、鎮静剤を使用することで、ウトウトとした状態で検査を受けていただけます。多くの患者さんが「検査中の記憶がほとんどない」「思っていたより楽だった」とおっしゃいます。
また、最新の内視鏡システム「ELUXEO 8000」を導入し、高精細な画像と画像強調観察を活用して、必要な観察を丁寧に行いながら、患者さんの負担軽減にも配慮しています。
当院の胃カメラのメイン機種として採用している「EG-840TP」は、高画質を保ちつつ細径(先端径7.9mm)で、体格や咽頭反射の程度に応じて、経口検査の負担を抑えることが期待できる機種です。
検査前には丁寧にご説明し、患者さんの不安な気持ちに寄り添いながら進めてまいります。日本消化器内視鏡学会専門医である医師が、すべての検査を担当しておりますので、安心してお任せください。
初めて胃カメラを受ける方、過去につらい経験をされた方こそ、ぜひ一度ご相談ください。皆様が安心して検査を受けられるよう、スタッフ一同サポートいたします。
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。胃カメラ検査をはじめとする消化器のトラブルに対応しています。
当クリニックの特徴
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消化器専門医による診療
日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医が、丁寧に診察いたします。 -
内視鏡検査が可能
胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます。最新の内視鏡システム「ELUXEO 8000」を導入し、高精細な画像で病変を早期発見します。 -
土曜日・日曜日も診療
平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています。 -
鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査
鎮静剤を使用し、ウトウトとした状態で楽に検査を受けていただけます。
こんな症状があればご相談ください
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胃の痛みや不快感
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胸やけ、吐き気
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食欲不振、体重減少
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胃カメラ検査が怖い、不安がある
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健診でバリウム検査の異常を指摘された
お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
詳しくは公式サイトをご覧ください。まとめ
胃カメラ検査で使用しているのは全身麻酔ではなく「鎮静剤(静脈鎮静)」です。全身麻酔は意識を完全に失い呼吸管理が必要になりますが、鎮静剤はウトウトとした状態で不安や緊張を和らげ、検査を受けやすくする方法です。
鎮静剤を使用することで、検査に対する不安や緊張を和らげ、不快感を大きく軽減できます。多くの患者さんが「検査中のことをほとんど覚えていない」「楽だった」とおっしゃいます。ただし、効き方には個人差があり、特に、睡眠薬や抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など)を常用している方や、常習的な飲酒習慣のある方では、鎮静剤が効きにくい場合があります。そのような場合でも、当院では患者さんの体質や既往歴、内服薬、過去の鎮静経験などを踏まえ、鎮静剤の種類や投与量を調整しながら、安全性を最優先に対応しています。
検査当日に運転される方、妊娠中や授乳中の方、重度の心臓病や肺の病気をお持ちの方など、一部の方には鎮静剤を使用できない場合があります。
「胃カメラは怖い」というイメージで検査を先延ばしにされている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。当院では皆様が安心して検査を受けられるよう、丁寧にサポートいたします。
よくある質問
鎮静剤の効果には個人差があります。完全に眠ってしまう方もいれば、ウトウトとした状態の方もいらっしゃいます。当院では患者さんの体質や既往歴、内服薬、過去の鎮静経験などを踏まえ、鎮静剤の種類や投与量を調整し、苦痛を感じにくい状態で検査を受けていただけます。
検査後、リカバリールームで30分から1時間程度お休みいただきます。目が覚めて、ふらつきがないことを確認してからお帰りいただけます。
鎮静剤を使用した場合、検査後もぼんやりした感覚が残ることがあります。デスクワークなど軽い作業であれば可能ですが、精密な作業や重要な判断を伴う仕事は避けていただくことをお勧めします。
鎮静剤の使用には追加の費用がかかります。使用する薬剤によって多少の違いはありますが、鎮静剤そのものの薬価は比較的低額です。一般的には数百円〜数千円程度となることが多いのが目安です。
お酒に強い方や、日常的に飲酒習慣のある方では、鎮静剤(特にベンゾジアゼピン系)が効きにくい場合があります。ただし、すべての方に当てはまるわけではなく、効き方には個人差があります。当院では、飲酒習慣や体質、既往歴、過去の鎮静経験などを確認したうえで、鎮静剤の種類や投与量を調整し、安全性を最優先に対応しています。






