2025年10月25日

中性脂肪とは
中性脂肪(トリグリセリド)は、体のエネルギー源として欠かせない脂質の一種です。
食事から摂取した脂肪や糖分が肝臓で合成され、必要に応じてエネルギーとして使われます。
しかし、エネルギーとして使われない状態が続くと、血液中や肝臓に中性脂肪がたまり、肥満・脂肪肝・動脈硬化などの生活習慣病のリスクを高めます。
血液中の中性脂肪の基準値は、空腹時採血で30~149mg/dLが正常範囲とされています。
これを超えると「高TG(トリグリセライド)血症」と呼ばれ、動脈硬化、心筋梗塞、脂肪肝、糖尿病などのリスクが上昇します。
さらに、中性脂肪が極端に高値(1,000mg/dL以上)になると、急性膵炎を発症する危険性もあり注意が必要です。
中性脂肪は摂りすぎ・溜め込みすぎは危険ですが、エネルギー源として重要な役割もあります。
大切なのは、食事や生活習慣のバランスを整えて、適正値を維持することです。
中性脂肪が高いとどうなる?
高TG (トリグリセライド)血症の状態が続くと、血液がドロドロになり、血管の内側に脂肪が沈着して動脈硬化を進行させます。動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気の大きな原因です。
また、余分な中性脂肪は肝臓に蓄積し、脂肪肝を引き起こすこともあります。脂肪肝は放置すると肝炎や肝硬変に進行するリスクがあります。
さらに、血糖値の上昇や高血圧、高コレステロールといった「メタボリックシンドローム」にもつながります。
そして、特に注意が必要なのが急性膵炎です。中性脂肪が極端に高値(1,000mg/dL以上)になると、激しい腹痛や吐き気を伴う重篤な急性膵炎を発症することがあります。飲酒や糖尿病を併発している場合は、リスクがさらに高まります。
中性脂肪の増加そのものは自覚症状がほとんどないため、健康診断で初めて気づくケースが多いです。早めの食事改善と生活習慣の見直しで、合併症を予防することが大切です。
中性脂肪を下げる食品一覧
中性脂肪を下げるには、脂質代謝を改善し、血液をサラサラにする食品を積極的に取り入れることが大切です。
以下では、代表的な食品をグループ別に紹介します。
| 代表的な食材 | 主な動き | |
| 青魚類 | サバ イワシ サンマ アジ マグロ(特にトロ以外の赤身部分) カツオ ニシン サワラ ブリ トビウオ メバル ハタハタ キス | これらの魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、血液中の中性脂肪を減らし、動脈硬化を予防する働きがあります。週に2〜3回は魚料理を取り入れるのが理想です。 |
| 大豆・豆製品 | 豆腐(木綿・絹ごし) 納豆 味噌 豆乳 おから 枝豆 大豆そのもの(煮豆、蒸し大豆など) テンペ 厚揚げ 油揚げ | 大豆に含まれるサポニンやレシチンには、脂肪の吸収を抑え、肝臓での脂質代謝を促進する作用があります。動物性脂肪を控え、植物性たんぱく質を多く取りましょう。 |
| 海藻類 | わかめ ひじき もずく 昆布 あおさ 海苔(焼き海苔・味付け海苔) 寒天 | 海藻に含まれるアルギン酸やフコイダンが、血中脂質を減少させる効果を持ちます。味噌汁やサラダに少量加えるだけでも十分です。 |
| きのこ類 | しいたけ しめじ えのき茸 まいたけ エリンギ なめこ マッシュルーム たもぎ茸 | きのこ類は低脂肪・低カロリーながら、βグルカンや食物繊維が豊富で、脂肪の吸収を抑え腸内環境を整えます。 |
| 良質な脂質を含む食品 | オリーブオイル 亜麻仁油(フラックスオイル) エゴマ油 アーモンド くるみ ピーナッツ カシューナッツ ピスタチオ アボカド サチャインチナッツ チアシード | これらに含まれる不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らし、中性脂肪の合成を抑制します。摂りすぎには注意しつつ、毎日の食事に少量ずつ取り入れましょう。 |
| 発酵食品 | ヨーグルト 納豆 キムチ 味噌 甘酒 漬物(ぬか漬け、浅漬けなど) チーズ | 腸内環境を整えることで、脂肪の吸収や代謝バランスを改善し、中性脂肪を減らす効果が期待できます |
| その他おすすめの食品 | 緑茶(カテキンが脂質代謝を促進) 黒酢・りんご酢(脂肪燃焼を助ける) 玄米・雑穀米(血糖値上昇をゆるやかにする) オートミール(食物繊維が豊富) 鶏むね肉・ささみ(高たんぱく・低脂質) 卵(レシチンが脂質代謝に関与) |
中性脂肪を下げる野菜一覧
野菜に含まれる食物繊維は、腸内で脂質の吸収を抑制し、中性脂肪の排出を助けます。
特に水溶性食物繊維を多く含む野菜を意識しましょう。
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ブロッコリー
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キャベツ
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ほうれん草
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小松菜
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チンゲン菜
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水菜
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レタス
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ごぼう
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にんじん
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大根
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玉ねぎ
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トマト
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なす
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ピーマン
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パプリカ
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セロリ
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アスパラガス
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モロヘイヤ
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オクラ
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かぼちゃ
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こんにゃく
ポイント
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野菜は加熱しすぎず、ゆでる・蒸す・生で摂るのが理想。
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1日350g以上の野菜を目安に、色の異なる野菜をバランスよく取り入れましょう。
これらを意識的に摂ることで、腸内環境が整い、脂質代謝が自然と改善します。
中性脂肪を下げるフルーツ一覧
フルーツはビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富で、上手に選べば中性脂肪の改善に役立ちます。
ただし、果糖の摂りすぎは逆効果になるため、1日200g前後を目安にしましょう。
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りんご
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グレープフルーツ
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キウイ
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バナナ
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ブルーベリー
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オレンジ・みかん
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いちご
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プルーン・干しぶどう
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レモン・ライム
控えたいフルーツ
マンゴー・スイカ・ぶどうなど、糖度の高い果物は摂りすぎに注意しましょう。
生活習慣の見直しも大切
中性脂肪を下げるためには、食事とあわせて生活習慣の改善も欠かせません。
以下のポイントを意識しましょう。
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適度な運動を続ける
有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・自転車・水泳など)は、中性脂肪をエネルギーとして消費します。1日30分を目安に無理のない範囲で行いましょう。 -
飲酒を控える
アルコールは中性脂肪を増やす大きな原因です。
特にビールや日本酒は糖質を多く含むため、量を減らすか控えるようにしましょう。 -
睡眠とストレス管理
睡眠不足やストレスはホルモンバランスを崩し、脂肪合成を促進します。
十分な休息とリラックスできる時間を確保しましょう。 -
食べすぎ・早食いを防ぐ
食事の間隔をあけすぎると、次の食事で脂肪が吸収されやすくなります。
ゆっくりよく噛んで食べることも代謝改善に役立ちます。
ヨーグルトに中性脂肪を下げる効果はある?
ヨーグルトは腸内環境を整えることで、中性脂肪の改善に役立つ食品です。
腸内細菌のバランスが整うと、脂質の吸収や代謝がスムーズになり、血中脂質の正常化が期待できます。
特に注目されているのが、乳酸菌(ガセリ菌・ビフィズス菌・L-92菌など)を含むヨーグルトです。
これらの菌には、内臓脂肪や中性脂肪を減らす作用があると報告されています。
また、ヨーグルトはタンパク質やカルシウムも豊富で、筋肉量を維持し代謝を高める効果もあります。
ただし、加糖タイプは糖分が多く逆効果になるため、無糖タイプやプレーンヨーグルトを選びましょう。
毎日100〜150g程度を目安に、朝食や間食に取り入れると効果的です。
バナナに中性脂肪を下げる効果はある?
バナナは脂質代謝をサポートする優れた食品です。
豊富な食物繊維(特に水溶性ペクチン)が腸内の脂肪吸収を抑え、老廃物とともに排出を促します。
また、カリウムが余分な塩分や水分を体外に出し、むくみを防ぐことで代謝を助けます。
さらに、ビタミンB群が糖や脂質のエネルギー代謝に関与し、脂肪が体にたまりにくい状態をつくります。
甘みがありますが、低脂質で満腹感も得やすいため、間食の代わりにもおすすめです。
ただし、1日1本(約80〜100kcal)を目安にし、夜遅い時間の摂取は控えるようにしましょう。朝食や運動前のエネルギー補給として最適です。
よくある質問
青魚(サバ・イワシ・サンマなど)に含まれるDHA・EPA、大豆製品、海藻、野菜、きのこ類などがおすすめです。
これらの食品は脂質の代謝を促し、血中の中性脂肪を減らす働きがあります。
食事改善は大切ですが、それだけで完全に下がるわけではありません。
運動や飲酒制限、睡眠などの生活習慣も併せて見直すことが必要です。
バランスの取れた食生活と日常的な活動量の確保が効果を高めます。
適量であれば問題ありません。
りんごやキウイ、グレープフルーツなどはおすすめですが、果糖が多いマンゴーやぶどう、バナナの食べすぎには注意が必要です。
油を完全に抜くのは逆効果です。体に必要な脂質まで不足し、代謝が落ちてしまいます。
オリーブオイルやえごま油などの「良質な脂質(不飽和脂肪酸)」を適量摂ることが重要です。
はい。アルコールは肝臓で中性脂肪に変換されやすく、特にビールや日本酒は糖質も多いため注意が必要です。
飲む場合は週2〜3回、1〜2杯までを目安にし、つまみは野菜や魚中心にしましょう。

