2026年2月28日
筋トレやダイエットのためにプロテインを飲んでいる方が増えています。手軽にタンパク質を補給できて便利ですが、「飲めば飲むほど良い」というものではありません。飲み過ぎると、腎機能が低下している方では腎臓に負担となる可能性があり、また総カロリーが増えて体重増加につながることがあります。健康のために始めたプロテインが、体調不良の原因になってしまうこともあります。
この記事では、消化器専門医の視点から、プロテインの適正量や飲み過ぎのサイン、正しい活用方法についてわかりやすく解説します。

プロテインの飲み過ぎ?1日の適正量の目安
タンパク質の適正量は、年齢や活動量によって異なります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、以下の量を推奨しています。
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成人女性:1日50g
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成人男性:1日65g
これは食事とプロテインパウダーを合わせた量です。筋トレをしている方は、目的やエネルギー制限の有無により必要量が増える場合があります。
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一般的な生活をしている方:体重1kgあたり0.8〜1.0g/日
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筋トレをしている方:体重1kgあたり1.4〜2.0g/日
例えば体重60kgの方なら、一般的な生活では48〜60g、筋トレ中でも84〜120g程度が上限の目安です。
肉、魚、卵、豆腐などの食事だけでも、1日50〜70g程度のたんぱく質を摂取していることが多いです。
朝食で納豆1パック(約7g)、昼食で卵1個(約6g)、夕食で魚の切り身(約15g)を食べれば、それだけで30g前後になります。
食事での摂取分を含めて考え、足りない分をプロテインで補うのが基本です。
プロテインを飲み過ぎるとどうなる?体への影響
過剰なたんぱく質は、体にさまざまな負担をかけることがあります。
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腎臓への負担
たんぱく質の代謝で生じる窒素を含む老廃物は、腎臓から排泄されます。
摂取量が多いと、腎臓の糸球体で過剰ろ過(ハイパーフィルトレーション)が起こり得ることが指摘されています。
健康な人で“プロテイン=腎臓病になる”と断定はできません。一方で、慢性腎臓病(CKD)や腎機能低下がある方は、たんぱく質制限が必要な場合があるため、自己判断で高たんぱくにしないでください。
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肝臓への負担
たんぱく質代謝では、アンモニアを尿素に変える過程に肝臓が関わります。
一般的には肝機能が正常な人であれば、通常の範囲の高たんぱく摂取が直ちに肝障害を起こすことはありません。
注意が必要なのは、進行した肝疾患がある方(肝硬変など)で、病状によりたんぱく質の調整が必要になる場合があります。
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体脂肪として蓄積(体重増加)
使い切れなかった栄養素は、総摂取カロリー次第で体重増加につながります。
プロテイン1杯でも100〜150kcal程度あります。プロテイン飲料も商品によりカロリーは異なるため、栄養成分表示で確認しましょう。
こんな症状が出たら飲み過ぎのサイン
以下のような症状が出た場合は、摂取量を見直してみましょう。
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お腹の不調
下痢、便秘、腹痛、お腹の張り、ガスが溜まるなどの症状が現れます。原因としては、乳糖(乳糖不耐)、糖アルコール等の甘味料、摂取量・濃度、冷たい飲用などが関与することがあります。
ホエイで合わない場合は、乳糖が少ない製品(WPIなど)や、ソイ等へ変更で改善することがあります。
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体重が増えた
運動量が変わらないのに体重が増加している場合、カロリー過多の可能性があります。プロテインを飲んでいるから大丈夫と油断せず、総摂取カロリーにも気を配りましょう。
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疲れやすい、だるい
内臓が疲弊しているサインかもしれません。十分な睡眠をとっているのに疲れが取れない、朝起きるのがつらいなどの症状が続く場合は要注意です。休養をとっても改善しない場合は、医療機関を受診してください。
プロテインを飲み過ぎてしまったときの対処法
一時的に飲み過ぎてしまった場合の対処法をご紹介します。
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摂取を控える
数日間はプロテインの量を減らす、または一旦中止して様子を見ましょう。体が回復するまで無理に飲み続ける必要はありません。 -
消化に良い食事を心がける
胃腸を休めるため、以下のような食事を心がけてください。
⚫︎おかゆ⚫︎うどん
⚫︎豆腐
⚫︎りんご
油っぽいもの、辛いもの、アルコールなどの刺激物は避けましょう。
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十分な休養をとる
内臓の回復には睡眠が大切です。ゆっくり身体を休めてください。 -
水分補給を忘れずに
老廃物を排出するため、水分をしっかり摂りましょう。一日を通してこまめに水を飲んでください。
症状が長引く場合や悪化する場合は、我慢せず医療機関で相談してください。
飲み過ぎを防ぐための正しい飲み方
プロテインを効果的に摂るためのポイントをご紹介します。
1回あたりの量は20〜30g程度に
1日の総量を適正範囲に収めつつ、複数回に分けて摂るのがおすすめです。特に筋トレをしている方は、1日あたりの総たんぱく質量(食事+プロテイン)を先に決め、その範囲で分割すると管理しやすくなります。
また、胃腸が弱い方は、一度に大量に飲むと胃もたれ・下痢・腹部膨満などが出やすいため、少量から試し、体調に合わせて調整しましょう。
食事の内容も確認する
肉、魚、卵、大豆製品など、食事からもたんぱく質を摂っています。プロテインはあくまで「補助」として考え、食事で不足する分を埋める使い方が基本です。
1日の食事内容をざっくりでも記録してみると、「思ったより足りている」「逆に足りていない」が見えやすく、飲み過ぎの予防になります。外食や加工食品が多い方は、たんぱく質だけでなく総摂取カロリーにも注意しましょう。
運動量に合わせて調整
トレーニングをしていない日は、必要量も少なくなります。活動量に合わせて摂取量を調整してください。休日はプロテインを減らす、または飲まないという選択肢もあります。
筋トレをしている方の目安は目的や状況で幅がありますが、国際的なスポーツ栄養の立場では、運動習慣のある人で体重1kgあたり1.4〜2.0g/日が多くの人で十分とされています。
ただし、腎機能が低下している方や持病のある方は、自己判断で増量せず主治医に相談してください。
飲むタイミングを工夫する
運動後30分以内に飲むと、筋肉の回復に効果的とされています。
ただし「30分以内」が絶対条件というより、運動前後にたんぱく質を摂ることは筋たんぱく合成の観点で合理的と考えられています。生活リズムや胃腸の調子に合わせて、無理のないタイミングを見つけましょう。
また、就寝前に飲むと睡眠中の筋肉合成をサポートするといわれることもありますが、胃もたれしやすい方は量を減らす・時間を早めるなど調整してください。
「飲み過ぎ」にならないためのシンプルなルール
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まず食事+プロテインの合計で1日の目標量を決める
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足りない分だけプロテインで補う
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胃腸症状(下痢・腹痛・張り)が出たら、量・濃さ・種類・タイミングを見直す
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体重が増えるなら、プロテインも含めた総カロリーを再確認する
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。
消化器トラブルをはじめとする、お腹の不調に対応しています。
当クリニックの特徴
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消化器専門医による診療
日本消化器病学会専門医が、丁寧に診察いたします。 -
内視鏡検査が可能
胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます。 -
土曜日・日曜日も診療
平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています。
お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
詳しくは公式サイトをご覧ください。まとめ
プロテインは筋肉の維持や健康づくりに役立つ栄養補助食品ですが、飲み過ぎは逆効果です。
過剰摂取は腎臓や肝臓に負担をかけ、消化不良や体重増加の原因になることもあります。お腹の不調や疲労感などの症状が出た場合は、すぐに摂取量を見直しましょう。
プロテインはあくまで「補助」として、食事で不足する分を補う形で活用してください。運動量や体調に合わせて調整し、無理のない範囲で続けることが大切です。
体に異変を感じたら我慢せず、早めに医療機関にご相談ください。
よくある質問
1日の総たんぱく質量(食事+プロテイン)が適正範囲なら、毎日でも必ずしも問題ではありません。まずは推奨量や運動量に合わせた目安を確認し、足りない分だけ補うのが基本です。
腎機能が低下している方は自己判断で増量しないでください。CKDなどではたんぱく質量の調整が必要な場合があるため、必ず主治医に相談してください。
乳糖(乳糖不耐)や甘味料、濃さ・量が原因のことがあります。ホエイで合わない場合は、乳糖が少ないタイプ(WPIなど)やソイ等への変更、量を分けることで改善する場合があります。
いいえ。必要量を超えて増やしても、筋肉がその分だけ増えるとは限りません。まずは1日の総たんぱく質量(食事+プロテイン)を目安に合わせ、足りない分だけ補うのが基本です。運動習慣のある人では体重1kgあたり1.4〜2.0g/日が多くの人で十分とされています。飲み過ぎは胃腸不調やカロリー過多につながるため注意してください。
Q. プロテインを飲むと太りますか?
プロテイン自体が“太る薬”ではありませんが、総カロリーが増えれば体重増加につながります。減量中は糖質・脂質入り製品や間食化に注意しましょう。

