2025年8月27日
「毎日スッキリしない」「お腹が張って苦しい」便秘は多くの方が悩む身近な不調のひとつです。薬に頼らず自然に改善したいと考える方も多いのではないでしょうか。便秘の原因はさまざまで、それに合った食べ物を選ぶことが大切です。
本記事では、医師の視点から、即効性のある食材や毎日の食事に取り入れたい食品、子どもや高齢者におすすめの食べ物、便秘解消レシピまで、わかりやすく解説します。

便秘の原因について
便秘には「一時的なもの」と「慢性的なもの」があり、その原因もさまざまです。
主な原因は以下の通りです。
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食物繊維や水分の不足
腸内で便を柔らかくし、スムーズな排便を促すためには、食物繊維と水分が不可欠です。不足すると便が硬くなり、出にくくなります。
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運動不足
腸の蠕動(ぜんどう)運動は筋肉の動きによって促されるため、身体を動かさない生活が続くと排便リズムが乱れます。
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ストレスや自律神経の乱れ
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、精神状態と密接に関係しています。ストレスや緊張で腸の動きが低下することもあります。
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加齢や妊娠などの体調変化
年齢やホルモンバランスの変化も腸の働きに影響を与えます。
便秘解消におすすめ!効果を期待できる食べ物
便秘解消には、「腸を刺激する」「便の水分量を増やす」働きのある食べ物を選ぶことがポイントです。下記の食品は空腹時や朝に摂取することで、より効果を期待できます。
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プルーン
食物繊維だけでなく、腸の動きを活発にするソルビトールという糖アルコールを多く含みます。
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ヨーグルト
善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌)が腸内環境を整え、翌日の排便に効果を発揮することも。
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オリーブオイル
小さじ1〜2杯をそのまま摂取することで、腸の滑りを良くし便の通過を促します。
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キウイフルーツ
食物繊維・酵素・水分を豊富に含み、腸への刺激が強いため朝食時におすすめです。
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納豆・味噌などの発酵食品
腸内の善玉菌を増やし、腸の動きをサポートします。
毎日取り入れたい!腸を整える食べ物
便秘の予防や改善には、即効性のある食材だけでなく、継続的に腸内環境を整える食べ物を取り入れることが大切です。
以下のような食品をバランスよく毎日の食事に取り入れることで、腸内環境が整い、自然な排便が促されるようになります。
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水溶性食物繊維を含む食品
海藻(わかめ、ひじき)、果物(りんご、バナナ)、こんにゃくなどは、腸内で便に水分を与え、排便を促します。
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不溶性食物繊維を含む食品
ごぼう、キャベツ、豆類などは便のカサを増やし、腸の蠕動運動を活性化させます。
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発酵食品
ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、キムチなどは善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整えます。
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常温の水や白湯
こまめな水分補給は便を柔らかくし、腸の動きをサポートします。
便秘を悪化させるNGな食べ物
一見健康によさそうに見えても、便秘を悪化させる可能性がある食べ物もあります。
次のような食品には注意が必要です。
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脂肪分の多い食事
揚げ物やジャンクフードなどは腸の動きを鈍らせ、便秘を引き起こすことがあります。
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チョコレート・チーズなどの高脂肪食品
適量であれば問題ありませんが、過剰に摂取すると便の通過を妨げる原因になります。
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精製された炭水化物
白米、白パン、うどんなどは食物繊維が少なく、炭水化物に偏った食生活は便のかさが増えにくくなります。
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カフェイン・アルコールの過剰摂取
一時的に腸の動きを刺激することはありますが、水分を奪う作用もあり、便が硬くなりがちです。
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甘いお菓子・スナック菓子
腸内の悪玉菌を増やし、腸内環境を乱す要因になります。
子ども・高齢者の便秘におすすめの食べ物
子どもや高齢者は便秘になりやすい傾向があり、年齢に応じた食事の工夫が必要です。
無理のない範囲で食事に取り入れ、腸のリズムを整えていきましょう。
子どもにおすすめの食べ物
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バナナやりんごなどの果物
自然な甘みがあり、食物繊維も豊富でおやつにも最適です。
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ヨーグルト
味にクセが少なく、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。
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さつまいも
加熱すると甘みが増し、食物繊維も豊富で子どもも食べやすい食材です。
高齢者におすすめの食べ物
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やわらかく煮た根菜(ごぼう・にんじんなど)
咀嚼力が低下していても食べやすく、食物繊維もしっかり補給できます。
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おかゆ・雑炊に海藻や野菜を加えたメニュー
水分と栄養を同時に摂れ、便の排出をスムーズにします。
便秘解消に役立つレシピ・調理法
便秘解消を目指すには、腸にやさしく、食物繊維や発酵食品をバランスよく摂れるレシピを日々の食事に取り入れることが効果的です。
おすすめレシピ例
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納豆とオクラのねばねば丼
納豆・オクラ・めかぶを混ぜてご飯にのせるだけで、食物繊維と発酵食品が同時に摂れます。
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具だくさん味噌汁
わかめ、豆腐、ごぼう、にんじん、こんにゃくなどを入れた味噌汁は、腸内環境を整える一品。
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さつまいもとりんごの蒸し煮
自然な甘さで子どもから高齢者まで食べやすく、食物繊維がたっぷり。
調理のコツ
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野菜は加熱して食べやすく
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食物繊維は水溶性・不溶性をバランスよく
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味噌や納豆など発酵食品も取り入れる
便秘薬に頼らず改善したい人へ
便秘薬は一時的な効果は期待できますが、特に刺激性下剤の長期間の使用は腸の働きを弱め、習慣性を引き起こす可能性があります。
自然な排便リズムを取り戻すためには、食事・運動・排便習慣の3つをバランスよく整えることが大切です。
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朝食をしっかり摂る
朝食をとることで胃腸が刺激され、排便反射が起こりやすくなります。
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決まった時間にトイレに座る習慣
たとえ便意がなくても、毎日同じ時間にトイレに座ることで排便リズムが整いやすくなります。
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水分をこまめにとる
1日1.5〜2Lを目安に、白湯や常温の水を意識的に摂取しましょう。
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軽い運動を取り入れる
ウォーキングやストレッチなど、腸を動かす習慣が便秘改善に役立ちます。
医師からのアドバイス|便秘が続くときはどうする?
生活習慣を見直しても便秘が改善しない場合は、何らかの疾患が関係している可能性もあります。
以下のような症状がある場合は、医療機関への受診をおすすめします。
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1週間以上、排便がない状態が続く
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腹痛・お腹の張り・吐き気などを伴う
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便に血が混じる・極端に細い便が出る
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便秘と下痢を繰り返す
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お腹にしこりをふれる
便秘の背景には、大腸がんや腸閉塞、甲状腺機能低下症などの病気が隠れている場合があります。とくに高齢者や急に便秘になった方は注意が必要です。
また、便秘が日常生活に支障をきたしている場合には、市販薬に頼る前に一度消化器内科を受診し、原因を明確にすることが重要です。自己判断せず、専門医のアドバイスを受けることで、適切な治療につながります。
よくある質問
必ずしも毎朝排便がある必要はありません。排便のリズムは人によって異なり、苦痛がなく定期的な自発排便があれば、数日に1回でも問題ない場合もあります。
水分は便をやわらかく保つのに有効ですが、それだけでは不十分です。食物繊維や運動など、他の生活習慣も合わせて見直すことが重要です。
ヨーグルトは腸に良い影響を与えますが、体質や腸内環境により合う・合わないがあります。複数の食品をバランスよく取り入れることが大切です。
1週間以上出ない、腹痛や食欲不振がある場合は、早めに小児科や消化器内科を受診してください。