2025年3月09日
「胃腸炎になったら何を食べればいいの?」と困っている方も多くいらっしゃるかと思います。胃腸炎になると、食欲が落ちたり、食べてもすぐにお腹を壊してしまったりすることがあります。しかし、適切な食事を選ぶことで、体への負担を減らし、回復を早めることができます。この記事では、胃腸炎の時におすすめの食べ物と、避けるべき食べ物をわかりやすく解説します。体調が優れない時の食事選びに役立ててください。

胃腸炎とは?
胃腸炎とは、胃や腸に炎症が起こり、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状を引き起こす病気です。主な原因としては、ウイルスや細菌による感染性の胃腸炎が挙げられますが、その他にも食べ物の刺激、ストレスなど生活習慣に起因するものから、潰瘍性大腸炎やクローン病などといった特殊な炎症性腸疾患など様々なものが挙げられます。
ウイルス性胃腸炎は、ノロウイルスやロタウイルスなどが原因で、寒くなる秋口から冬場にかけて流行しやすいのが特徴です。細菌性胃腸炎は、サルモネラ菌やカンピロバクターなどが原因で、食中毒として発生することが多いです。 胃腸炎になると、下痢や嘔吐による脱水症状を起こしやすくなるため、水分補給が非常に重要です。また、消化機能が低下しているため、消化の良い食べ物を摂るように心がけましょう。
胃腸炎の時の食事の基本
胃腸炎の時は、消化器官が弱っているため、食事の基本は消化の良いものを摂ることです。
具体的には、以下のポイントを意識しましょう。
- 刺激物を避ける
香辛料やカフェインなど、胃腸を刺激するものは避けましょう。 - 脂っこいものを避ける
天ぷらや揚げ物など、脂っこいものは消化に負担がかかります。 - 冷たいものを避ける
冷たいものは胃腸を冷やし、消化機能を低下させる可能性があります。 - 硬いものを避ける
硬いものは消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけます。 - 繊維の多いものを避ける
野菜やきのこなど、繊維の多いものは消化に時間がかかります。 - よく噛んで食べる
よく噛んで食べると消化が促進されます。 - 少量ずつ食べる
一度にたくさん食べると胃腸に負担がかかります。 - 水分を十分に摂る
脱水症状を防ぐために、水分をこまめに摂取しましょう。
胃腸炎の時に良い食べ物
胃腸炎の時は、腸にやさしい食事から始めて徐々に普通の食事に戻していくことをおすすめします。
おすすめ食事メニュー
ステップ1 | ステップ2 | ステップ3 | ステップ4 |
最初に口にするもの (液状・流動食) ・コンソメスープ ・みそ汁(具なし) ・くず湯 ・おも湯 ・ゼラチンゼリー ・豆乳 | もうすこししっかり ・三分粥 ・煮込みうどん ・卵豆腐 ・かぶら蒸し ・はんぺん ・茶碗蒸し(具なし) ・ささ身うらごし ・かき玉汁 | 普通の食事を目指す ・五分粥 ・フレンチトースト ・豆腐 ・ほうれん草のやわらか煮 ・高野豆腐 ・オムレツ ・カステラ ・りんごのコンポート | 普通の食事を目指す ・全粥 ・葉菜類の煮物 ・鶏肉の蒸し煮 ・白身魚うす味煮 ・かまぼこ ・煮豆 ・炒り豆腐 ・厚焼き卵 ・クリーム煮 ・ウエハース |
避けた方が良い食べ物
穀類・豆類 | 野菜類 | 香辛料 |
・玄米 ・発芽米 ・麦 ・そば ・ラーメン ・枝豆 ・大豆 ・ピーナッツ ・ごま | ・長ネギ ・れんこん ・ごぼう ・たけのこ ・もやし ・こんにゃく | ・しょうが ・とうがらし ・わさび ・カレー ・こしょう ・からし |
脂肪の多い肉類・魚類・貝類 | 果物類 | 飲み物 |
・ベーコン ・ソーセージ ・ステーキ ・ミンチ ・バラ肉 ・マグロ ・さんま ・うなぎ ・タコ ・イカ ・あさり ・しじみ | ・みかん ・キウイ ・梨 ・柿 ・いちご ・レーズン | ・牛乳 ・果肉入りジュース ・野菜ジュース ・アルコール ・コーヒー |
海藻類 | 揚げ物 | おやつ |
・わかめ ・ひじき ・のり | ・天ぷら ・串カツ ・フライドチキン | ・ドーナツ ・ケーキ ・ポテトチップ ・かりんとう ・アイスクリーム ・甘いもの |
きのこ類 | 乳製品 | |
・しいたけ ・なめこ ・えのき ・きくらげ ・わらび | ・チーズ ・バター ・ヨーグルト |
【症状別】さらに食事に気をつけたい場合
胃腸炎の症状は人によって様々です。ここでは、症状別に食事に気をつけたい場合について解説します。
下痢がひどい場合
下痢がひどい場合は、水分と電解質が失われやすいので、経口補水液やスポーツドリンクなどで水分補給をしっかりと行いましょう。また、腸を刺激するものを避け、消化の良いものを選びましょう。バナナやりんごなど、カリウムを多く含む食品もおすすめです。
嘔吐がある場合
嘔吐がある場合は、無理に食事を摂る必要はありません。吐き気が落ち着いてから、少しずつ水分を摂り始め、その後、消化の良いものを少量ずつ食べましょう。冷たいものや刺激物は避け、常温の水やお茶、スープなどがおすすめです。胃腸炎で嘔吐がひどく、水分も摂れない場合は、点滴による補液が必要になることがあります。
特に以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
- 水分を摂ってもすぐに吐いてしまう
- 半日以上、水分や食事がとれず脱水症状が疑われる(口の渇き、めまい、尿の減少など)
- 強い吐き気や腹痛が続く
- 乳幼児や高齢者など、脱水リスクが高い方
発熱がある場合
発熱がある場合は、体力を消耗しやすいため、消化の良いものを中心に、栄養をしっかりと摂りましょう。水分補給も忘れずに行いましょう。
食欲不振の場合
食欲不振の場合は、無理に食べようとせず、食べられるものを少量ずつ摂りましょう。ゼリーやスープなど、消化の良いものがおすすめです。
ご自身の症状に合わせて、食事内容を調整しましょう。
よくある質問
Q. 胃腸炎になったら、絶食した方がいいですか?
A. 必ずしも絶食する必要はありません。吐き気や嘔吐がひどい場合は、一時的に絶食し、水分補給を優先しましょう。症状が落ち着いてきたら、消化の良いものから少しずつ食べ始めるようにしましょう。長時間何も食べないと、かえって胃腸の回復が遅れたり、体力が低下したりする可能性があります。症状が落ち着いてきたら、無理のない範囲で食事をとることが大切です。
Q. 胃腸炎の時に、市販の薬を飲んでもいいですか?
A. 状況によりますが、自己判断での服用は注意が必要です。市販の胃腸薬を服用する場合は、必ず用法・用量を守り、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。特に、感染性胃腸炎が原因の場合、下痢止めを安易に使用すると、体内にウイルスや細菌を閉じ込めてしまい、症状が悪化する可能性があり、注意が必要です。軽症の場合は、症状を和らげるために整腸剤や吐き気留め、解熱鎮痛剤など一部の市販薬が役立つ場合もありますが、下痢止めの使用は避けるのが無難でしょう。
Q. 胃腸炎は人にうつりますか?
A. 胃腸炎の原因によっては、人にうつる可能性があります。特に、ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎は感染力が強いため、注意が必要です。トイレの後や食事の前はしっかりと手洗いを行い、感染予防に努めましょう。嘔吐物や便の処理する際は、使い捨て手袋・マスクを着用し、ペーパータオルなどで拭き取った後に、次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒することが有効です。アルコール消毒のみでは一部のウイルスには不十分なことがあり注意が必要です。
Q. いつになったら病院を受診すればいいですか?
A. 症状が改善しない場合や、以下の症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 高熱が続く
- 血便が出る
- 嘔吐が止まらない
- 脱水症状が疑われる
- 強い腹痛がある
- 食欲不振が続く
まとめ
今回は、胃腸炎の際におすすめの食べ物と避けるべき食べ物について解説しました。胃腸炎になると、消化機能が低下しているため、消化の良い食べ物を摂ることが大切です。
お粥やうどん、白身魚、豆腐など、胃腸に優しい食品を選び、少量ずつよく噛んで食べましょう。水分補給も忘れずに行い、脱水症状を防ぎましょう。
辛いものや脂っこいもの、カフェイン、アルコールなどは胃腸に負担をかけるため、避けるようにしてください。
もし症状が改善しない場合や、不安な場合は、医療機関を受診するようにしましょう。