胃がピクピクするけど痛くない…これって大丈夫?

胃がピクピクするけど痛くない

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2025年4月26日

「胃がピクピク動くような感覚があるけれど、痛みはない…」そんな経験はありませんか?気になるけれど病院に行くほどでもない、でも少し不安…そんな方は多いかもしれません。この記事では、痛みを伴わない“ピクピク感”の正体や考えられる原因、受診の目安や自分でできる対処法まで、消化器内科専門の視点からわかりやすく解説します。その違和感、軽視せずチェックしてみましょう。

胃がピクピクするけど痛くない…これって大丈夫?

胃が「ピクピク」動くけど痛くない…これって何?

胃のあたりで「ピクピク」とした感覚を覚えると、「もしかして何かの病気?」と不安になる方も多いでしょう。しかし、この症状が必ずしも病気によるものとは限りません。痛みがなく、一時的にピクッと動くだけであれば、軽度な胃の痙攣(けいれん)や、胃の自然な動き(蠕動運動)である可能性があります。体の状態や生活習慣、ストレスなどが関係していることもあります。

重要なのは、「どのようなときに、どれくらいの頻度で起こるか」を知ることです。日常生活に支障がなければ様子を見ることもできますが、他の症状がある場合は医療機関への相談をおすすめします。

痛みのない「ピクピク感」で考えられる原因

胃の「ピクピク」とした感覚は、必ずしも病気とは限らず、いくつかの生理的または軽度な異常によって起こることがあります。

ここでは代表的な5つの原因について、ご紹介します。

  • 胃痙攣(軽度)
    軽度の胃痙攣は、胃の筋肉が一時的に収縮することで起こる症状です。これはストレスや冷え、食べすぎ、空腹などによって一時的に生じることが多く、「ピクピク」とした動きとして感じられることがあります。通常は短時間でおさまり、強い痛みがないのが特徴です。
  • 胃の生理的な動き(蠕動運動)
    胃は食べ物を消化するために、リズミカルに収縮と弛緩を繰り返しています。これが「蠕動(ぜんどう)運動」と呼ばれる動きで、特に空腹時や食後に意識されやすく、「ピクピク」と感じる場合があります。これは正常な働きであり、心配はいりません。
  • ガスや消化中の動き
    胃や腸にたまったガスが移動する際や、食べ物を消化している最中にも、ピクピクとした感覚が生じることがあります。特に炭酸飲料や食物繊維の多い食事の後に感じやすく、腸の動きと連動していることもあります。
  • 自律神経の乱れやストレス
    自律神経のバランスが崩れると、胃腸の動きにも影響が出ます。ストレスが強いと、胃が過剰に動いたり、逆に動きが鈍くなったりすることがあり、その際にピクピクとした不快感を覚えることがあります。精神的な影響が体に現れる代表的な例です。
  • 筋肉の痙攣や腹直筋のピクつき(筋線維束収縮)
    「胃がピクピクする」と感じていても、実際には腹直筋(お腹の前の筋肉)が軽く痙攣しているケースもあります。筋肉の疲労や栄養不足、姿勢の悪さなどによってピクつきが起きることがあり、それを胃の異常と勘違いすることがあります。

こんな症状があれば注意!受診の目安

胃の「ピクピク感」だけであれば、多くは一時的なもので心配いらないケースがほとんどです。しかし、次のような症状が併発したり、長引いたりする場合には、病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 痛みが出てきた場合
    最初は痛みがなかったのに、次第に「キリキリ」「チクチク」とした胃痛を感じるようになった場合は要注意です。胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などの病気が関係していることがあります。痛みが頻繁に起きる、強くなる場合には、早めの診察が必要です。
  • 吐き気や食欲不振の併発
    胃のピクピク感に加えて「吐き気がする」「食欲がわかない」といった症状があるときは、消化器系の不調が進行している可能性があります。胃腸炎や機能性ディスペプシア、胃がんなどの初期症状であることもあるため、注意が必要です。
  • 持続する違和感・膨満感
    数日以上にわたって胃の違和感や張り、膨満感が続く場合は、消化機能の低下やガスの蓄積、胃腸の病気などが疑われます。一時的なものと判断せず、症状が続く場合には一度、医師に相談しましょう。

今すぐできるセルフケアと対処法

胃の「ピクピク感」が軽度で、他に気になる症状がなければ、自宅でできるセルフケアで改善が期待できることもあります。ここでは、日常生活の中で無理なく取り入れられる対処法をご紹介します。

  • ストレス対策
    ストレスは自律神経を乱し、胃腸の動きにも影響を与えます。適度な運動や深呼吸、趣味の時間を持つことでリラックスできる環境を整えましょう。また、仕事や人間関係でのストレスをため込まないことも重要です。心のケアが胃のケアにもつながります。
  • 胃にやさしい食生活
    脂っこいものや刺激物、カフェイン、アルコールの摂取を控え、消化に良い食事を心がけましょう。よく噛んでゆっくり食べることで、胃への負担が減り、胃の動きも整いやすくなります。朝食を抜かず、規則正しい食事を続けることもポイントです。
  • 腹部の保温やマッサージ
    お腹の冷えは胃の痙攣を引き起こす原因のひとつです。腹巻きや温熱パッドなどでお腹を温めたり、優しく時計回りにマッサージしたりすることで、胃腸の動きをサポートできます。特に寒い季節や冷房の強い場所では意識的に行いましょう。
  • 睡眠や生活リズムの見直し
    睡眠不足や生活の乱れも胃腸に悪影響を与えます。毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活を心がけましょう。また、夜遅くの食事や過度のカフェイン摂取は控えるようにし、体内リズムを整えることが、症状の予防・改善につながります。

まとめ

胃の「ピクピク感」は、痛みがない場合でも気になる症状のひとつです。多くは一時的なもので、胃の自然な動きや軽度の痙攣、ストレスや食生活の影響によるものがほとんどですが、他の症状が併発したり、長く続く場合は注意が必要です。まずは自分の体のサインに耳を傾け、生活習慣を見直すことで症状が改善することも多くあります。それでも不安が残る場合は、無理をせず早めに消化器専門の医療機関を受診しましょう。

当院では、丁寧な診察と検査機器を活用し、皆さまの「気になる症状」に寄り添った診療を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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