腹鳴恐怖症(ふくめいきょうふしょう)について

腹鳴恐怖症

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2025年2月09日

「お腹が鳴るのが恥ずかしい」「人前で食事をするのが怖い」そんな経験はありませんか?お腹が鳴る音が気になるあまり、日常生活に支障が出ているかもしれません。この状態は「腹鳴恐怖症(読み方:ふくめいきょうふしょう)」と呼ばれることがあります。腹鳴恐怖症は、お腹が鳴るという自然な現象に対して、過度な不安や恐怖を感じてしまう心の状態です。今回は、腹鳴恐怖症の原因や対処法についてご紹介します。

腹鳴恐怖症(ふくめいきょうふしょう)について

腹鳴恐怖症ってどんなもの?

「お腹が鳴るのが恥ずかしい」「人前で食事をするのが怖い」このような悩みを抱えている方はいませんか?もしかしたら「腹鳴恐怖症」かもしれません。
腹鳴恐怖症とは、お腹が鳴る音が気になるあまり、日常生活に支障をきたしてしまう心の状態です。お腹が鳴る音は、誰にでも起こる自然な現象ですが、腹鳴恐怖症の人は、この音が周りの人に聞こえているのではないかと過度に気にし、不安や緊張を感じます。そのため、人前で食事をすることや、公共の場へ行くことを避けたり、日常生活に支障が出てしまうことがあります。
例えば、会議中に音が鳴るのが怖くて食事を自由にできなかったり、人前に出ることを避けて生活したり、といった行動に出てしまう人もいます。この恐怖心は、日常生活に大きな影響を与え、QOL(生活の質)を低下させる可能性があります。

腹鳴恐怖症の原因

腹鳴恐怖症の原因として考えられる主なもの

過去の経験

子供の頃に、お腹が鳴ったことで恥ずかしい思いをした経験など、過去の経験が原因となることがあります。

性格的な要因

完璧主義であったり、恥ずかしがり屋であったりする性格の人は、腹鳴恐怖症になりやすい傾向があります。

社会的な不安

人前で恥をかくことを恐れる、周囲の目を気にしすぎるといった、社会的な不安が原因となることがあります。

他の精神疾患との関連

摂食障害や強迫性障害など、他の精神疾患を併発している場合もあります。

お腹が鳴る原因

お腹が鳴る、いわゆる「腹鳴」は、誰でも経験する生理現象です。腹鳴は、腸が動いて消化物を運ぶ際に、腸内に残った空気や液体が振動して音が発生する現象です。

腹鳴が起こる主な原因

消化活動

食事の後、消化器官が活発に動き、音が鳴ることがあります。

空腹時

胃が空になると、次の食事のために胃腸が大きく動き、音が鳴ることがあります。

ストレス

ストレスを感じると、自律神経が乱れ、腸の動きが活発になり、音が鳴りやすくなります。

食べ過ぎ

食べ過ぎると、消化不良を起こし、ガスが溜まりやすくなります。

特定の食品

豆類やキャベツなど、ガスを発生しやすい食品を摂取すると、腹鳴が起こりやすくなります。

消化器疾患

過敏性腸症候群など、消化器系の病気によって、腹鳴が慢性的に続くことがあります。

腹鳴恐怖症の対処法

腹鳴恐怖症は、心の状態が大きく影響しているため、治療には時間がかかることがあります。しかし、適切な対処法を行うことで、症状を改善し、日常生活の質を向上させることができます。

認知行動療法

認知行動療法は、腹鳴恐怖症の治療に効果的な方法の一つです。この療法では、まず、腹鳴音に対する間違った認識や考え方を修正していきます。例えば、「お腹が鳴ると、周りの人に不快に思われる」といった考え方を、「お腹が鳴るのは自然な現象だ」というように、より客観的な視点を持つように促します。
さらに、腹鳴が起きたときに、深呼吸をしたり、リラックスできる場所へ移動したりするなどの具体的な行動を練習します。これらの行動を繰り返すことで、腹鳴に対する不安を軽減し、日常生活を送れるようにしていくことを目指します。

生活習慣の改善

食事

腹の張りを起こしやすい食品を控える。
食事の際は、よく噛んでゆっくりと食べる。
食後すぐに横にならない。

運動

適度な運動は、ストレス解消や腸の働きを活発にする効果があります。

睡眠

十分な睡眠をとることで、自律神経のバランスを整え、ストレスを軽減することができます。

薬物療法

過敏性腸症候群の治療薬や漢方薬などが症状の軽減に役立つ場合があります。

腸内環境を整える重要性

腸内環境の乱れは、腹鳴だけでなく、様々な身体の不調を引き起こす可能性があります。腸内環境を整えることで、腹鳴を軽減し、腸の健康を維持することができます。

腸内環境を整えるために

高FODMAP食を控える

Fermentable(発酵性の)、Oligosaccharides(オリゴ糖)、Disaccharides(二糖類)、Monosaccharides(単糖類)And(&)Polyols(糖アルコール)の頭文字をとったもので、腸内で発酵してガスを発生して、ぽっこりお腹の原因になる可能性のある食品です。高FODMAP食品を完全に禁止する必要はありませんが、お腹が張ってつらい症状がある時は、まずは2週間ほど高FODMAP食品をに抜いた生活をトライしてみてください。

食物繊維や発酵食品の過剰摂取を避ける

「腸活」など、身体に良かれ、と思って一生懸命摂っている食品が、実は症状の原因になることも。食物繊維の一部や発酵食品などは、「発酵」によりお腹の張りの原因となる場合があります(※但し、適度な食物繊維は腸内環境を整え、腸の動きを調整する効果があります)。

乳酸菌などの過剰摂取を避ける

SIBOと呼ばれる小腸内細菌の異常増殖も症状の原因となる場合があり、ヨーグルトやキムチなど、乳酸菌を含む食品を過剰に摂りすぎると、症状が悪化する場合があります(※但し、食物繊維同様に適度な摂取は腸内環境を整え、症状の改善に働く場合もあります)。

規則正しい食事

食事を規則正しく摂ることで、腸の働きを安定させます。

ストレスを減らす

ストレスは腸の働きを乱すため、リラックスできる時間を作りましょう。

睡眠をしっかりとる

 睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、腸の働きに悪影響を与えます。

腸内環境を整えることで得られる効果

腹鳴の軽減

腸内環境が改善されると、ガスが溜まりにくくなり、腹鳴が軽減されることがあります。

免疫力の向上

腸内環境が整うと、免疫力が向上し、様々な病気にかかりにくくなります。

便秘や下痢の改善

腸内環境が改善されると、便秘や下痢などの症状が改善されることがあります。

まとめ

腹鳴恐怖症は、お腹が鳴る音が気になるあまり、日常生活に支障をきたしてしまう心の状態です。腹鳴は自然な生理現象ですが、過度に気にしすぎることで、不安やストレスを感じ、日常生活に支障をきたすことがあります。
腹鳴恐怖症の原因は、過去の経験や性格、社会的な不安など、様々です。また、腸内環境の乱れや、ストレスも腹鳴を悪化させる可能性があります。
腹鳴恐怖症の治療には、認知行動療法や生活習慣の改善などが有効です。特に、食事の改善、運動、睡眠、ストレス管理などは、腸の働きを安定させ、腹鳴を軽減する効果が期待できます。
腹鳴恐怖症に悩んでいる場合は、一人で悩まずに、専門家にご相談ください。適切な治療を受けることで、症状を改善し、より快適な生活を送ることができるでしょう。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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