2025年2月09日
大腸カメラ検査を受けるにあたり、事前に下剤を飲むことは、検査をスムーズに行う上で欠かせません。しかし、下剤の種類や飲み方は様々で、どれを選べば良いか迷う方も多いのではないでしょうか。この記事では、大腸カメラ検査でよく使われる下剤の種類や、飲み方について詳しく解説します。

大腸カメラ検査前に下剤を飲む理由
大腸カメラ検査は、大腸の中にカメラを挿入して腸の内部を直接観察することで、大腸ポリープや大腸がんといった病気を見つける検査です。この検査を正確に行うためには、大腸の中を空っぽにし、きれいにする必要があります。そのため、検査前に下剤を飲んで腸内を洗浄することが不可欠です。
下剤を飲むことで、腸内の便やガスを排出し、大腸の内壁をきれいにすることができます。これにより、医師は腸内をより詳しく観察することができ、小さなポリープや平坦なポリープも見つけることが可能になります。もし、腸内に便が残っていると、病変が見えにくくなり、正確な診断が難しくなるだけでなく、検査時間が長引く可能性もあります。
下剤を飲むことは、大腸カメラ検査を安全かつ正確に行うために非常に重要なステップです。
下剤の種類(飲み方・味・洗浄力などの特徴)
大腸カメラ検査でよく使用される下剤には、様々な種類があります。それぞれ、味や飲みやすさ、洗浄力などが異なります。代表的な下剤をいくつかご紹介します。
サルプレップの特徴・味・飲み方

サルプレップの特徴
- 飲む量が少ない(480〜960㎖)
- 粉を溶かす手間がなく、そのまま飲むことができる
- 短時間で効果が出る
サルプレップの洗浄力
- 非常に強い
サルプレップの味
- レモン風味
- 苦味が気になり、飲みにくいと感じる方もいます
サルプレップの飲み方
- サルプレップのペットボトルの目盛りを参考に、コップ1杯分を10分程度かけてゆっくり飲みます。
- サルプレップを1杯飲んだ後、水またはお茶をコップ2杯分飲みます。便が透明になるまで、繰り返します。
- サルプレップは、最大でペットボトル2本分(960ml)まで飲んでください。
モビプレップの特徴・味・飲み方

モビプレップの特徴
- 味と洗浄力の高さのバランスがよい(総合力が高い)
- 少ない量で大腸がきれいになる(内服量は最低1,000㎖、最大で2,000㎖です)
モビプレップの洗浄力
- 非常に強い
モビプレップの味
- 梅ジュース風味
- 好みの分かれやすい味わいです
モビプレップの飲み方
- 下剤の入った容器に水を入れて、全体で2000mlになるようにします。
- コップ1杯(約180ml)を10分かけて飲むペースで飲み進めます。
- モビプレップを2杯飲んだら、水またはお茶をコップ1杯分飲みます。便が透明になるまで、繰り返します。
- モビプレップは、最大で2000mlまで飲んでください。
マグコロールPの特徴・味・飲み方

マグコロールPの特徴
- 薄いスポーツドリンクのような味で、飲みやすい
- 飲む量が少し多い(1,800〜2,400㎖)
- 洗浄力はサルプレップやモビプレップに比べるとやや劣る
マグコロールPの洗浄力
- 標準
マグコロールPの味
- 薄いスポーツドリンク風味
マグコロールPの飲み方
- 下剤の入った容器に水を入れて、全体で1800mlにします。
- コップ1杯(約180ml)を10分かけて飲むペースで飲み進めます。
- 全量(1,800㎖)を1~2時間かけて、ゆっくり飲みます。
- 全量(1,800㎖)飲み終わっても、便が透明になっていない場合は、追加で飲む場合があります。(最大で計2,400㎖まで)
ニフレックの特徴・味・飲み方

ニフレックの特徴
- 持病がある方、ご高齢の方でも安心
- 飲む量が多い(2,000〜4,000㎖)
- 特有の味(人によっては飲みにくいと感じられる場合があります)
ニフレックの洗浄力
- 標準
ニフレックの味
- ポカリスエットより味は薄く、薄いレモン風味
ニフレックの飲み方
- 下剤の入った容器に水を入れて、全体で2000mlになるようにします。
- コップ1杯(約180ml)を10分かけて飲むペースで飲み進めます。
- 全量(2,000㎖)を約2時間かけて、ゆっくり飲みます。
- 全量(2,000㎖)飲み終わっても、便が透明になっていない場合は、追加で飲む場合があります。(最大で計4,000㎖まで)
下剤を飲む時の注意点
- 上記は一般的な飲み方であり、年齢や健康状態によって異なる場合があります。必ず医師の指示に従ってください。
- いずれの下剤も、服用中は水やお茶など、透明な水分を十分に摂取してください。
- アルコール、牛乳、ジュース、炭酸飲料などは飲まないでください。
下剤が飲みきれない、飲むのがつらい方
下剤を飲まない大腸カメラ検査
当院では、従来の下剤を飲む方法以外にも、下剤を飲まずに大腸カメラ検査を受ける方法をご用意しております。
内視鏡的洗浄液注入法
この方法は、胃カメラを使って十二指腸〜小腸側に直接洗浄液を注入する方法です。
メリット
- 下剤の味や量を気にすることなく、服用ができる
- 腸がきれいになるまでの時間が早い。
デメリット
- 同日の胃カメラ検査が必要です。内視鏡的洗浄液注入法だけを目的とした胃カメラ検査を行う場合は、健康保険が適用されないため、自己負担となります。
- 全ての患者様に行えるわけではありません。腸の状態によっては、この方法が適さない場合もあります。
鼻チューブ法
鼻からチューブを挿入し、胃に直接ゆっくりと洗浄液を注入する方法です。
メリット
- 胃カメラ検査を受けなくて良い。
- 下剤の味は感じない(ニオイを感じる場合はあり)
- 内視鏡的洗浄液注入法よりも安価で検査を受けられる。
デメリット
- 鼻にチューブを入れるため、ツンとした刺激感や違和感、吐き気を感じる場合がある。
- 胃の中に洗浄液を注入するため、量が飲めない方には適さない。
- 特殊な機材を使用するため、材料費が自己負担となる。
どちらの方法がご自身に合っているか、ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。