健康診断の結果の見方|注意して見てほしい消化器項目を医師が解説

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2026年4月09日

毎年受けている健康診断。結果表が届いても、数値の意味がよくわからないまま放置していませんか?
健康診断の結果には見逃してはいけないサインが隠れていることがあります。胃の検査・便潜血検査・肝機能の数値など、消化器系の検査項目は特に注意が必要です。
この記事では、消化器専門医の立場から、健康診断の結果表の見方をわかりやすく解説します。

健康診断の結果の見方|注意して見てほしい消化器項目を医師が解説

健康診断でわかること・わからないこと

健康診断は、病気のリスクをスクリーニングするための検査です。
あくまでも異常の可能性がある人を見つけることが目的で、病気の確定診断を行う場ではありません。

健康診断でわかること

  • 血液検査
    肝機能・腎機能・血糖値・脂質などの数値異常

  • 胃部検査(バリウム・胃カメラ)
    胃や食道の病変の可能性

  • 便潜血検査
    大腸からの出血の有無

  • 腹部超音波検査(エコー)
    肝臓・胆のう・膵臓・腎臓などの形態的な変化

健康診断ではわかりにくいこと

健康診断にはどうしても限界があります。以下の点は、特に注意が必要です。

  • 早期の小さなポリープやがんは見つからないことがある

  • 「異常なし」でも病気が存在する場合がある

  • 症状がある場合は、健診ではなく診療として精査が必要になる

結果が「異常なし」であっても、症状がある場合は安心しきらず、医療機関への相談を検討することが大切です。

胃・食道に関わる検査項目(バリウム・胃カメラ結果の見方)

健康診断における胃の検査には、主に2種類あります。受けた検査の種類によって、結果の見方が異なります。

バリウム検査の結果の見方

バリウム検査とは、白い造影剤(バリウム)を飲み込んでX線撮影を行う検査です。胃や食道の形や粘膜の変化を調べます。

結果
異常なし今回の検査では明らかな異常は見られなかった
要経過観察軽度の変化があるが、すぐに治療が必要とは限らない
要精密検査胃カメラなどによる詳しい検査が必要

バリウム検査はあくまでも簡易的なスクリーニング検査です。粘膜の細かい変化は胃カメラでないと確認できないため、「要精密検査」となった場合は速やかに受診してください。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)結果のチェックポイント

胃カメラでは、粘膜を直接観察するため、バリウムよりも精密な情報が得られます。結果票に以下の記載があった場合は、専門医への相談をおすすめします。

結果
萎縮性胃炎胃の粘膜が薄くなった状態で、ピロリ菌感染との関連が深く、胃がんリスクが高い背景粘膜として扱われます。
胃ポリープ胃粘膜にできる隆起性病変。多くは良性ですが、種類によっては経過観察や追加検査が必要です。
胃粘膜下腫瘍胃の粘膜の表面ではなく、その下の層から盛り上がって見える病変です。良性のこともありますが、GIST(消化管間質腫瘍)など鑑別が必要なものもあるため、大きさや形によっては超音波内視鏡(EUS)やCTなどの追加検査を検討します。
胃潰瘍胃酸やピロリ菌、痛み止め(NSAIDs)などの影響で胃の粘膜が深く傷ついた状態です。出血や貧血の原因になることもあり、内服治療が必要です。治療後に治癒確認のため再度胃カメラが勧められる場合があります。
逆流性食道炎胃酸が食道に逆流して炎症が起きた状態。胸やけや酸っぱいげっぷが続く方に多く見られます。
バレット食道胃酸の逆流が長く続くことで、食道の粘膜が胃や腸に似た性質へ変化した状態です。長い範囲のバレット食道(LSBE)では食道腺がんとの関連が知られており、所見の程度に応じて経過観察が必要になることがあります。

「要生検」「ピロリ菌検査を勧める」などの記載がある場合も、放置せず結果説明を確認することが重要です。

大腸に関わる検査項目の見方|便潜血検査が陽性だったら?

大腸がんは、日本人の死因の上位に位置するがんのひとつです。大腸がん検診では、40歳以上で年1回の便潜血検査(2日法)が推奨されています。便潜血検査は、大腸がんやポリープなどによる出血を調べるためのスクリーニング検査です。

便潜血検査とは

2日分の便を採取し、肉眼では見えない微量の血液を化学的に検出する検査です。自宅で実施でき、体への負担が少ないのが特徴です。がんからの出血は毎回起こるとは限らないため、2日法が用いられます。

便潜血が「陽性」だったときに考えられる原因

  • 大腸ポリープ

  • 大腸がん

  • 大腸炎などの炎症性疾患

「痔があるから陽性になっただけ」と自己判断するのは危険です。便潜血検査で要精密検査となった場合は、必ず大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)による精密検査を受けてください。痔があっても、同時にポリープや大腸がんが隠れていることがあります。

肝臓に関わる数値の見方|AST・ALT・γ-GTPが高いとどうなる?

血液検査の結果表に、アルファベットの数値が並んでいて「よくわからない」と感じる方も多いと思います。中でも「AST」「ALT」「γ-GTP」は、肝臓の状態を知るための大切な数値です。

3つの数値、何を表している?

項目
AST(エーエスティー)肝臓だけでなく筋肉などにも含まれる酵素で、組織が傷つくと上昇します。
ALT(エーエルティー)肝細胞に多く含まれ、肝臓の炎症を反映しやすい酵素です。
γ-GTP(ガンマ・ジーティーピー)お酒の飲み過ぎや胆道の異常などで上昇することがあります。

これらは肝臓の細胞が傷ついたときに血液中に漏れ出てくる成分です。数値が高いほど、肝臓になんらかの負担がかかっているサインと考えてください。

数値が高いときに考えられる主な原因

  • 脂肪肝

  • アルコール関連肝疾患

  • 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD、旧NAFLD)/代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH、旧NASH)

  • B型・C型肝炎などのウイルス性肝炎

  • 胆道系疾患や薬剤性肝障害など

γ-GTPだけが高いと「お酒のせいかな」と思われがちですが、飲酒習慣のない方でも脂肪肝、胆道系の異常、薬やサプリメントの影響などが背景にあることがあります。そのため、γ-GTP単独高値でも自己判断せず、数値が続く場合は一度確認することが大切です。一方、ALT上昇は肝炎や脂肪肝の手がかりになります。お酒をほとんど飲まない方でも肝機能異常は起こりうるため、異常が続く場合は受診が大切です。

要注意・要精密検査と判定されたらどうする?

健康診断の結果に「要注意」「要精密検査」と書かれていると、不安になる方も多いと思います。ただ、この判定はあくまで「詳しく調べる必要がある」ということであり、病気が確定したわけではありません。

結果
異常なし特に問題なし。次回の定期健診を継続する
要経過観察内容に応じて再検査や生活習慣の見直し
要精密検査精密な検査が必要。速やかに医療機関へ受診
要治療治療が必要な状態。早急に医療機関へ受診

「面倒だから」と放置するのが一番危険です。

「症状がないから大丈夫」と判定を放置してしまう方も少なくありません。消化器の病気は自覚症状がないまま進行することが多く、症状が出てからでは手遅れになるケースもあります。

要精密検査の判定が出た場合は、消化器専門医や内視鏡専門医のいるクリニックへの受診をおすすめします。早めの受診が、病気の早期発見・早期治療につながります。

健康診断では見つかりにくい消化器の病気がある

健康診断を毎年受けていても、「異常なし」と言われ続けながら病気が進行していたというケースは、実際に存在します。健康診断の限界を知っておくことも、自分の体を守るためには大切です。

健康診断で見落とされやすい病気

  • 大腸ポリープや早期の大腸がん
    小さなポリープやがんは便潜血に反応しないことがあります。

  • 膵臓がん(すいぞうがん)
    初期症状に乏しく、エコーでも発見が難しい場合がある。膵臓がんが疑われる場合は、超音波に加えて造影CT、MRI、超音波内視鏡(EUS)などを組み合わせて診断します。

  • 早期の胃がん
    バリウム検査では粘膜の微細な変化を捉えにくいことがあります。

  • 炎症性腸疾患
    血液検査や便潜血だけでは診断できません。

こんな症状があれば、結果に関わらず受診を

健康診断の結果が「異常なし」でも、以下の症状が続く場合は専門医への相談をおすすめします。

  • 腹痛、お腹の不快感が続く

  • 便秘、下痢が長引いている

  • 便に血が混じる、または黒っぽい便が出る

  • 食欲不振、体重減少が気になる

  • 胸やけや飲み込みにくさがある

気になる症状があれば、検査結果に関わらず早めに受診することが大切です。

日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。健康診断後の精密検査をはじめとする消化器のトラブルに対応しています。

当クリニックの特徴

  • 消化器専門医による診療

    日本消化器病学会専門医が、丁寧に診察いたします

  • 内視鏡検査が可能

    胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます

  • 土曜日・日曜日も診療

    平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています

こんな症状があればご相談ください

  • 健康診断で「要精密検査」と判定された

  • 便潜血検査が陽性だった

  • 胸やけや胃もたれが続いている

  • 腹痛・下痢・便秘が繰り返される

  • 肝機能の数値(AST・ALT・γ-GTPなど)が高いと言われた

お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

よくある質問

健康診断で「異常なし」だったのに、胃カメラを受ける必要はありますか?

年齢や症状によっては、受けることをおすすめします。バリウム検査では確認できない粘膜の微細な変化を、胃カメラは直接観察できます。特に40歳以上の方や、ピロリ菌の感染歴がある方には、定期的な胃カメラをおすすめしています。

便潜血は陽性でしたが、痔があるので大丈夫だと思っています。受診しなくてもいいですか?

大腸カメラによる精密検査が必要です。痔があっても、同時に大腸ポリープや大腸がんが存在する可能性があります。「痔のせいだから」と自己判断することは非常に危険です。陽性判定が出た場合は、症状の有無に関わらず受診されることを強くおすすめします。

肝臓の数値が高いと言われましたが、お酒はほとんど飲みません。受診は必要ですか?

はい、受診をおすすめします。お酒を飲まなくても、脂肪肝、MASLD/MASH、B型・C型肝炎、薬剤性肝障害などで肝機能異常は起こります。放置すると肝硬変や肝がんに進行するリスクとなる場合もありますので、消化器内科への受診をおすすめします。

「要経過観察」と書かれていましたが、いつ受診すればいいですか?

対象となる項目によって異なります。一般に、便潜血陽性や胃部検査の要精査は早めの受診が必要です。一方、軽度の肝機能異常などでは再検査や生活習慣の見直しを先に行うこともあります。不安がある場合は、結果票を持って早めに相談するのが安心です。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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