2025年6月19日
バリウム検査は、胃がん検診として広く普及していますが、検査後の過ごし方には注意が必要です。特に「いつ食事をしていいのか」「どんな食べ物を避けるべきか」「便秘にならないためにはどうすればいいか」など、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、バリウム検査後に注意すべきポイントを医師の視点でわかりやすく解説します。

バリウム検査後、すぐに食事しても大丈夫?
バリウム検査後は、すぐに食事をしても基本的には問題ありません。
ただし、検査中にバリウムを飲んだ際に使用された発泡剤や注入された空気の影響で、一時的にお腹が張ったり、胃がムカムカしたりすることがあります。そうした場合は、無理に食べずに体調が落ち着いてから少量ずつ食べ始めましょう。
また、検査後のバリウムは腸内で固まる性質があり、便秘を引き起こす可能性があります。したがって、食事はなるべく消化の良いものを選び、水分を多く摂取することが大切です。脂っこい料理や消化に時間がかかるものは避け、体にやさしいメニューを心がけましょう。
バリウム検査後に避けるべき食べ物・飲み物とは?
バリウム検査後は、腸内に残ったバリウムをスムーズに排出するため、消化に負担をかけない食事が理想的です。
以下のような食事や飲み物は避けましょう。
- 脂っこい料理
唐揚げ、フライ、ラーメンなど(胃腸に負担がかかりやすい) - 刺激物
香辛料の多い料理、カレー、キムチなど(腸の動きを乱す可能性) - アルコール類
脱水を招き、便秘を悪化させる - 食物繊維が極端に少ない食品
白米・白パンばかりなど(腸の動きを鈍らせる) - 炭酸飲料
胃にガスが溜まりやすく、不快感の原因になる
バリウム検査後のアルコールについて
バリウム検査後の飲酒は基本的に当日は避けるのが望ましいとされています。
バリウムは腸内で固まりやすく、適切な排泄が行われないと便秘や腸閉塞を引き起こす恐れがあります。アルコールには利尿作用があり、体内の水分を失いやすくなるため、便の水分が減って排便が困難になる可能性があります。
また、検査時に注入されたガスや発泡剤の影響で胃腸が敏感な状態にあるため、アルコールによる刺激が不調を引き起こすケースもあります。
検査後に処方される下剤とアルコールの併用も避けるべきです。体調が悪化する恐れがあるため、少なくとも検査当日は飲酒を控え、バリウムの排出が確認できるまではアルコールは我慢しましょう。

便秘を防ぐためにおすすめの食事と飲み物
バリウムは腸内で固まりやすく、排出が不十分だと便秘や腹痛を引き起こすことがあります。
稀に消化管穿孔(腸に穴があく)、腸閉塞、腹膜炎などの重篤な有害事象が現れるケースもあるため、注意が必要です。
検査後の便秘予防には、以下のような食事や飲み物がおすすめです。
水分
- 水やお茶
1日1.5〜2リットルを目安に、こまめに摂る
食物繊維が豊富な食品
- 野菜
ごぼう、にんじん、キャベツ - 果物
バナナ、りんご、キウイ - 海藻
わかめ、ひじき - きのこ類
えのき、しめじ
発酵食品
- ヨーグルトや味噌汁で腸内環境を整える
温かい飲み物
- 白湯やお味噌汁などで腸の動きを促進
これらの食品をうまく組み合わせ、腸を刺激してバリウムを早めに排出できるようにしましょう。特に検査当日と翌日は、積極的に水分と食物繊維を摂ることが大切です。
検査後に腹痛や違和感がある場合の対応
バリウム検査後に腹痛やお腹の張り、違和感を感じることがあります。多くはバリウムや発泡剤の影響による一時的な症状ですが、次のような対応をとることで緩和される場合があります。
軽度の場合の対処法
- 水分を多めに摂る
- 消化の良い食事を心がける
- 安静に過ごし、様子を見る
- 軽い散歩などで腸の動きを促す
注意すべき症状
- 強い腹痛が続く
- 吐き気や嘔吐がある
- 半日以上排便がなく、ガスも出ない
- 発熱を伴う
これらの症状がある場合は、バリウムが腸内で詰まり「腸閉塞」や腸内で炎症を起こしている可能性もあるため、早めに医療機関を受診してください。
症状が軽い場合でも、数日排便がないときは受診を検討しましょう。
バリウムをなるべく早く出す方法
バリウムは体内に長く留まると便秘や腹痛、まれに腸閉塞を引き起こすリスクがあるため、できるだけ早く体外に排出することが大切です。下剤は、必ず指示通りに飲みましょう。下剤の効果がない場合は、医師に相談してください。
【バリウム排出を促すポイント】
- 水分をこまめに摂取する
1日に1.5~2リットル以上を目安に、水やお茶を飲む - バランスの取れた食事
食物繊維を多く含む食品を取り入れ、腸の動きを活発にする - 適度な運動
軽い散歩やストレッチで腸のぜん動運動を促進する - 処方された下剤を指示通りに服用する
- 排便のタイミングを逃さない
便意を感じたら我慢せずすぐにトイレへ
受診が必要なケースとは
バリウム検査後に体調不良が見られた場合、以下のような症状があるときは速やかに医療機関を受診してください。
- 強い腹痛や持続する腹部の張り
- 吐き気や嘔吐が続く
- 24時間以上排便がない、またはガスも出ない
- 下剤を飲んでも効果がない
- 発熱や全身のだるさを伴う
- 血便が出た場合
これらの症状は、バリウムが腸内で詰まって腸閉塞を起こしている可能性や、腸の粘膜に異常がある可能性があります。自己判断で放置せず、できるだけ早く消化器内科を受診してください。
また、高齢者や便秘になりやすい体質の方は特に注意が必要です。バリウム検査後の体調変化には十分気を配りましょう。
まとめ
バリウム検査は胃や腸の状態を調べる重要な検査ですが、検査後の過ごし方によっては体調に影響が出ることもあります。
検査後は、消化の良い食事と十分な水分を摂ること、便秘予防のために食物繊維を意識的に摂ることが大切です。
また、腹痛や便秘、吐き気などの症状が出た場合には、早めの対応が重要です。特に排便がないまま長時間が経過する場合は、医療機関に相談するようにしましょう。
体調に不安があるときは我慢せず、消化器内科を受診することで安心して過ごすことができます。当院でも、バリウム検査後の症状について丁寧に対応していますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.バリウム検査後にコーヒーは飲んでも大丈夫ですか?
A.コーヒーは水分補給の一環として少量なら問題ありませんが、カフェインには利尿作用があるため、まずは水や白湯を中心にしっかり水分をとることを優先しましょう。
Q.バリウム検査後、ラーメンは食べても大丈夫ですか?
A.すぐに脂っこいものや塩分の多いラーメンは避けた方が無難です。消化に負担がかかる可能性があるため、まずは消化に良いものを食べることをおすすめします。
Q.バリウム検査後にカレーを食べても大丈夫ですか?
A.カレーは香辛料が多く刺激が強いため、検査直後は避けるのが望ましいです。腸に負担をかけず、便通を妨げない食事を心がけましょう。
Q.バリウム検査後に牛乳を飲んでも大丈夫ですか?
A.検査前日は牛乳は結果に影響を与える可能性があるため、乳製品の摂取は控える必要がありますが、検査後については医療機関によって指示が異なる場合があります。検査食後は水やお茶などでしっかり水分をとることを優先してください。十分に便が排泄されていれば、一般的には問題ないと考えられます。
Q.バリウム検査後にヨーグルトを食べても大丈夫ですか?
A.ヨーグルトは腸の動きを助ける乳酸菌が含まれており、便通改善に役立つ場合があります。ただし、水分補給を優先したうえで適量にとどめることが大切です。