2025年4月21日
便秘が続いている中で突然の腹痛に襲われると不安になる方も多いのではないでしょうか。実際、便秘による腹痛はよくある症状ですが、中には注意すべきケースもあります。
本記事では、便秘中に腹痛が起こる理由や考えられる原因、病院に行くべきサイン、自宅での対処法までをわかりやすく解説します。つらい便秘と腹痛を繰り返さないために、今できることを一緒に確認していきましょう。

便秘中に腹痛が起こるのはなぜ?考えられる原因とは
便秘中に腹痛が起こるのは、主に腸の中に便やガスがたまり、腸の動きが乱れることが原因です。
腸内にたまった便が腸壁を圧迫したり、腸の中でガスが発生して張ってしまうと、不快感や痛みを引き起こします。また、便秘が長引くことで腸が過敏になり、少しの刺激でも痛みを感じやすくなることがあります。
主に以下のような原因が考えられます。
- 腸の動き(ぜん動運動)の低下
- 食物繊維や水分の不足
- 運動不足やストレス
- 腸内環境の悪化(悪玉菌の増加)
- 排便を我慢する習慣
特にストレスや生活習慣の乱れが原因で自律神経のバランスが崩れると、腸の機能が低下し、便秘と腹痛が悪化することもあります。
自宅でできる!便秘による腹痛の対処法
便秘による腹痛があるとき、まずは自宅でできる対処法を試してみましょう。多くの場合、日常のケアで改善が期待できます。
自宅でできる対処法
- 十分な水分補給
1日に1.5〜2リットルを目安に水分をこまめに飲みましょう。冷たい水よりも白湯や常温のお水を選ぶと良いでしょう。 - 食物繊維の摂取
野菜・果物・海藻・玄米など、便のかさを増やす食材を意識的に摂ることが大切です。特に不溶性の食物繊維よりも水溶性の食物繊維を意識的に摂ることがお勧めです。 - お腹のマッサージ
1 日 15 分程度の腹部マッサージが慢性便秘の症状改善に有効であることが慢性便秘症診療ガイドラインにも示されています。例えば、おへそを中心に「の」の字を描くように優しくマッサージや、下腹部を押し上げるように揉む、S状結腸のある左下腹部を小さな縁を描くように揉むなどの方法で、腸の動きを促進します。 - 軽い運動を取り入れる
軽いランニングやストレッチなど体を動かすことで腸の動きが活発になります。 - 温める
お腹をカイロや湯たんぽで温めることで血行が良くなり、痛みの緩和につながります。 - 排便を我慢しない
我慢は腸の感覚を鈍らせる原因になります。便意を感じたらすぐにトイレに行きましょう。
ただし、数日試しても改善しない場合や、症状が悪化していると感じたら無理をせず、早めに医師の診察を受けることが大切です。
こんなときは注意!病院に行くべきケースとは?
便秘による腹痛は多くの場合、生活習慣の見直しや自宅でのケアで改善しますが、中には診察が必要なケースもあります。
実際に当院でも、便秘による腹痛と思って受診したら手術が必要な大腸がんが見つかった受診者様も複数名いらっしゃり、注意が必要です。
以下のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
- 普段は快便なのに突然便秘になった時
急激な排便習慣の変化は大腸がんなどの重大な病気のサインであることが少なくありません。いつもと違うな、と違和感がある時は、早めの受診を心がけましょう。 - 激しい腹痛が突然起きた場合
腸閉塞や腸捻転、腸間膜動脈閉塞症など緊急性の高い病気の可能性があります。中には卵巣出血や子宮外妊娠などの婦人科領域の救急疾患や、尿路結石や膀胱破裂などの泌尿器科領域の救急疾患などが潜んでいることもあり、的確な診断が必要です。 - 数日間、便やガスが出ていない場合
腸のどこかで閉塞が起きている可能性があり、放置すると重篤な状態になることも。 - 発熱・嘔吐を伴う腹痛
炎症性の疾患や感染症の可能性が考えられます。 - 腹部の一部を押すと強い痛みがある場合
お腹の中の炎症が強くなると腹膜を刺激して強い痛みを生じる場合があります。虫垂炎(盲腸)や婦人科系の疾患などが原因で手術を要する可能性もあります。 - 血便や黒い便が出た場合
消化管からの出血が疑われ、大腸がんなどの腫瘍による出血や、炎症性の疾患など様々な原因が考えられますが、いずれも早急な検査が必要です。
また、高齢の方や持病がある方は、比較的軽い症状でも早めの受診が望ましいです。便秘と腹痛がセットで続く場合は、「よくあること」と軽視せず、症状を丁寧に観察しましょう。
今日からできる予防法
便秘とそれに伴う腹痛をくり返さないためには、日々の生活習慣を見直し、腸の健康を意識することが大切です。無理なく続けられる予防法を取り入れることで、再発を防ぐことができます。
今日からできる予防法
- 食事を見直す
食物繊維が豊富な野菜・海藻・豆類を毎食に取り入れ、水分もしっかり摂ることが基本です。発酵食品(ヨーグルト、納豆、キムチなど)で腸内環境を整えることも効果的です。バナナやキウイなどの便通を促進するフルーツを取り入れたり、ナッツやオリーブオイルなどの腸の滑りをよくする食材を取り入れることもお勧めです。 - 毎日の排便習慣をつける
朝食後のタイミングなど、毎日決まった時間にトイレに行く習慣を持つと、腸がリズムを覚えやすくなります。バタバタするとトイレのタイミングを失い、便秘をこじらせる原因となるため、出かける1〜2時間前までに余裕を持って起きて、朝の準備を進めましょう。 - 適度な運動を継続する
ランニングや動的ストレッチなど、腸を刺激する運動を週に数回取り入れることで、便通が改善しやすくなります。ゆったりとした動きよりも腸が上下に揺れるような動きが特に効果的です。 - ストレスを溜めない
自律神経と腸の働きは密接に関係しています。趣味やリラックスできる時間を大切にしましょう。 - 十分な睡眠をとる
睡眠不足は腸の働きを乱す原因になります。規則正しい生活を心がけましょう。
ちょっとした習慣の改善が、便秘と腹痛を繰り返さない体づくりにつながります。
よくある質問
Q1. 便秘による腹痛があるとき、市販薬を使っても大丈夫ですか?
A. 一時的な使用であれば問題ありませんが、下剤を長期間使用すると、腸の働きが弱まる恐れがあります。自然な排便を促す方法を優先し、症状が改善しない場合は医師に相談しましょう。
Q2. 便秘と下痢を繰り返すのですが、、
A. 便秘と下痢を交互に繰り返す場合、「過敏性腸症候群(IBS)」の可能性があります。ストレスや自律神経の乱れが関与することもあり、医療機関での診断と適切な治療が必要です。
Q3. 子どもや高齢者の便秘による腹痛も同じように考えてよいですか?
A. 子どもや高齢者は症状に気づきにくかったり、体力の消耗が早かったりするため、注意が必要です。排便の変化に気づいたら早めに受診することが大切です。
まとめ
便秘中に腹痛が起こるのは、多くの場合、腸内に便やガスがたまって腸の動きが乱れることが原因です。しかし、痛みのタイプや症状によっては、重大な病気が隠れている可能性もあります。まずは生活習慣を見直し、水分や食物繊維の摂取、適度な運動を心がけてみましょう。
一方で、激しい痛みや嘔吐、発熱、便が全く出ないといった症状がある場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
当院では、消化器の専門医が丁寧に診察を行い、必要に応じて内視鏡検査などの精密検査にも対応しています。お腹の不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。