2025年12月27日
朝のコーヒーが手放せない。仕事中に何杯も飲んでしまう。そんな方は多いのではないでしょうか。コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸は、適量であれば問題ありませんが、飲み過ぎると胃痛や下痢、不眠などを引き起こすことがあります(注:症状の出方には個人差があります)。
本記事では、コーヒーの適切な摂取量から体に負担をかけない飲み方まで、すぐに実践できる情報を分かりやすくお伝えします。

コーヒーの飲み過ぎは体に悪い?よくある疑問
「毎日コーヒーを何杯も飲んでいるけど大丈夫かな」と心配になることはありませんか?
コーヒー自体が悪いわけではなく、問題は「飲み過ぎ」です。
適量であれば眠気覚ましや集中力アップに役立ちますが、過剰摂取は体に負担をかけることがあります。
コーヒーの影響について
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個人差が大きい
カフェインへの感受性には個人差があります。
同じ量を飲んでも、体質によって影響の出方が違います。
そのため、日本ではカフェインの明確な摂取基準は定められていませんが、健康影響に配慮した注意喚起は行われています。 -
海外では目安がある
カナダ保健省や欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な成人で1日400mg以下を一般的な目安としています。 -
カフェイン以外の成分にも注目
コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールも含まれており、これも胃酸分泌を促す作用があり、空腹時や過量摂取で症状が出やすいとされます。
大切なのは、自分の体調と相談しながら適量を守ることです。
コーヒーを飲み過ぎたときに起こりやすい症状
コーヒーを飲み過ぎると、体にはどのような症状が現れるのでしょうか。ここでは代表的な症状をご紹介します。
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胃の不快感や胃痛
カフェインやクロロゲン酸は胃酸の分泌を促します。
空腹時や飲み過ぎると、胃酸が過剰に出て胃の粘膜を刺激し、胃痛や胸焼け、ムカムカ感が起こることがあります。 -
下痢や腹痛
カフェインには腸の動き(蠕動運動)を活発にする作用があります。
これにより水分が十分に吸収される前に便が排出され、下痢になることがあります。
特に過敏性腸症候群の方は症状が悪化しやすいです。 -
不眠や睡眠の質の低下
カフェインには覚醒作用があり、摂取したカフェインが体内で半分に減るまで約5時間かかります。
夕方以降に飲むと夜の睡眠に影響が出ることがあります。 -
動悸や心拍数の増加
カフェインは中枢神経を刺激するため、動悸やドキドキ感を感じることがあります。 -
イライラや不安感
過剰摂取により中枢神経が刺激されると、興奮や不安、イライラといった精神症状が現れることもあります。 -
めまいや震え
カフェイン中毒の症状として、めまいや手の震えが起こることがあります。
どれくらいが飲み過ぎ?適切な摂取量の目安
コーヒーは1日に何杯まで飲んでいいのでしょうか。ここでは適切な摂取量の目安についてご説明します。
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健康な成人の場合
健康な成人では、カフェイン摂取量は1日あたり最大400mgまでが目安とされています。
これはマグカップ(約237mL)入りのコーヒーで約3杯分に相当します。
この数値は、厚生労働省が海外の科学的評価(EFSA・カナダ保健省など)を踏まえて示している注意喚起の目安です(注:個人差があります)。
ただし、種類や淹れ方によってカフェイン量は異なります。 -
妊娠中・授乳中の方
胎児や赤ちゃんへの影響を考え、1日200 mg以下に抑えましょう。
コーヒーなら1日1から2杯程度です。 -
時間を空けて飲む
連続して飲むと体内でカフェインが蓄積されやすいため、時間を空けることが大切です。 -
他の飲み物にも注意
紅茶、緑茶、エナジードリンクにもカフェインが含まれています。
コーヒー以外の飲み物も含めて1日の摂取量を考えましょう。
自分の体調や体質に合わせて、適量を見極めることが大切です。
飲み過ぎで悪化しやすい症状・病気
コーヒーの飲み過ぎは、特定の症状や病気を悪化させる可能性があります。ここでは注意が必要な疾患についてご説明します。
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逆流性食道炎
食道と胃の境目にある筋肉が緩むことで、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
その結果、胸焼けや酸っぱいものが上がってくる感じが強くなることがあります。 -
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
コーヒーに含まれる成分が胃酸の分泌を促します。
すでに潰瘍がある方が飲み過ぎると、痛みなどの症状が悪化する可能性があります。 -
過敏性腸症候群(IBS)
腸の動きが過剰に活発になることで、もともとお腹が敏感な方は下痢や腹痛などの症状が出やすくなります。 -
不眠症や睡眠障害
覚醒作用により寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。
もともと眠りにくい方は症状が悪化する可能性があります。 -
不安感が強い方
神経が刺激されることで、不安感やイライラが強くなることがあります。
普段から不安を感じやすい方は注意が必要です。
これらの症状や病気をお持ちの方は、コーヒーの量に特に気をつけましょう。
コーヒーを控えたほうがよい人の特徴
コーヒーは体質や健康状態によっては控えたほうがよい場合があります。
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妊娠中・授乳中の方
赤ちゃんはカフェインを分解する力が弱いため、1日1から2杯程度に抑えるか、カフェインレスに切り替えましょう。 -
胃腸が弱い方
空腹時を避け食後に飲む、ミルクを入れるなどの工夫をしましょう。 -
睡眠の質が悪い方
午後3時以降のコーヒーは避けましょう。
カフェインの血中濃度が半分に減る時間は平均で4〜8時間程度とされています。 -
子ども
子どもはカフェインの影響を受けやすいため、基本的にコーヒーは避けたほうが無難です。
どうしても飲む場合は、薄めたものをごく少量にとどめましょう。 -
薬を服用中の方
カフェインは一部の薬と相互作用を起こすため、医師や薬剤師に相談しましょう。
体に負担をかけにくいコーヒーの飲み方の工夫
コーヒーを楽しみながら体への負担を減らすには、飲み方を工夫することが大切です。
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深煎りを選ぶ
浅煎りのコーヒーはクロロゲン酸が多く含まれ、胃への刺激が強くなります。
深煎りのコーヒーはクロロゲン酸が焙煎によって減少するため、胃に優しくなります。 -
新鮮なコーヒー豆を使う
古いコーヒー豆や時間が経った粉は酸化が進み、過酸化脂質という物質ができます。
これが胃の荒れや胃痛の原因になることがあります。
豆は新鮮なものを選び、挽きたてを楽しみましょう。 -
食後のタイミングで飲む
空腹時のコーヒーは胃酸が直接粘膜を刺激します。
食事と一緒か食後に飲むことで、胃への負担を大きく減らすことができます。 -
ストレスが強いときは控える
ストレスを感じているときは、すでに胃酸の分泌が増えている状態です。
そこにコーヒーを加えると、胃痛や下痢が起きやすくなります。体調や気分に合わせて調整しましょう。 -
カフェイン量の少ない種類を選ぶ
ドリップコーヒーよりもアメリカンコーヒー、エスプレッソよりもカプチーノなど、お湯で薄めたものやミルクを加えたものはカフェイン濃度が低くなります。
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。
逆流性食道炎をはじめとする消化器のトラブルに対応しています。
当クリニックの特徴
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消化器専門医による診療
日本消化器病学会専門医が、丁寧に診察いたします。 -
内視鏡検査が可能
胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます。 -
土曜日・日曜日も診療
平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています。
こんな症状があればご相談ください
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胃痛や胸焼けが続く
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下痢や腹痛を繰り返す
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食後に胃がもたれる
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便に血が混じる
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胃腸の不調が気になる
お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
詳しくは公式サイトをご覧ください。まとめ
コーヒーは適量であれば眠気覚ましや集中力アップに役立ちますが、飲み過ぎると胃痛や下痢、不眠などを引き起こします。
健康な成人は1日3から5杯程度が目安です。
妊娠中の方、胃腸が弱い方、睡眠の質が悪い方は特に注意しましょう。空腹時を避ける、深煎りを選ぶなど、飲み方の工夫で体への負担を減らせます。
症状が続く場合は他の病気が隠れている可能性もあるため、お気軽に当クリニックにご相談ください。
よくある質問
カフェインレスコーヒーでも完全にカフェインがゼロではありません。また、クロロゲン酸は含まれているため、胃酸の分泌を促す作用があります。胃腸が弱い方は、カフェインレスでも飲み過ぎには注意しましょう。
はい、コーヒーと一緒に水を飲むことをおすすめします。カフェインの利尿作用による脱水を防ぎ、胃酸の濃度も薄めることができます。特に空腹時に飲む場合は、水も一緒に飲むとよいでしょう。
一般的にはドリップコーヒーのほうが添加物が少なく、体に優しいと言えます。缶コーヒーには砂糖やミルク、香料などが含まれていることが多く、糖分の摂り過ぎにもつながります。できるだけ無糖のものを選びましょう。
一時的な胃痛であれば、市販の胃酸を抑える薬(H2ブロッカーなど)を使用しても構いません。ただし、症状が続く場合や、繰り返し胃痛が起こる場合は、胃潰瘍や胃炎などの病気が隠れている可能性があります。早めに医療機関を受診しましょう。
はい、毎日飲んでいると体がカフェインに慣れて、効果を感じにくくなることがあります。これを「カフェイン耐性」と言います。ただし、胃腸への負担は変わらないため、量を増やすのではなく適量を守りましょう。



