十二指腸潰瘍はストレスが原因?症状・検査・治療を解説

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2026年9月22日

「お腹が空くとみぞおちが痛む」「夜中に痛みで目が覚める」。そのような症状に悩まされていませんか。
十二指腸潰瘍は、胃のすぐ先にある腸の粘膜が深くえぐれてしまう病気です。ストレスが原因と思われがちですが、ピロリ菌感染やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの薬剤性潰瘍が主な原因です。一方、強い心理的・身体的ストレスが発症に関わる場合もあります。ここでは、十二指腸潰瘍とストレスの関係を軸に、検査、治療、食事や生活習慣、受診の目安を整理します。

十二指腸潰瘍はストレスが原因?症状・検査・治療を解説

医師監修コメント

診療現場では、「仕事や家庭のストレスが続いてから、空腹時や夜中にみぞおちが痛むようになった」「ストレス性の胃痛だと思い、市販薬で様子を見ていた」と相談されることがあります。しかし、詳しく確認すると、ピロリ菌感染や、市販の痛み止めを含むNSAIDsの服用が関係している場合もあります。ストレスだけが原因と自己判断せず、症状が続く場合は、服用中の薬や黒色便の有無も医師に伝えることが大切です。

原因はストレス?ピロリ菌・薬との関係

十二指腸潰瘍は「ストレスのせい」と思っている方は多くいらっしゃいます。ストレスは症状を強くしたり発症に関与したりする可能性がありますが、一般的な外来診療でまず確認する原因はピロリ菌とNSAIDsです。ストレス対策だけで済ませず、みぞおちの痛みが続く場合は、医師の診察と必要な検査を受けましょう。

原因を考える際は、次の要因をチェックします。

主な要因十二指腸に起こること確認のポイント
ピロリ菌胃・十二指腸の炎症や胃酸環境の変化に関与感染検査が必要
NSAIDs・低用量アスピリン粘膜を守る働きを弱める市販薬を含む服用歴
強い心身のストレス一部の潰瘍に関与する可能性重い病気、災害などを含む状況
その他特発性潰瘍、別の感染症や病気など専門的な鑑別が必要

日本消化器病学会の2026年版ガイドラインでも、ピロリ菌とNSAIDsは消化性潰瘍の二大原因とされています。一方、どちらにも当てはまらない潰瘍には、強い身体的・心理的ストレス、クローン病、胃酸を過剰に分泌させる腫瘍、ほかの感染症など、複数の原因が含まれます。

仕事や人間関係のストレスなど、心理的な負担は、睡眠、食事、喫煙やアルコール摂取などを介して痛みの感じ方や症状に影響する可能性があります。実際、大規模災害後など非常に強いストレス下では消化性潰瘍、特に出血性潰瘍が増えたという日本の観察研究もあります。ストレス対策は大切ですが、日常のストレスだけで十二指腸潰瘍ができたと決めつけることはできません。

ピロリ菌と痛み止めを確認する

ピロリ菌は胃に感染し、粘膜の炎症や胃酸分泌のバランスに影響します。十二指腸に流れ込む胃酸の作用と、粘膜を守る力の均衡が崩れることで潰瘍につながります。感染が確認された場合は、除菌治療が再発予防の中心です。

NSAIDsにはロキソプロフェンやイブプロフェンなどがあり、処方薬だけでなく市販の痛み止めにも含まれます。心筋梗塞や脳梗塞の予防に使う低用量アスピリンも潰瘍リスクに関係します。なお、すべての鎮痛薬がNSAIDsではなく、アセトアミノフェンは別の種類です。製品名と服用量を医師・薬剤師へ伝え、自己判断で休薬しないでください。

 十二指腸潰瘍とは?胃潰瘍との違い

十二指腸は胃の出口に続く消化管で、その粘膜が深く傷ついた状態が十二指腸潰瘍です。胃にできれば胃潰瘍と呼び、両者を合わせて消化性潰瘍といいます。発生する場所は異なりますが、症状だけで正確に見分けることはできません。

胃潰瘍との違い

十二指腸潰瘍と胃潰瘍は、できる場所が異なりますが、どちらも胃酸などによって粘膜が深く傷つく「消化性潰瘍」です。原因や症状には共通点が多く、痛みだけで見分けることはできません。

項目十二指腸潰瘍胃潰瘍
できる場所胃の出口に続く十二指腸。特に入口付近に多い胃の粘膜
痛みの傾向空腹時や夜間に痛み、食べると一時的に軽くなることがある食後にみぞおちが痛むことがある
主な原因ピロリ菌、NSAIDsなどの薬ピロリ菌、NSAIDsなどの薬
検査での注意点瘍の位置、出血、狭窄などを確認する瘍に見える胃がんとの鑑別が必要な場合があり、組織検査を行うことがある

痛み方には個人差があり、十二指腸潰瘍でも食後に痛むことや、胃潰瘍でも空腹時に痛むことがあります。症状がほとんどないまま、出血をきっかけに見つかる場合もあるため、診断には胃カメラが重要です。

十二指腸潰瘍で注意したい合併症

十二指腸潰瘍が深くなったり、繰り返したりすると、次のような合併症を起こすことがあります。

  • 出血
    黒くタール状の便、吐血、貧血などがみられる

  • 穿孔
    十二指腸の壁に穴が開き、突然激しい腹痛が起こる

  • 狭窄
    治る過程で変形して通り道が狭くなり、食後の嘔吐や膨満感が生じる

黒色便や吐血、冷や汗を伴うふらつき、突然の激しい腹痛がある場合は、通常の外来を待たず、速やかに医療機関を受診してください。

ピロリ菌感染者の減少や除菌治療の普及により、十二指腸潰瘍は以前より減少しています。一方、ピロリ菌に感染している方や、NSAIDs・低用量アスピリンを服用している方では、現在も発症する可能性があります。

十二指腸潰瘍の症状|空腹時に痛むのが特徴

十二指腸潰瘍では、空腹時や夜間のみぞおちが痛み、食べると一時的に和らぐことがあります。焼けるような痛み、鈍い痛みとして感じるほか、吐き気、胃もたれ、腹部膨満感、げっぷ、胸やけを伴う場合もあります。

ただし、この痛み方は診断を確定する特徴ではありません。胃潰瘍、胃食道逆流症、機能性ディスペプシア、胆石症、膵臓癌などでも似た症状がみられます。また、痛みが目立たないまま出血で見つかる場合もあります。特に高齢者やNSAIDsを長期服用している方は、症状の強さだけで安全とは判断できません。

体重減少、食欲低下、飲み込みにくさ、貧血を指摘された場合や、症状が長引く場合は、ほかの病気を除外するため消化器内科で評価を受けてください。

胃潰瘍

すぐに受診したい症状

症状考えられる状態対応
黒くタール状の便、吐血潰瘍からの出血速やかに受診
めまい、冷や汗、動悸、失神多量出血や貧血救急要請を検討
突然の激しい腹痛、硬いおなか穿孔の可能性救急受診
嘔吐が続き食べられない腫れや変形による通過障害早めに受診

上部消化管出血では、吐血や黒色便が代表的ですが、出血量が多いと赤い血便となることもあります。黒色便や吐血にふらつき、息苦しさ、意識の変化を伴う場合は、通常の外来を待たず救急受診を検討してください。

十二指腸潰瘍の検査・診断の流れ

診断の中心は胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)です。口から細い内視鏡を入れ、胃と十二指腸を直接観察します。潰瘍の位置や出血の有無を確認でき、出血していれば内視鏡的な止血処置を行う場合があります。

必要に応じて血液検査で貧血や炎症も調べます。潰瘍性病変では悪性病変との鑑別のため組織検査を行うことがあり、十二指腸でも形が典型的でなければ追加検査を検討します。

ピロリ菌検査には、胃カメラで組織を採る方法のほか、尿素呼気試験、血中抗体検査などがあります。胃酸を抑える薬や抗菌薬の影響で結果が不正確になることがあるため、検査前の薬の扱いは医師が判断します。お薬手帳を持参し、自己判断で服用を止めないでください。

ピロリ菌を除菌した後は、治療が成功したかを確認することが重要です。日本のガイドラインでは、原則として治療終了から少なくとも4週間を空け、尿素呼気試験で判定します。検査前に胃酸分泌抑制薬を休む必要がある場合もあるため、具体的な時期は主治医の指示に従います。

治療法|薬物療法から生活習慣の改善まで

原因に合わせた薬物療法

潰瘍を治す基本は、ボノプラザンなどのP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)やPPI(プロトンポンプ阻害薬)で胃酸の作用を抑える治療です。使用する薬、服用期間は、潰瘍の深さ、出血の有無、原因、併用薬によって決定します。痛みが改善しても、自己判断で中断しないことが大切です。

ピロリ菌陽性なら、胃酸を抑える薬と抗菌薬を組み合わせて除菌します。NSAIDsが原因と考えられる場合は、中止や変更が可能かを処方医と検討することが必要です。継続が必要な場合は、潰瘍治療薬や再発予防薬を併用することがあります。※低用量アスピリンは心臓・脳血管の病気を防ぐ目的で使われるため、自己判断での無断中止は避けてください。

手術は通常の第一選択ではありません。ただし、内視鏡治療や血管内治療でも出血を止められない場合、穿孔、強い狭窄による通過障害などでは手術が必要になることがあります。

特定の食事療法だけで十二指腸潰瘍が治るわけではなく、厳しい食事制限も一般には必要ありません。食べると痛む物は個人差があるため、症状が強い間は、香辛料の多い料理、濃いコーヒー、熱すぎる飲食物、アルコールなど、自分の症状を悪化させる刺激を控えます。

禁煙は潰瘍の治癒と再発予防のために重要です。大量の飲酒を避け、無理のない範囲で睡眠、休養、食事のリズムを整えましょう。ストレスへの対処は症状の軽減に役立つ可能性がありますが、ピロリ菌感染や薬の影響があれば、それぞれの原因に対する治療が必要です。

日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。
十二指腸潰瘍をはじめとする消化器のトラブルに対応しています。

当クリニックの特徴

  • 消化器専門医による診療
    がん専門病院での経験を持つ内視鏡専門医が、丁寧に診察いたします

  • 内視鏡検査が可能
    胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます

  • 早朝・土曜・日曜も検査が可能
    平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています

こんな症状があればご相談ください

  • 空腹時や夜間にみぞおちが痛む

  • 食べると痛みが和らぐ

  • 黒い便が出た

  • 吐き気やげっぷが続く

  • 痛み止めを飲み始めてから胃の調子が悪い

お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

よくある質問

ストレスを減らせば十二指腸潰瘍は治りますか?

ストレス軽減で痛みが和らぐことはありますが、それだけで潰瘍が治るとは限りません。ピロリ菌やNSAIDsが関係していれば、除菌や薬の見直し、胃酸を抑える治療が必要です。症状が改善しても、処方薬は医師の指示どおり服用してください。

市販の胃薬で様子を見てもよいですか?

軽い症状が一時的に改善することはありますが、潰瘍の有無や原因は分かりません。みぞおちの痛みが繰り返す、夜中に目が覚める、NSAIDsを服用している、貧血を指摘された場合は消化器内科へ相談してください。黒色便や吐血があれば早急な受診が必要です。

十二指腸潰瘍からがんになりますか?

一般的な十二指腸潰瘍そのものが、がんへ変化することは通常ありません。ただし、症状だけではほかの病気を除外できず、まれな十二指腸の腫瘍や胃の病変が似て見える場合もあります。医師が必要と判断したときは、内視鏡検査で確認します。

医師監修コメントとまとめ

診療現場では、仕事や家庭のストレスが続いたため、原因もストレスだけだと思い、市販薬で長く様子をみていたという相談があります。しかし、問診するとピロリ菌感染やNSAIDsの服用が見つかることもあります。市販の鎮痛薬を「薬」として申告していない方もいるため、商品名まで確認することが大切です。痛み方だけで判断せず、服薬歴、黒色便の有無、症状の持続期間を医師へ伝えることが、適切な診断につながります。

十二指腸潰瘍では、ストレスとの関係を完全に否定することも、主因と決めつけることも適切ではありません。まずピロリ菌とNSAIDsを確認し、胃カメラなどで診断したうえで、原因に合った治療を行います。

出血や穿孔を示す症状がなければ過度に不安になる必要はありませんが、痛みを繰り返す場合は放置せず受診しましょう。

受診案内

腹時や夜間のみぞおちの痛みが続く方、痛み止めや低用量アスピリンを服用中の方、ピロリ菌感染が気になる方は、消化器内科へご相談ください。受診時は、お薬手帳と市販薬の名称が分かるものをお持ちください。黒色便、吐血、突然の激しい腹痛、失神や冷や汗がある場合は、診療時間を待たず救急受診を検討してください。

参考・出典元

[1]Sugimoto M, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for peptic ulcer disease 2026. Journal of Gastroenterology. 2026. PMID: 42635735. DOI: 10.1007/s00535-026-02504-3.

[2]Kanno T, et al. Peptic ulcers after the Great East Japan earthquake and tsunami: possible existence of psychosocial stress ulcers in humans. Journal of Gastroenterology. 2013;48:483-490. PMID: 23053423. DOI: 10.1007/s00535-012-0681-1.

[3]藤城光弘ほか. 非静脈瘤性上部消化管出血における内視鏡診療ガイドライン(第2版). 日本消化器内視鏡学会雑誌. 2024;66:1515-1538. DOI: 10.11280/gee.66.1515.

[4]Isomoto H, et al. Guidelines for the management of Helicobacter pylori infection in Japan: 2024 revised edition. Journal of Gastroenterology. 2026;61:841-862. PMID: 41902905. DOI: 10.1007/s00535-026-02379-4.

[5]National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Eating, Diet, & Nutrition for Peptic Ulcers(Stomach or Duodenal Ulcers). Last reviewed September 2022.

免責事項:本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合や強い症状がある場合は、医療機関へご相談ください。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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