2025年5月22日
「大腸憩室炎」は、突然激しい腹痛に襲われることもある疾患です。特に40代以降で便秘がちな方は注意が必要とされていますが、日々の食生活が深く関係しています。
本記事では、大腸憩室炎において食事で避けるべきものとおすすめの食材・レシピをわかりやすく解説。再発予防にもつながる、安心できる食事のポイントを紹介します。

大腸憩室炎とは?|原因と症状の概要
大腸憩室炎とは、大腸の壁の一部が袋状に膨らんだ「憩室」に炎症が起きた状態を指します。
憩室自体は加齢や腸内圧の上昇によって自然にできることも多く、無症状のまま経過することもあります。しかし、そこに便や細菌がたまって炎症を起こすと、「憩室炎」となり、以下のような症状が現れます。
- 腹痛(特に左下腹部や右側腹部の頻度が高い)
- 発熱
- 吐き気や嘔吐
- 下痢または便秘
さらに、重症化すると腹膜炎や大腸の穿孔(穴が開くこと)などの合併症を引き起こす可能性があり、入院や手術が必要となる場合もあります。
特に高齢者では症状が軽くても重症化していることがあるため、早期の受診が重要です。原因としては、便秘や繊維不足の食事、加齢による腸の変化、腸内細菌の乱れなどが挙げられます。
食事が大腸憩室炎に与える影響
大腸憩室炎は、食事内容によって症状の発症や悪化、再発リスクが大きく左右される疾患です。
一般的に、食物繊維の摂取量が少ないと便の通過が悪くなり、腸内圧が上昇しやすくなります。この状態が続くと憩室が形成されやすくなり、憩室内に便がたまりやすくなって炎症を起こす原因となります。
また、炎症を起こしている期間は香辛料や脂っこい食事、アルコールなどの刺激物は腸を刺激し、炎症を悪化させる要因となることがあります。反対に、炎症が落ち着いた回復期には、食物繊維を適切に取り入れることで腸内環境を整え、再発を予防することが可能です。
そのため、憩室炎の治療中および予防には、食事の内容・質を見直すことが非常に重要です。
【炎症期】避けたほうがよい食べ物一覧
大腸憩室炎の「炎症期」は、腸が非常に敏感になっているため、腸を刺激する食材や消化に時間がかかるものは避ける必要があります。
以下のような食べ物は、炎症を悪化させる可能性があるため控えましょう。
- 硬い・繊維の多い野菜
ごぼう、れんこん、たけのこ - 種や皮のある食材
いちご、キウイ、トマトの皮、ナッツ類 - 脂っこい料理
揚げ物、ラーメン、ファストフード - 香辛料・刺激物
唐辛子、カレー、キムチ - アルコール・カフェイン
ビール、コーヒー、紅茶
消化の良い流動食や、おかゆ、スープ中心のメニューで胃腸を休ませましょう。
【回復期】注意すべき食材と食べ方の工夫
炎症が落ち着いてきた「回復期」には、少しずつ通常の食事に戻していくことが可能です。ただし、いきなり繊維の多い食事に戻すと腸に負担がかかるため、段階的な工夫が必要です。
回復期に注意したいポイント
- 不溶性食物繊維の過剰摂取に注意
キャベツやごぼうなどは細かく刻み、加熱して柔らかくしてから摂取する - 豆類や海藻類の導入は少量から
消化に時間がかかるため、体調を見ながら - 脂質は控えめに
胃腸への刺激となるため、調理は蒸す・煮るが基本
また、1回の食事量を控えめにし、回数を増やすことで腸への負担を軽減できます。体調に合わせてゆっくり元の食事に戻すことが大切です。
大腸憩室の再発予防におすすめの食材・栄養素
回復期以降、再発を防ぐためには腸内環境を整える食材を意識して取り入れることが重要です。
以下のような食材や栄養素は、大腸憩室炎の再発予防に役立ちます。
- 水溶性食物繊維
こんにゃく、オートミール、バナナ、にんじんなど(便を柔らかくし排便を促進) - 発酵食品
ヨーグルト、納豆、味噌など(腸内細菌のバランスを整える) - 良質なタンパク質
鶏むね肉、白身魚、豆腐(体力回復と免疫強化に役立つ) - 水分
便秘を防ぐためにこまめな水分補給が不可欠
全体的に“消化にやさしい”ことがポイントです。脂質は控えめにし、温かくて柔らかい調理方法を心がけましょう。
食事のタイミングと量のコツ|症状悪化を防ぐために
大腸憩室炎では、「何を食べるか」だけでなく、「いつ・どれだけ食べるか」も非常に重要です。
食事のタイミングや量に注意を払うことで、腸への負担を軽減し、症状の悪化や再発を防ぐことができます。
食事の工夫ポイント
- 少量ずつ、回数を分けて食べる
1日3回にこだわらず、4〜5回の分食で腸の負担を軽くする - 決まった時間に食事をとる
腸のリズムを整える効果がある - 就寝前の食事は避ける
消化が不十分になり、腸に負担がかかる
食事中はゆっくりよく噛んで食べることも大切です。早食いは腸に一気に負担をかけるため、再発リスクを高めます。日々のリズムと習慣を整えることが、憩室炎のコントロールにつながります。
大腸憩室炎の方におすすめのレシピ3選
大腸憩室炎の回復期や再発予防には、「腸にやさしく、栄養バランスのよい料理」が理想です。
自宅で手軽に作れるおすすめレシピを3つご紹介します。
にんじんと大根のおかゆ
(材料)米、にんじん、大根、水、少量の塩
やわらかく煮込んだ野菜と米の組み合わせで、胃腸に優しく、水分補給にもなります。
鶏ささみと豆腐のとろみ煮
(材料)鶏ささみ、絹ごし豆腐、だし汁、片栗粉
たんぱく質を消化良く摂取でき、温かいとろみが腸をいたわります。
かぼちゃとほうれん草の味噌汁
(材料)かぼちゃ、ほうれん草、味噌、だし汁
発酵食品と野菜を無理なく取り入れられる栄養満点の一品です。
まとめ
大腸憩室炎は、食事の内容や摂り方によって症状の悪化や再発リスクが大きく変わる疾患です。炎症がある時期には、腸を刺激する食品や不溶性食物繊維を避け、消化にやさしい食事に徹することが基本です。回復期には、少しずつ食物繊維や発酵食品などを取り入れ、腸内環境を整えることが再発予防につながります。
また、食事のタイミングや食べ方を見直すことも、腸に負担をかけない生活を送るうえで重要です。無理のない範囲で実践し、体調の変化をよく観察しながら調整していきましょう。
自分に合った食生活を身につけることで、憩室炎とうまく付き合いながら、安心して日々の食事を楽しむことができます。