アニサキスは食べてから何時間後に症状がでる?どんな症状?

アニサキスは食べてから何時間後に症状がでる?どんな症状?

  1. ホーム
  2. 医療コラム
  3. 内視鏡検査
  4. アニサキスは食べてから何時間後に症状がでる?どんな症状?

2025年2月17日

アニサキスは食べてから何時間後に症状がでる?どんな症状?

そもそもアニサキスって何?

アニサキスは、主に海に生息する魚介類に寄生する白い糸のような虫です。体長は2~3cmほどで、肉眼でも確認できます。

アニサキスは、もともとイルカやクジラなどの海洋哺乳類の胃に寄生しています。これらの動物の糞と一緒に海に排出されたアニサキスの卵は、プランクトンに食べられ、その後、オキアミという小さなエビのような生き物に移ります。

アニサキス症状は食べてから何時間後に発症するのか?

アニサキス症の症状は、アニサキス幼虫を食べてから、一般的には30分~24時間以内に発症します

早い場合:30分~1時間後
遅い場合:24時間以内

アニサキス症の初期症状は?

アニサキス症の主な初期症状は、以下の通りです。

  • 激しい腹痛
    アニサキス症の最も特徴的な症状です。
    みぞおちを中心とした鋭い痛みで、波打つように痛んだり、ズキズキと痛んだりします。
    激しすぎて、床に倒れるほどの痛みになることもあります。
  • 吐き気(悪心)・嘔吐
    腹痛に続いて現れることが多い症状です。吐きたくても吐けない、いわゆる「空吐き」のような症状が出ることもあります。
  • その他の症状
    ・発熱
    ・下痢
    ・蕁麻疹(じんましん)
    ・めまい
    ・頭痛

上記のような症状がすべて現れるとは限りません。
中には、軽い腹痛や吐き気だけの場合もあります。このような軽症の場合は、数日で症状が治まることもありますが、放置すると症状が長引く可能性があるので、必ず医療機関を受診してください。

医療機関を受診すべきタイミング

以下の症状がある場合には、すぐに医療機関を受診してください。

  • 激しい腹痛がある
  • 吐き気や嘔吐が止まらない
  • 発熱がある
  • 下痢がひどい
  • 蕁麻疹が出た

アニサキスを食べてしまっても症状が出ない人もいる?

アニサキスを食べたからといって、必ず症状が出るわけではありません。
アニサキス症を発症するかどうかは、いくつかの要因によって左右されます。

  • アニサキス幼虫の数
    食べたアニサキス幼虫の数が多いほど、発症するリスクが高くなります。
  • アニサキス幼虫の活発度
    アニサキス幼虫は、活発であればあるほど、胃壁に刺さりやすく、アニサキス症を引き起こしやすいです。
    冷凍や加熱処理によって、アニサキス幼虫の活発度は低下します。
  • 体質
    アニサキスに対する反応は個人差が大きく、激烈な症状を起こす方もいれば、反対にごく軽度の症状、ないしは全くの無症状の方もいます。
  • アニサキス幼虫の寄生部位
    アニサキス幼虫が寄生する部位によっても症状の出方が異なる場合があります。稀ですが、腸にアニサキスが寄生する場合や、腸を突き破ってお腹の中(腹腔内)に寄生した場合などは緊急手術などを要する場合もあります。

これらの要因が複雑に絡み合い、アニサキス症を発症するかどうかが決まります。
そのため、アニサキスを食べた人全員が症状が出るわけではなく、中には全く症状が出ない人もいます

アニサキス症の症状が出ない場合

アニサキス症は、自然治癒する可能性はありますが、推奨されるものではありません。

アニサキス症が自然治癒する可能性がある理由

アニサキス幼虫は、人体の中では約1週間で死んで体外に排出されます。
死んだアニサキス幼虫は、体内に炎症を起こすこともなく、無症状で排出されることがほとんどです。

しかし、以下のような理由から、アニサキス症の自然治癒は推奨されていません。

症状が重い場合

激しい腹痛や吐き気などの症状がある場合は、自然治癒には時間がかかり、苦痛が長引く可能性があります。

合併症のリスク

稀に、腸閉塞などの合併症を引き起こす可能性があります。

診断の遅れ

症状の原因が他にあった場合、アニサキス症と自己判断して自然治癒を待っている間に、病状が進行する可能性があります。

アニサキス症の疑いがある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

アニサキス症の治療

アニサキス症の治療は、胃カメラ検査でアニサキス幼虫を見つけ出し、摘出するのが一般的です。
幼虫が胃内に見つかった場合は、内視鏡で摘出します。

幼虫が摘出されると、比較的速やかに症状は治まります。

アニサキス症の予防・対策

アニサキス症を防ぐためには、以下の点に注意することが大切です。

  • 魚介類は十分に加熱する(中心温度60℃以上)
  • 冷凍(-20℃以下で24時間以上)
  • 包丁やまな板をよく洗う
  • 魚介類の身だけでなく、内臓もしっかり確認する

当院ではアニサキスの緊急外来を行なっております。お気軽にご相談ください。

記事の共有はこちらから

記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

  TOP