2025年6月06日
「みぞおちを押すと痛い…」そんな症状に不安を感じていませんか?みぞおちは胃や膵臓などの重要な臓器が集まる場所であり、痛みの原因もさまざまです。軽い不調から重大な病気のサインまで考えられるため、自己判断は禁物です。
本記事では、みぞおちの位置から考えられる原因、受診すべき目安まで詳しく解説します。

みぞおちってどこ?
「みぞおち」とは、胸の真ん中、左右の肋骨が合わさる下あたりに位置する「上腹部」のことを指します。
医学的には「心窩部(しんかぶ)」とも呼ばれ、胃や膵臓、十二指腸、肝臓の一部など重要な臓器が集まっています。また、ここには自律神経(交感神経・副交感神経)も密に分布しており、体のストレスや不調が表れやすいポイントでもあります。
みぞおちの痛みは、軽い不調から緊急を要する病気まで原因がさまざまです。軽い胃もたれのような不快感から、キリキリと刺すような痛みまで痛みの性状も幅広く、その症状の出方によって原因が大きく異なります。症状が軽く、一時的なものであれば問題ないこともありますが、強い痛み・冷や汗・息苦しさ・意識低下を伴うなどの症状を伴う場合や、症状を繰り返す・程度が強くなる・頻度が多くなる場合には、注意が必要です。

みぞおちを押すと痛い…考えられる主な原因|消化器系の病気の可能性も
みぞおちを押すと痛みを感じる場合、消化器系の原因としては大きく以下のようなものが考えられます。
- 逆流性食道炎
- ピロリ菌・胃炎
- 機能性ディスペプシア
- 胃潰瘍
- 胃アニサキス症
- 膵炎
- 初期の虫垂炎
痛みの性質(鈍い・鋭い・差し込む)や、持続時間、食事との関連などを観察することが、原因を見極める手がかりになります。
その他の原因|心臓・ストレス・肋骨・筋肉痛など
みぞおちの痛みは、消化器以外の臓器や筋肉、心理的要因によっても引き起こされることがあります。
以下のような原因も視野に入れる必要があります。
- 心臓疾患(狭心症・心筋梗塞)
特に高齢者や基礎疾患のある方では、心臓由来の痛みがみぞおちに現れることがあります。締めつけられるような痛みや呼吸困難を伴う場合は要注意です。 - 肋間神経痛・肋骨の炎症
肋骨周辺の筋肉や神経が炎症を起こすことで、みぞおち周辺にも痛みが及ぶことがあります。体の動きで痛みが増すのが特徴です。 - 筋肉痛や筋膜炎
腹筋を使う運動をした後や、長時間の姿勢によって腹部の筋肉が痛むこともあります。押すとピンポイントで痛みを感じるのが特徴です。 - ストレス・不安による影響
自律神経の乱れによって胃腸の動きが悪くなり、みぞおちに不快感や圧迫感が出ることがあります。精神的な負荷が高いときに症状が出やすくなります。
みぞおちの痛みは、複数の要因が重なっている場合もあります。痛みの性質や関連する症状を整理し、早めの受診を検討しましょう。
危険なサインは?すぐに受診すべき症状とは
みぞおちの痛みが一時的なものであれば様子を見てもよいことがありますが、以下のような症状を伴う場合は、重大な病気の可能性もあるため、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 強く持続する激しい痛み
キリキリ、ズキズキとした鋭い痛みが続く場合は、胃潰瘍や膵炎などの疑いがあります。 - 冷や汗や息苦しさを伴う
心筋梗塞など心臓疾患の可能性があり、救急対応が必要になるケースもあります。 - 嘔吐や吐血、黒い便が出る
胃や十二指腸の出血が考えられ、早急な処置が必要です。 - 発熱や黄疸(皮膚や白目が黄色い)
胆のう炎や肝機能障害、膵炎などの疑いがあります。 - 食事がとれない・体重が急激に減っている
慢性的な消化器疾患や悪性疾患の可能性も否定できません。
こうした症状が見られる場合は、我慢せず早めに医療機関を受診し、必要な検査を受けましょう。
自己判断による放置は危険です。
どの診療科に行けばいい?受診先の目安を解説
みぞおちの痛みが続く場合、どの診療科にかかればよいのか悩む方も多いと思います。
症状の原因によって適切な診療科は異なりますが、以下を参考にしてください。
- 消化器内科
胃や腸、膵臓など消化器系が疑われる場合の第一選択です。胃カメラや腹部超音波検査、血液検査などで正確な診断が可能です。 - 循環器内科
胸の圧迫感、息切れ、冷や汗など心臓の病気を疑う症状がある場合に受診を検討してください。 - 整形外科
筋肉や骨、神経由来の痛み(動かすと痛い・押すと局所的に痛いなど)には整形外科が適しています。 - 精神科・心療内科
明確な異常がないのに繰り返し症状が出る、ストレスとの関連が強そうな場合は心療内科も一つの選択肢です。
症状がはっきりしない場合でも、まずは消化器内科や内科を受診するのが安心です。
痛みを感じた時の対処法と注意点
みぞおちに痛みを感じた際には、まず冷静に症状を確認し、適切に対処することが大切です。無理に我慢したり、自己流の判断で処置を行うことは症状を悪化させる恐れがあります。
対処法
- 安静にする
体を横にして休むことで痛みが和らぐことがあります。特にストレス性や筋肉性の痛みには有効です。 - 食事を控える
痛みが強いときは胃腸への負担を避け、脂っこいものや刺激物を控えましょう。消化の良い食事を少量ずつ摂るのが理想です。 - 市販薬の使用は慎重に
胃薬などを自己判断で使用するのは控え、継続的な痛みがある場合は必ず医師の診断を受けてください。 - 痛みの様子を記録する
繰り返し起こる症状の場合は、痛みの出る時間帯、強さ、食事との関係などをメモしておくと、受診時の診断に役立ちます。
注意点
- 一度痛みが引いても、再発する場合や他の症状が加わった場合は放置せず受診を。
- 無理をして仕事や運動を続けると悪化することがあります。
まとめ
みぞおちの痛みは、消化器系の疾患だけでなく、心臓や筋肉、ストレスなどさまざまな原因が関与している可能性があります。軽度のものであれば一時的な体調不良にすぎないこともありますが、強い痛みや繰り返す痛み、他の症状を伴う場合は注意が必要です。
自己判断で放置せず、症状に応じて適切な診療科を受診しましょう。特に、みぞおちの痛みは内臓疾患の重要なサインであることが多いため、早めの受診が安心です。 当院では、内視鏡検査や血液検査などを用いて、原因の特定と適切な治療を行っております。気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。