胃カメラの生検とは?【専門医監修】

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2025年12月22日

胃カメラ検査を受けたとき、医師から「念のため生検をしますね」と言われて、不安になった経験はありませんか?「生検=がん?」と心配される方も多いのですが、生検はがんだけを調べる検査ではありません。
この記事では、胃カメラの生検について、その目的や痛み、費用、結果の考え方などを、日本胃癌学会などのガイドラインに基づき、消化器専門医がわかりやすく解説します。

胃カメラの生検とは?【専門医監修】

胃カメラの「生検」とは?わかりやすく解説

生検とは、正式には「生体検査」といい、胃や食道の粘膜から小さな組織を採取して、顕微鏡で詳しく調べる検査のことです。

「生検」と聞くと「もしかしてがん?」と心配される方も多いのですが、生検はがんだけを調べる検査ではありません。

生検を行う主な目的

  • 良性か悪性かの鑑別 (組織学的診断)

  • (がんの場合)組織型の評価

  • 炎症の程度や原因評価

  • ピロリ菌感染の有無の確認 

胃カメラで観察しているだけでは、見た目だけで良性・悪性、病気の原因を正確に判断できない場合も多くあります。
実際に組織を採取して病理専門医が細胞レベルで調べることで、正確な診断につなげることができます。

生検をするからといって、必ずしもがんであるわけではありません。
「がんではないこと(良性であること)」を確認するために行われることも多いのです。

なぜ生検を行うの?胃カメラで生検が必要になる理由

胃カメラ検査では、画像診断だけでは確定診断に至らない場合に生検を行います。

生検が必要になる主なケース 

  • 胃の粘膜に胃がんを完全に否定することができない発赤やびらん、潰瘍がある 

  • 悪性を疑うポリープや隆起性の病変が見つかった

  • 高度の萎縮性胃炎など、がんのリスクが高い状態 

  • (がんの場合)組織型の評価

例えば、胃潰瘍が見つかった場合、見た目だけでは良性の潰瘍なのか、がんによる潰瘍なのかを判断できないことがあります。このような場合、生検によって確定診断を行います。

また、単発のびらんがあり、悪性の可能性を否定できない場合、「念のため(万が一にも、早期の胃がんを見逃さない目的で)」組織を採取することがあります。

生検はより正確な診断のための大切なステップです。

生検でわかること・わからないこと

「生検をすれば、すべてわかる」と思われがちですが、生検にもできることとできないことがあります。

生検でわかること

  • がんか、がんでないか(組織学的診断)

  • がんの炎症の程度や原因

病理専門医が顕微鏡で細胞の形や並び方を詳しく調べることで、これらのことが判明します。

生検でわからないこと

  • 採取していない部分の状態

  • がんの広がり具合

  • 組織が不十分な場合は診断不能

生検は病変の一部のみを評価するため、結果は内視鏡所見と合わせて総合判断します。

また、炎症が強すぎたり組織量が少なかったりすると、「判定困難」という結果が出ることがあります。
この場合は、時間をおいて再検査し、内視鏡医の観察と病理医の診断を組み合わせて、総合的に判断していきます。

生検は痛い?苦しい?検査中・検査後の感覚について

生検を受けるとき、「痛いのでは?」「怖い」と不安になる方も多いでしょう。

検査中の感覚

  • 胃の粘膜に痛覚は無いため、痛みは感じません

    胃カメラで生検を行う際、消化管の粘膜には痛覚がないため、組織を採取しても痛みを感じることはありません。

検査後の感覚

  • 出血(ほとんどは軽度ですぐに止まる)

  • 検査後1時間程度で普通に食事ができます

生検後、出血がありますが、ほとんどの場合は一時的な少量の出血で、自然に止まります。
検査直後の食事は消化の良い食事を心がけていただければ、その他は特別な制限はありません(検査後の制限については、医療機関によって異なる場合がありますので、検査を受けられた各医療機関の指示に従ってください)。

生検をしたらがん?よくある誤解

「生検をする=がんが見つかった」と心配される方が非常に多いのですが、これは大きな誤解です。

生検でがんが見つかる確率

  • 胃カメラ受診者の約10〜15%が生検を受ける

  • そのうち、がんと診断されるのは一部です(数%程度)

  • つまり、生検を受けた多くの方はがんではありません

胃カメラで観察しているだけでは、見た目だけで100%悪性を否定できず「念のための確認」として生検をされても、病理組織学的評価の結果、がんではなかった、というケースの方が多いと言えます。
生検をされたからといって、過度に心配する必要はありませんが、正確な診断によって適切な治療や経過観察につながる、大切な検査です。

生検後の注意点|食事・飲酒・生活の制限

食事について

  • 検査後1時間程度経過すれば食事可能

  • 当日は消化の良いものを選ぶ

  • お粥、うどん、豆腐などがおすすめ

  • 脂っこいもの、刺激物は避ける

生検後は粘膜に小さな傷がついている状態です。胃に負担をかけないよう、消化の良い食事を心がけましょう。

飲酒について

  • 検査当日の飲酒は控えてください

  • アルコールは出血のリスクを高めます

  • 翌日以降、体調に問題なければ再開可能

その他の注意点

  • 激しい運動は当日は避ける

  • 長時間の入浴は控え、シャワー程度に

  • 鎮静剤使用時、当日の車やバイク、自転車の運転は禁止

ほとんどの方は翌日から通常の生活に戻れます。吐血や黒い便、強い腹痛がある場合は、すぐに医療機関にご連絡ください。

胃カメラ生検の費用・保険適用について

生検を受けると、「費用はどのくらいかかるの?」と気になる方も多いでしょう。

保険適用について 

生検は保険適用の検査です。
医師が医学的に必要と判断した場合、健康保険が適用されます。

自費診療となるケース

  • 人間ドック等で生検を行った場合、その生検部分のみ保険請求に切り替わる場合や、全額ドック費用のままなど、施設や契約により異なります。

  • 健康診断や人間ドックでの検査の場合、医療機関によっては、当日は病気が疑われても生検が実施できない場合があり、後日の再検査となる場合があります。

日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、胃カメラ検査や生検をはじめとする消化器疾患の診断と治療を専門としています。

当クリニックの特徴

  • 消化器専門医による診療

    日本消化器病学会専門医が、丁寧に診察いたします。

  • 連携病理診断再生を整えており、高い専門性をもつ病理医と緊密に連携を取りながら診断を行っています。

  • 内視鏡検査が可能

    胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます。

  • 土曜日・日曜日も診療

    平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています。

こんな症状があればご相談ください

  • 胃の痛みや不快感

  • 胸やけ・胃もたれ

  • 食欲不振・体重減少

  • バリウム検査で異常を指摘された

  • ピロリ菌の検査を受けたい

お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。 詳しくは公式サイトをご覧ください。

まとめ

胃カメラの生検は、がんの早期発見や正確な診断に欠かせない重要な検査です。

  • 生検をしたからといって、必ずしもがんではありません

  • 検査中・検査後にの痛みはほとんど感じません

  • 結果は内視鏡所見と合わせて評価されます

  • 必要な場合に行う「確認のための検査」です

  • 保険適用のため、費用負担も抑えられます

「生検します」と言われても、過度に心配する必要はありません。
結果説明まで含めて、追加の治療があるかどうか診断医の説明をよく受けるようにしましょう。

よくある質問

生検したらどれぐらいで結果が出ますか?

結果が出るまで通常〜2週間程度かかります。
過度に心配せず、普段通りの生活を送ってください(明らかな悪性所見がある場合は、診断結果を待たずに高次医療機関を紹介する場合があります)。

生検で「判定困難」と言われたらどうなりますか?

組織が不十分だった場合や炎症が強い場合、判定困難となることがあります。
その場合は、時間をおいて再検査をおすすめすることがあります。

 一度生検で問題なくても、また検査は必要ですか? 

定期的な検査は大切です。
特にピロリ菌感染や萎縮性胃炎がある方は、年1回程度の胃カメラ検査をおすすめしています。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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