食欲不振の原因とは?吐き気・下痢を伴う場合に考えられる病気を専門医が解説

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2026年6月22日

「最近、食欲がわかない」「食べようとすると吐き気がする」そんな状態が続いていませんか?食欲不振の原因は、胃や腸の病気、感染症、ストレス、薬の副作用、肝臓・膵臓・甲状腺などの病気まで多岐にわたります。特に吐き気・下痢・便秘を伴う場合は消化器疾患のサインである可能性があります。原因から受診の目安・対処法まで、消化器専門医がわかりやすく解説します。

食欲不振の原因とは?吐き気・下痢を伴う場合に考えられる病気を専門医が解説

食欲不振とはどんな状態?

食欲不振とは、「食べたい」という気持ちが起きにくくなった状態です。
医学的には「食思不振(しょくしふしん)」とも呼ばれます。

一時的な食欲低下は、疲労、睡眠不足、風邪、胃腸炎、ストレスなどでも起こります。一方で、食欲不振が長く続く場合や、体重減少・発熱・腹痛・血便などを伴う場合は、病気が隠れている可能性があり、対応が異なります。

種類期間の目安
一時的な食欲不振数日以内に改善することが多い
持続する食欲不振2週間以上続く

「病的な体重減少」とはどのくらい?

食欲不振が続くと体重減少につながります。医学的には、意図せず6〜12ヶ月で5%以上体重が減った場合を「病的な体重減少」と考えます。体重60kgの方であれば、約3kgが目安です。

体重減少を伴う食欲不振は、がん、炎症性腸疾患、慢性感染症、甲状腺疾患、うつ病などの初期症状としてみられることがあります。「そのうち治る」と放置せず、早めに医療機関を受診してください。

食欲不振の原因一覧|消化器の病気・ストレス・薬など

食欲不振の原因は、大きく以下のように分けられます。

分類主な原因
消化器疾患胃炎、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、胃がん、大腸がん、炎症性腸疾患など
感染症急性胃腸炎、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など
肝臓・胆のう・膵臓の病気肝炎、胆石・胆のう炎、膵炎、膵臓がんなど
機能性機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群な
心因性ストレス、うつ病、不安障害など
薬剤性抗菌薬、痛み止め、鉄剤、糖尿病治療薬、抗精神薬、抗がん剤、オピオイド、漢方薬・サプリメントなど
内分泌・全身疾患甲状腺疾患、糖尿病、腎不全、心不全、貧血など

消化器疾患が原因の場合

食欲不振を引き起こす消化器疾患として、以下が代表的です。

  • 慢性胃炎・ピロリ菌感染

  • 機能性ディスペプシア(胃の動きの異常)

  • 胃・十二指腸潰瘍

  • 急性胃腸炎

  • 逆流性食道炎

  • 胃がん・大腸がん

  • 胆石・胆のう炎

  • 膵炎・膵臓がん

  • 潰瘍性大腸炎・クローン病

また、症状のパターンによって疑われる病気が異なります。

  • 「食べていないため体重が減る」
    食欲不振の原因を確認する必要があります。胃がん、膵臓がん、炎症性腸疾患、うつ病なども鑑別に入ります。

  • 「食欲はあるのに、少し食べるとすぐ満腹になる」
    機能性ディスペプシア、胃の運動低下、胃がんなどを考えます。

  • 「食欲不振に加えて、黄疸や濃い尿がある」
    肝臓・胆道・膵臓の病気を考える必要があります。

症状別に考えられる病気|吐き気・下痢・便秘を伴う場合

食欲不振に「どの症状が重なるか」によって、考える病気は変わります。ここでは代表的な例を紹介します。

げっぷ

吐き気を伴う場合

吐き気を伴う食欲不振では、胃や食道の病気だけでなく、感染症、肝胆膵疾患、薬の副作用、妊娠、片頭痛、めまい、脳の病気なども原因になることがあります。

考えられる主な病気・原因は以下です。

  • 機能性ディスペプシア

  • 逆流性食道炎

  • 急性胃腸炎

  • 胃・十二指腸潰瘍

  • 胆石・胆のう炎

  • 急性膵炎

  • 薬の副作用

  • 妊娠

  • 片頭痛、めまい

  • まれに脳の病気

機能性ディスペプシアでは、胃に明らかな病変がないにもかかわらず、食後の胃もたれ、吐き気、少し食べただけですぐ満腹になる感覚(早期飽満感)などが続きます。日本消化器病学会のガイドラインでも、機能性ディスペプシアは診療上重要な疾患として扱われています。

下痢を伴う場合

食欲不振に下痢を伴う場合は、感染性胃腸炎がよくみられます。数日で改善することもありますが、血便、高熱、強い腹痛、脱水、症状が長引く場合は注意が必要です。

考えられる主な病気は以下です。

  • 感染性胃腸炎

  • 過敏性腸症候群

  • 潰瘍性大腸炎・クローン病

  • 薬剤性の下痢

  • 乳糖不耐症など食事に関連する下痢

  • 膵臓の病気や吸収不良

  • 大腸がんなど

過敏性腸症候群は、腹痛と便通異常を繰り返す疾患です。検査で明らかな炎症や腫瘍が見つからないことが多く、ストレスや生活リズムと関連する場合があります。日本消化器病学会のIBSガイドラインでも、ストレスや腸内環境、心理的要因などが病態に関与することが整理されています。

血便を伴う場合、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、感染性腸炎、大腸がんなども考える必要があります。自己判断で下痢止めを使い続けず、医療機関を受診してください。

便秘を伴う場合

食欲不振に便秘を伴う場合は、食事量や水分量の低下、運動不足、薬の副作用などが原因になることがあります。一方で、便秘が急に悪化した場合や、血便、便が細くなる、体重減少、貧血を伴う場合は、大腸がんなどの病気にも注意が必要です。

考えられる主な病気・原因は以下です。

  • 過敏性腸症候群(便秘型)

  • 慢性便秘症

  • 大腸がん

  • 甲状腺機能低下症

  • 糖尿病

  • 薬の副作用

  • 食事量・水分量の低下

  • 運動不足

便が細くなる、残便感が続く、血便がある、貧血を指摘された、体重が減っているといった症状がある場合は、大腸カメラを含めた検査が必要になることがあります。

食欲不振の検査・受診の目安

食欲不振の検査は、症状の経過、年齢、体重変化、発熱、腹痛、便の異常、内服薬、既往歴などを確認したうえで、それぞれの必要性に応じて以下のような検査が行われます。

  • 血液検査
    炎症、貧血、肝機能、腎機能、膵酵素、甲状腺機能、血糖などを確認

  • 尿検査
    脱水、糖尿病、腎臓の異常などを確認

  • 便検査
    感染性腸炎、便潜血、炎症の有無などを確認

  • 胃カメラ
    胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、逆流性食道炎などを確認

  • 大腸カメラ
    大腸がん、炎症性腸疾患、慢性下痢・血便の原因などを確認

  • 腹部エコー・CTなど
    肝臓、胆のう、膵臓、腸閉塞、腫瘍などを確認

原因がすぐに特定できない場合は、症状や検査結果に応じて、追加の画像検査や専門医療機関での精密検査を検討します。

こんな場合は早めに受診を

以下に一つでも当てはまる場合は、早めに消化器内科を受診してください。

  • 2週間以上、食欲不振が続いている

  • 意図せず体重が減っている

  • 6〜12か月で体重の5%以上が減っている

  • 吐き気・嘔吐が続く

  • 血便・黒色便がある

  • 貧血を指摘された

  • 38℃以上の発熱がある

  • 強い腹痛がある

  • 皮膚や白目が黄色い、尿の色が濃い

  • 食べ物がつかえる、飲み込みにくい

  • 高齢者で急に食事量が減った

  • 脱水が疑われる

食欲不振の対処法

日常生活でできること

  • 1回の食事量を減らし、回数を増やす(少量頻回食)

  • 消化の良いものを選ぶ(おかゆ・うどん・豆腐など)

  • 水分を少量ずつこまめに摂る

  • 十分な睡眠をとり、ストレスを溜めない

  • 無理に食べすぎない

  • 内服中の薬やサプリメントを確認する

医療機関での治療

原因疾患が特定できれば、その治療が優先されます。症状に応じて以下の治療が行われることがあります。

  • 吐き気がある → 制吐剤(吐き気を抑える薬)

  • 下痢がある → 整腸剤

  • 脱水・栄養不足がある → 点滴による補液

こんな食欲不振は要注意|放置してはいけないサイン

以下の症状がある場合は、早急に受診してください。

  • 意図せず体重が減っている → がん・炎症性腸疾患の可能性

  • 血便・黒色便がある → 胃潰瘍・大腸がんの可能性

  • 皮膚や白目が黄色い(黄疸) → 肝臓・膵臓の疾患の可能性

  • 激しい腹痛・嘔吐を伴う → 急性膵炎・腸閉塞の可能性

市販薬で症状が和らいでも、原因が解決していなければ再発します。気になる症状があれば、早めにご相談ください。

日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。食欲不振をはじめとする消化器のトラブルに対応しています。

当クリニックの特徴

  • 消化器専門医による診療

    日本消化器病学会専門医が、丁寧に診察いたします

  • 内視鏡検査が可能

    胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます

  • 土曜日・日曜日も診療

    平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています

こんな症状があればご相談ください

  • 食欲がわかない状態が2週間以上続いている

  • 吐き気・胃もたれ・胃痛が続いている

  • 下痢や便秘を繰り返している

  • 気づいたら体重が減っていた

  • 血便・黒色便が出た

詳しくは公式サイトをご覧ください。

お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

 食欲不振のとき、無理に食べた方がいいですか? 

無理に食べる必要はありません。吐き気や胃の不快感が強まることがあります。食べられるときに、消化の良いものを少量ずつ食べてください。水分が取れない、全く食事が取れない状態が続く、体重が減っている場合は、早めに受診してください。

子どもや高齢者でも食欲不振は起こりますか? 

はい、どの年代でも起こります。高齢者では加齢による味覚・嗅覚の変化や消化機能の低下が原因となることがあります。症状が出にくく、食欲不振だけが唯一のサインとなる場合もあるため、特に注意が必要です。

食べても太らない体質だと思っていましたが、検査は必要ですか?

 以前から体重が安定していて体調不良がなければ、体質の範囲であることもあります。ただし、最近になって体重が減ってきた、下痢が続く、食欲はあるのに痩せる、血便・黒色便がある、動悸や手の震えがある場合は、消化器疾患、糖尿病、甲状腺疾患などが隠れていることがあります。自己判断せず、医療機関で相談してください。

販薬で様子を見てもよいですか?

一時的な胃もたれや軽い吐き気であれば、市販薬で様子を見ることができる場合もあります。ただし、体重減少、血便、黒色便、発熱、強い腹痛、黄疸、繰り返す嘔吐がある場合は、市販薬で対処を続けず、医療機関を受診してください。

※本記事は一般的な医学情報であり、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状が続く場合や不安がある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。検査・治療は必ず医師の判断のもとで行うことが大切です。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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