便秘を防ぐための簡単エクササイズと食事法!

便秘を防ぐための簡単エクササイズと食事法

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2025年5月14日

便秘は、食生活の乱れや運動不足、ストレスなどが原因となり、腸の動きが鈍くなることで発生します。慢性的な便秘は、腸内環境の悪化や肌トラブル、腹部の不快感を引き起こすだけでなく、長期的には大腸の健康にも悪影響を及ぼします。しかし、適度な運動や食生活の工夫によって、腸の動きを活発にし、便秘を予防・改善することが可能です。
本記事では、便秘を防ぐための簡単なエクササイズと、腸内環境を整える食事法について詳しく解説します。日常生活に取り入れやすい方法を紹介するので、毎日の習慣として続け、スムーズな排便を目指しましょう。

便秘を防ぐための簡単エクササイズと食事法!

便秘解消に効果的なエクササイズ

適度な運動は腸の蠕動運動を促進し、スムーズな排便を助けます。特に、腹筋や腸のマッサージ効果があるエクササイズを取り入れることで、便秘解消に役立ちます。ここでは、日常生活で簡単に実践できる便秘解消エクササイズを紹介します。

腸の動きを活発にする「ひねりストレッチ」

ひねる動作は腸を刺激し、腸内のガスを排出しやすくするため、便秘解消に効果的です。

やり方

  • 床や椅子に座り、背筋を伸ばす。
  • 両手を胸の前で組み、上半身をゆっくりと右へひねる。
  • 10秒キープした後、左側にも同じようにひねる。
  • 左右10回ずつ繰り返す。

このストレッチを毎朝・毎晩の習慣にすることで、腸の動きを促進し、便秘を防ぐことができます。

腹筋を鍛える「レッグレイズ」

腹筋を鍛えることで腸の動きが活発になり、排便を促進することができます。特に、下腹部を刺激する「レッグレイズ」は、腸の動きをサポートするのに効果的です。

やり方

  • 仰向けに寝て、両足をまっすぐ伸ばす。
  • ゆっくりと足を持ち上げ、床から約30cmの高さでキープ。
  • そのまま5秒間キープし、ゆっくりと足を下ろす。
  • 10回×3セットを目安に行う。

寝る前に実践することで、寝ている間の腸の動きを助け、翌朝の排便がスムーズになります。このストレッチを毎朝・毎晩の習慣にすることで、腸の動きを促進し、便秘を防ぐことができます。

体幹を鍛える「プランク」で腸を支える力を強化

プランクは、腹直筋・腹横筋・骨盤底筋といった体幹(インナーマッスル)を総合的に鍛えるエクササイズです。これらの筋肉は腸を正しい位置に保ち、蠕動運動(腸の動き)を安定化させる役割を持ちます。特に、腹圧を高めることで、便を押し出す力の基礎にもなります。

やり方

  • うつ伏せになり、肘とつま先を床につける。
  • 肩の下に肘がくるように位置を調整。
  • 腰を反らせず、背筋を一直線に保つ。
  • その姿勢を20〜30秒キープ(慣れてきたら60秒以上も可)。
  • 1日2〜3セットを目安に行う。

継続することで、腹部全体の安定性が高まり、排便時に必要な筋力の土台がしっかりと養われます。

腸のマッサージ効果がある「腹式呼吸」

腹式呼吸を行うことで、腸が適度に刺激され、便の移動がスムーズになります。リラックス効果もあり、ストレスによる便秘改善にもつながります。

やり方

  • 仰向けに寝て、お腹に手を当てる。
  • 鼻から深く息を吸い、お腹を膨らませる。
  • 口からゆっくりと息を吐き、お腹をへこませる。
  • 1セット10回を目安に、朝・夜に行う。

腹式呼吸を続けることで、腸の動きが整い、自然な便意が生じやすくなります。

腸にやさしい「ドローイン」で排便力をアップ

ドローインとは、呼吸と連動させながらお腹をへこませ、腹横筋(インナーマッスルの一部)を意識的に鍛えるトレーニングです。腹圧をコントロールできるようになることで、便を押し出す力(排便力)を自然と高めることができます。便秘や排便時のいきみにくさの改善に効果的です。

やり方

  • 椅子に座り、背筋を伸ばす(立っていてもOK)。
  • 鼻から息を吸いながらお腹をふくらませる。
  • 口からゆっくり息を吐きながら、お腹をへこませる。
  • へこませた状態を10秒キープし、自然呼吸に戻す。
  • 10回×1日2セットを目安に行う。

日常生活の中でも簡単に取り入れられる運動であり、トイレに行きたいけれど出にくいときなどにも応用可能です。

ヨガの「猫のポーズ(キャット&カウ)」

ヨガの基本ポーズである「猫のポーズ(キャット&カウ)」は、背骨と腹部をゆるやかに動かすことで腸をやさしく刺激し、ガスの排出や便の移動を助けます。腸が活発に動きやすくなるだけでなく、リラックス効果もあるため、ストレス性の便秘にも効果的です。朝の目覚めや寝る前のルーティンに取り入れるのもおすすめです。

やり方

  • 両手と両膝を床について、四つんばいの姿勢をとる(手は肩の下、膝は腰の下)
  • 息を吸いながら背中を反らせ、顔を少し上げる(カウポーズ)
  • 息を吐きながら背中を丸め、おへそを覗き込むように頭を下げる(キャットポーズ)
  • この動作をゆっくりと呼吸に合わせて10回繰り返す

腰や背中に痛みがない範囲でゆっくりと行い、呼吸を止めずリズムよく動かすことが腸の活性化に効果的です。

腸の働きを促す「お腹のマッサージ」

お腹のマッサージは、腸を外側からやさしく刺激することで、ガスの排出や便の移動を助け、腸の動きを促進する効果があります。特に、おへそ周囲に沿って“のの字”を描くようにマッサージする方法は、便秘解消を目的としたセルフケアとして広く知られています。冷えの改善やリラックス効果もあり、排便習慣のサポートにもつながります。

やり方

  • 仰向けに寝て膝を立て、腹筋が緩んだ状態を作る
  • 両手の指先で、おへそを中心に「の」の字を描くように、時計回りにやさしくさする
  • 1周あたり5〜10秒のリズムで、5分間を目安にマッサージ

便がたまりやすい左下腹部(S状結腸)を重点的にゆっくり押し込むのも効果的。朝起きたときや、夜寝る前などリラックスできる時間帯に行うとより効果的です。
お腹が冷えているときは、手を温めてから行うか、湯たんぽを併用するのもおすすめです。

便秘解消に効果的な食事法

腸の健康を維持するためには、適切な食事を心がけることが重要です。特に、食物繊維や発酵食品を摂取することで腸内環境が整い、スムーズな排便が促されます。ここでは、便秘解消に効果的な食事法を紹介します。

食物繊維をバランスよく摂取する

食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、バランスよく摂取することが便秘解消に効果的です。
水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2が、排便にとって最も理想的なバランスとされています。

水溶性食物繊維(便に水分を含ませて柔らかくする/腸内環境を整える)

  • 海藻類(わかめ・めかぶ・もずく)
  • 果物(バナナ・キウイ)
  • 大麦
  • オートミール
  • 里芋・長芋

不溶性食物繊維(便の“かさ”を増やして腸を刺激/蠕動運動を促す)

  • ごぼう
  • キャベツ
  • 玄米
  • きのこ類(しめじ・えのき・しいたけなど)
  • 大豆・おから

特に、水溶性食物繊維は便をスムーズに排出する助けとなるため、朝食のヨーグルトに合わせてバナナやグリーンキウイなどのフルーツを取り入れると効果的です。

腸内環境を整える発酵食品を摂る

発酵食品には、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。

おすすめの発酵食品

  • ヨーグルト(ビフィズス菌入りが特に効果的)
  • 納豆(ナットウキナーゼが腸の働きを活発にする)
  • 味噌(腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を改善)

毎日の食事に発酵食品を取り入れることで、腸の働きを活発にし、便秘を予防することができます。

水分をしっかり摂取する

便秘を防ぐためには、水分補給が欠かせません。水分不足になると、便が硬くなり、排出しにくくなります。

水分補給のポイント

  • 1日1.5~2リットルの水を目安に飲む
  • 朝起きたらコップ1杯の白湯や常温水を飲む(腸を刺激し、自然な便意を促す)
  • カフェインを控え、白湯やハーブティーを活用

特に、朝に水を飲むことで腸の蠕動運動が活発になり、排便がスムーズになります。

よくある質問

Q. 便秘解消にはどれくらいの運動が必要ですか?
A. 1日20~30分の軽いランニングやストレッチを行うことで、腸の動きが活発になります。特に朝目覚めてから30分から1時間程度の時間帯で腸が活発に運動するため、この時間帯での軽い運動が効果的です。

Q. 便秘になりやすい食生活とは?
A. 食物繊維の少ない食事、水分の摂取不足、脂質・油分の極端な制限、加工食品やファーストフード中心の食事、朝食を食べない、不規則な食事時間、このような食生活を見直すことで、自然な排便リズムが整いやすくなります。

Q. 便秘解消のためにおすすめの朝食は?
A. ヨーグルト+バナナ+素焼きナッツ+オリーブオイルの組み合わせは腸に優しく、便秘解消に効果的です。水分と食物繊維と油分がバランスよく含まれています。

Q. 便秘解消にはどんな飲み物がいいですか?
A. 常温の水、白湯、カモミールティー、プルーンジュースが効果的です。特に朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲むと、腸の動きを促す効果があります。また、冷たい飲み物は極力避け、常温から暖かい温度帯のものを選ぶようにしましょう。

Q. 食事だけで便秘を解消できますか?
A. 食事の改善だけでも効果はありますが、運動や生活習慣の見直しも重要です。特に、適度な運動と規則正しい睡眠を組み合わせることで、より効果的に便秘を改善できます。また、子供の頃から便秘がある場合は、腸の動き自体が弱い場合もあり、生活習慣の改善だけでは、便秘が改善しないケースもありますから、このような場合は適切な便秘治療薬を取り入れることもためらってはいけません。便秘が長引く場合には、一度便秘外来を受診しましょう。

Q. ストレスが便秘の原因になることはありますか?
A. はい、ストレスは腸の働きを鈍らせ、便秘の原因となります。リラックスできる時間を作ることが、便秘解消の一助になります。また不規則な生活や、睡眠不足なども便秘の原因になりますから、生活リズムを整えることも重要です。

まとめ

便秘を防ぐには、適度な運動とバランスの良い食事が欠かせません。腸を刺激するストレッチや腹式呼吸を取り入れることで、便秘解消に役立ちます。また、食物繊維や発酵食品を積極的に摂取し、十分な水分を補給することがスムーズな排便のカギとなります。毎日の生活習慣を見直し、便秘知らずの健康的な腸を目指しましょう!

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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