大腸内視鏡検査当日に食べてしまった!検査は受けられる?

大腸内視鏡検査当日に食べてしまった!検査は受けられる?

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2025年4月20日

「大腸内視鏡検査の当日に、うっかり食べてしまった…」そんな時、検査は受けられるのか、不安になる方は少なくありません。
この記事では、検査当日の食事が検査に与える影響や、食べてしまった場合の対応策について、詳しく解説いたします。大腸内視鏡検査を安全かつ正確に受けるために知っておきたい情報を、わかりやすくご紹介いたします。

大腸内視鏡検査当日に食べてしまった!検査は受けられる?

はじめに

大腸内視鏡検査は、大腸の中を直接観察できる有効な検査です。大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患など、さまざまな疾患の早期発見・診断に役立つため、近年では健康意識の高まりとともに検査を受ける方も増えています。しかし、検査には注意すべきポイントがいくつかあります。特に重要なのが「検査前の食事管理」です。当日の朝、つい食べ物を口にしてしまった場合、検査に影響が出ることもあるため、慎重な対応が必要です。

本記事では、「うっかり食べてしまった」場合、どのような対応が望ましいのかを、医師の視点から丁寧に解説していきます。

なぜ検査当日は絶食が必要なのか?

大腸内視鏡検査では、大腸内を正確に観察するため、内視鏡が通過しやすく、また視認性を確保する必要があります。そのため、検査前の絶食は非常に重要です。

以下の点が絶食の理由として挙げられます。

  • 検査の正確性
    検査の目的は、腸内の微細な病変や異常を見逃さないことです。食事による残留物(食物残渣)があると、診断の正確性が低下し、早期発見の機会を逃すことにつながるため、絶食は必須となります。
  • 視界の確保
    食物残渣が残っていると、内視鏡で大腸内の異常部位を正確に観察することが難しくなります。内視鏡の先端には、機種により2.8〜3.8mm程度の吸引口が備わっていて、液状の残渣は検査中に洗浄・吸引しながら観察することが可能ですが、それ以上の大きな塊は詰まりの原因となり、吸引することができません。
  • 安全性の向上
    検査中に食べ物があると、内視鏡の挿入や操作時に誤って傷害を引き起こす可能性があります。絶食することで、こうした危険性を未然に防ぎ、安全な検査が行えます。

このように、検査当日の絶食は、正確な診断と患者さんの安全を守るためにとても大切です。

当日うっかり食べてしまった場合の影響は?

検査当日の朝に食べ物を口にしてしまった場合、いくつかの影響が考えられます。

まず、腸内に食物残渣が残ることで、視界が悪化し、ポリープや炎症の見逃しにつながる可能性があります。特に脂肪分の多い食事や繊維質の多い食品は消化に時間がかかり、腸内に長くとどまる傾向があります。

さらに、内視鏡を挿入する際に腸が完全に空っぽでないと、腸管の動きが不規則になり、痛みや不快感の原因になる場合もあります。

たとえ少量でも飲食をしてしまった場合は、検査の安全性と正確性に影響を及ぼす可能性があります。必ず医療機関に相談し、指示を仰ぐことが大切です。

検査当日に食べてしまった場合

検査当日に食事をしてしまった場合、自己判断でそのまま検査を受けるのは危険です。食事の内容や量、時間帯によっては、検査ができないケースもあります。まずは医療機関へ連絡し、状況を伝えるようにしましょう。

当院では以下のような対応を行っています

  • 食事の内容と時間を確認
    摂取した食べ物の種類や時間を詳しくお聞きし、検査実施の可否を判断します。
  • 検査延期の判断
    腸内が十分に観察できないと判断された場合は、安全のため検査日を変更することがあります。
  • 状況に応じた下剤の調整
    食べた内容によっては、下剤の量や種類を調整することで、当日の検査が可能となる場合もあります。

当日食べてしまったとしても、すぐに中止ではなく、まずは医師の判断を仰ぐことが大切です。

よくある質問

Q1:少量でも食べたら検査は中止になりますか?
A. 食べたものの種類や時間によっては、検査を続行できる場合もあります。医療機関に相談してください。

Q2:飲み物だけなら大丈夫ですか?
A. 水やお茶(無糖・無色透明)であれば問題ありませんが、乳製品や糖分を含む飲料は避けてください。

Q3:食べてしまったことを隠してもわかりますか?
A. 下剤を飲んでも腸内がきれいにならず、視界が悪いことで食事摂取の有無はわかることが多いです。隠さずに伝えることが大切です。せっかく検査を受けるのであれば、精度の高い検査を受けることが重要です。当院でも実際に、洗浄不十分で再検査を行った結果、大腸ポリープが複数見つかり切除に至った例もあります。

まとめ

大腸内視鏡検査は、病気の早期発見や予防に欠かせない重要な検査です。当日の食事は検査の成否に大きな影響を与えるため、絶食を守ることがとても重要です。うっかり食べてしまった場合でも、まずは自己判断せずに医療機関へ連絡し、指示を仰ぐことが安全への第一歩です。
検査が延期となる場合でも、適切な対応と準備を行えば、次回の検査で正確な診断を受けることが可能です。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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