痰と逆流性食道炎の関係について

痰と逆流性食道炎の関係

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2025年2月09日

「最近、痰が絡んで咳が止まらない…」そんな経験はありませんか?もしかしたら、それは逆流性食道炎が原因かもしれません。逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで起こる病気ですが、痰と深い関係があります。この記事では、痰と逆流性食道炎の関係について詳しく解説します。

痰と逆流性食道炎の関係について

痰が絡む…もしかして逆流性食道炎?

「最近、痰が絡んで咳が止まらない…」そんな経験はありませんか?痰が絡む原因の一つとして、逆流性食道炎の可能性があります。
逆流性食道炎とは、胃酸が食道に逆流することで起こる病気です。通常、胃と食道の間には逆流を防ぐバリアがありますが、これがうまく機能しなくなると、胃酸が食道に逆流し、食道や喉を刺激します。その結果、咳や痰といった症状を引き起こすことがあります。
特に、寝起きや食後に症状が出やすい場合、逆流性食道炎が疑われます。また、喉の違和感や、声がかすれるといった症状も、逆流性食道炎が原因であることがあります。

逆流性食道炎の主な症状

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで起こる病気です。この逆流によって、様々な不快な症状を引き起こします。

  • 胸やけ
    胸の中央部が焼けるような痛みを感じます。
  • 背中の痛み
    炎症が悪化すると背中まで響くような痛みが出る場合があります。
  • 胃もたれ
    食後にお腹が膨らんだように感じ、気持ち悪くなります。
  • げっぷ
    胃酸の刺激により、げっぷが出やすくなります。
  • 喉の違和感
    喉が詰まるような感じや、イガイガした感じがします。
  • 声がかれる
    慢性的な場合は、声がかすれることがあります。

  • 胃酸が気管支を刺激することで、咳が出ることがあります。

  • 喉に痰が絡むことがあります。

これらの症状は、人によって感じ方が異なり、すべての症状が出るとは限りません。いくつかの症状が重なって出る場合もあれば、いずれかの症状が単独で出現する場合もあります。

なぜ逆流性食道炎で痰が絡むの?

逆流性食道炎で痰が絡むのは、胃酸が食道だけでなく、喉や気道の周囲まで刺激してしまうことが原因です。

  • 胃酸が気管や喉を刺激することで、炎症が起こり、痰が増えます。
  • 胃酸が食道下部の神経を刺激し、反射的に咳や痰が出ます。
  • 寝ている間など、意識が薄れているときに、胃酸が気管に入ってしまうことがあります。

逆流性食道炎による痰の症状を和らげるには?

逆流性食道炎による痰の症状を和らげるためには、以下の対策が有効です。

食事療法

ドカ食いを避ける

一度にたくさん食べるのではなく、少量をこまめに食べるようにしましょう。

刺激物を避ける

唐辛子などの刺激物、カフェインやアルコールの過剰摂取など、胃酸分泌を促すものを避けましょう。

脂っこい食事を控える

脂っこい食事は、胃の働きを悪くし、逆流を促す可能性があります。

夜食を避ける

寝る前の食事は、胃酸分泌を促し、逆流を起こしやすくなります。

高めの枕で寝る

寝るときに頭を高くすることで、胃酸が食道に逆流しにくくなります。

生活習慣の改善

禁煙

喫煙は、気道の過敏性を高め、咳反射を誘発したり痰が増加する原因となるだけではなく、食道下部括約筋の働きを弱め、逆流を促します。また薬物治療の抵抗性も高めてしまい、治療効果が出にくい原因となります。

体重管理

体重管理は、逆流性食道炎の管理において最も重要な因子と考えられています。肥満は、腹圧を高め、逆流を促すため、適正体重を維持しましょう。減量すると薬が不要となるケースも多いです。

ストレスを減らす

ストレスは、胃の働きを悪くし、症状を悪化させることがあります。

痰が絡む原因は、逆流性食道炎だけではありません

痰が絡む原因は、逆流性食道炎以外にも、様々な病気や状態が考えられます。例えば、呼吸器系の病気では、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎などが挙げられます。これらの病気では、気道に炎症が起こり、痰が増えて咳が出ることがあります。
また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、耳鼻咽喉科領域の病気も痰の原因となることがあります。鼻水や膿が喉に流れ込む(後鼻漏)ことで、痰が絡むように感じるのです。さらに、喉頭炎や喉頭がん、誤嚥なども原因の一つとして考えられます。
このように、痰が絡む原因は多岐にわたっており、逆流性食道炎だけが原因とは限りません。特に、慢性的な咳や痰が続く場合は、これらの病気が隠れている可能性もあります。

痰と逆流性食道炎 Q&A

痰が絡む原因は、逆流性食道炎以外にも、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、気管支炎、肺炎など、様々な病気の可能性があります。そのため、自己診断せず、必ず医師に相談し、適切な検査を受けることをおすすめします。

はい、喫煙は逆流性食道炎を悪化させる可能性があります。喫煙は、気道の過敏性を高めたり、食道下部括約筋の働きを弱めることにより胃酸が食道に逆流しやすくなるためです。

まとめ

痰が絡む原因の一つに、逆流性食道炎が挙げられます。逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流し、食道や喉を刺激することで、咳や痰といった症状を引き起こします。
痰が絡む原因は、逆流性食道炎以外にも、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、気管支炎、肺炎など、様々な病気の可能性があります。そのため、症状が続く場合は、自己判断せず、必ず医師に相談し、適切な検査を受けることが大切です。
逆流性食道炎による痰の症状を和らげるためには、食事療法、薬物療法、生活習慣の改善などが有効です。しかし、症状が改善しない場合は、他の病気が隠れている可能性もあります。
痰が絡む原因は様々であり、逆流性食道炎もその一つです。症状が続く場合は、早めに医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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