健康診断で肝臓の数値が高いと言われたら

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2026年10月17日

健康診断で肝機能の異常を指摘され、「何か病気があるの?」「お酒を飲まないのになぜ?」と不安になっていませんか?
健康診断の肝機能検査で数値が高くなる原因は、お酒だけではなく、脂肪肝や薬の影響などさまざまです。肝機能に関する健康診断の結果は、今回の数値だけでなく、以前からの変化や生活習慣と合わせて確認します。
この記事では、健康診断で肝機能の数値が高かった方に向けて、結果票の見方、病院へ行くタイミング、日常生活でできることを解説します。まずは結果票を手元に置き、ご自身の数値を確かめてみましょう。

健康診断で肝臓の数値が高いと言われたら

肝機能の異常を指摘されたら、まずは受診の目安を確認

症状がなくても、ALTが30を超えていたら、一度医療機関に相談しましょう。「要受診」「要精密検査」と書かれている場合も、放置しないことが大切です。

結果票の内容・体の変化どうすればよい?
ALTが30 U/Lを超えているかかりつけ医や消化器内科に相談する
「要受診」「要精密検査」と書かれている結果票を持参し、早めに受診する
白目や皮膚が黄色い、発熱を伴う強い腹痛がある再検査の予定を待たず、当日中に受診する

数値だけでなく、症状によっても受診の急ぎ方は変わります。

「少し高いだけ」「症状がない」場合も確認が必要

日本肝臓学会は「奈良宣言2023」で、ALTが30を超えたら、まずかかりつけ医などを受診するよう呼びかけています。これは、症状が出る前に肝臓の病気を見つけるためです。

肝臓は、病気があっても痛みやだるさなどを感じにくい臓器です。体調がよいことと、肝臓に問題がないことは同じではありません。数値が高いからといって、すぐに重い病気と決まるわけではありませんが、原因を確かめておきましょう。

白目が黄色い、発熱と腹痛があるときは早めに受診

白目や皮膚が黄色くなることを「黄疸(おうだん)」といいます。尿が濃い茶色になることもあり、肝臓や、肝臓でつくられる消化液の通り道に異常がある可能性があります。

特に、発熱や寒気を伴ってお腹の右上が強く痛む場合は、早急な治療が必要なことがあります。「次の健診まで待とう」と考えず、当日中に医療機関へ相談してください。

AST・ALT・γ-GTPとは?基準値と数値の見方

AST・ALT・γ-GTPは、肝臓などに異常がないかを調べる手がかりです。まずは、それぞれが何を示すのか、大まかに理解しておきましょう。

検査項目どんな数値?健診で「異常なし」とする目安
AST(GOT)肝臓や筋肉などの細胞が傷つくと上がることがある30 U/L以下
ALT(GPT)主に肝臓の細胞が傷つくと上がる30 U/L以下
γ-GTP(ガンマジーティーピー)飲酒や薬、胆汁の通り道の異常などで上がることがある50 U/L以下

数値の目安は、日本人間ドック・予防医療学会の判定区分に基づきます。検査施設によって基準範囲や判定が異なる場合があるため、ご自身の結果票も確認してください。

数値の高さだけで、病気の重さは決まらない

これらは、肝臓の働きをそのまま点数にしたものではありません。例えば、ALTが基準の2倍だからといって、肝臓の働きが半分になったという意味ではありません。

医師は「どの項目が高いか」「前回からどのくらい変わったか」を見ながら、体調や生活習慣も確認します。ASTは筋肉の影響でも上がるため、肝臓だけに原因があるとは限りません。

また、γ-GTPが高いからといって、お酒が原因と決めつけることもできません。ひとつの数値で自己判断するのではなく、ほかの検査結果と合わせて考えることが大切です。

AST・ALT・γ-GTPが高くなる主な原因

肝臓の数値が上がる原因には、脂肪肝、飲酒、薬の影響、肝炎ウイルスなどがあります。お酒を飲まない方にも起こります。

主な原因体の中で起きていること
脂肪肝肝臓に脂肪がたまっている
アルコールの影響飲酒によって肝臓が傷ついている
薬・サプリメントの影響使用している薬や健康食品などが肝臓に影響している
B型・C型肝炎などウイルスの感染によって肝臓に炎症が起きている
胆石など胆汁という消化液の流れが悪くなっている

このほか、体を守る「免疫」の働きに異常が起き、肝臓や胆汁の通り道が傷つく病気もあります。原因に応じて必要な検査や治療が異なります。

脂肪肝は、お酒を飲まない人にも起こる

脂肪肝とは、肝臓に脂肪がたまった状態です。お酒だけでなく、体重の増加、食べ過ぎ、運動不足などが関係します。血糖値や中性脂肪が高い方も注意が必要です。

「以前より体重が増えた」「甘い飲み物をよく飲む」「仕事中は座っていることが多い」といった生活の変化は、診察の際に伝えておきましょう。肝臓の数値だけでなく、体重や血糖値なども合わせて確認します。

脂肪肝の中には、長く続くうちに肝臓が傷つき、硬くなっていくものもあります。「脂肪がついているだけ」と放置せず、必要な検査や生活習慣の見直しにつなげることが大切です。

女性で、お酒を飲まないのにγ-GTPが高い場合は?

女性でも、まずは脂肪肝や薬の影響などを確認します。飲酒量が少ないという理由だけで、肝臓に問題がないとは判断できません。

また、中年以降の女性には、免疫の働きが関わり、肝臓の中の細い胆汁の通り道が傷つく病気もみられます。初めは症状がなく、採血で見つかることがあります。

γ-GTPが繰り返し高い場合や、体のかゆみなどが続く場合は、「体質だろう」と決めつけずに相談してください。

薬やサプリメントが原因になることもある

病院で処方された薬だけでなく、市販薬や健康食品などが肝臓に影響することがあります。「健康によさそうだから」と飲み始めたものも、診察時に伝えてください。

商品名がわからない場合は、容器やパッケージの写真を見せる方法でも構いません。いつから、どのくらい使っているかも整理しておくと、確認しやすくなります。

ただし、処方薬は自己判断で中止しないでください。中止すると危険な薬もあるため、医師や薬剤師に相談しましょう。

再検査は何科で受ける?どんな検査をする?

まずは、かかりつけ医や消化器内科に相談してください。必要に応じて、詳しい血液検査やお腹のエコー検査を行います。

受診前には、次のものを準備しておくと説明しやすくなります。

  • 今回の健診結果と、過去の検査結果。

  • お薬手帳と、使用中の市販薬・サプリメントの情報。

  • 普段の飲酒量、最近の体重変化、気になる症状のメモ。

再検査は「もう一度数値を測る」だけではない

血液検査では、肝臓の数値を確認するほか、必要に応じてB型・C型肝炎の検査などを追加します。肝炎ウイルスへの感染の有無は、AST・ALTだけでは判断できません。

お腹のエコー検査は、お腹に器具を当てて、肝臓などの様子を画像で見る検査です。肝臓に脂肪がたまっていないか、胆汁の通り道に異常がないかなどを調べます。必要であれば、さらに詳しい検査を受けることもあります。

大切なのは、数値が上がった原因を確認し、その後どうすればよいかを決めることです。受診時には「次はいつ検査を受ければよいですか」と確認しておきましょう。

医師監修コメント

「お酒を飲まないのに?」「少し高いだけなら大丈夫?」と疑問に思ったことは、そのまま診察でお聞かせください。肝臓の数値を確認するときは、飲酒だけでなく、薬や体重の変化、これまでの検査結果も大切な手がかりになります。

今回の結果だけでなく、過去の健診結果もお持ちいただくと、変化を確認しやすくなります。まずは原因を確かめ、ご自身に必要な対応を一緒に考えていきましょう。

肝臓の数値を下げるためにできる生活習慣の見直し

脂肪肝など、生活習慣が関係している場合は、食事・運動・飲酒の見直しが役立ちます。ただし、生活改善だけで対応できない病気もあるため、原因の確認と並行して取り組みましょう。

  • 食事は、甘い飲み物や食べ過ぎを見直す。

  • 運動は、歩く時間を少しずつ増やす。

  • 飲酒は、飲まない日だけでなく、飲む量にも目を向ける。

食事は「何を足すか」より、食べ過ぎを見直す

肝臓のために、特別な食品を買いそろえる必要はありません。まずは毎日の食事や飲み物を振り返ってみましょう。

例えば、甘い飲み物を水や無糖のお茶に替える、大盛りを普通盛りにする、毎日食べているお菓子の量を減らす、といった方法があります。野菜なども取り入れ、食事全体のバランスを整えることが大切です。

肥満を伴う脂肪肝では、体重の5%程度を減らすことが、肝臓の脂肪を減らす目標のひとつになります。体重70kgの方なら、3.5kgが目安です。すべての方に同じ減量が必要なわけではないため、目標は医師と相談してください。

食事を抜いたり、短期間で大幅に体重を落としたりするのではなく、必要な栄養をとりながら、少しずつ取り組みましょう。

運動は、続けやすいことから始める

脂肪肝では、体重が大きく減らなくても、体を動かすことが役立ちます。

例えば、「昼休みに少し歩く」「近くの買い物は徒歩にする」「エレベーターを待つ代わりに、無理のない階数だけ階段を使う」など、生活の中でできることから始めてみてください。

運動を始めたばかりの方は、最初から長時間頑張る必要はありません。体調や体力に合わせ、続けられる方法を選びましょう。

お酒は、休肝日だけでなく飲む量を確認する

お酒を飲まない日をつくっても、ほかの日に多く飲んでいれば、全体の飲酒量は減りません。まずは「何を、どのくらい、週に何日飲むか」を確認しましょう。

厚生労働省の飲酒ガイドラインでは、お酒の量だけでなく、含まれるアルコールの量を把握することが勧められています。同じ缶1本でも、容量や度数によってアルコール量は異なります。

肝臓に異常がある方では、禁酒が必要な場合もあります。「この量までなら大丈夫」と自己判断せず、医師と相談してください。

肝機能と健康診断についてよくある質問

数値が下がった場合も、採血だけで異常がなかった場合も、その後の対応は原因によって変わります。

  • 再検査で正常になっても、通院を終えてよいか確認しましょう。

  • 採血だけでは、わからない肝臓の病気もあります。

  • サプリメントで何とかしようとする前に、原因を調べましょう。

再検査で数値が下がっていました。もう受診しなくてもよいですか?

数値が下がったことはよい変化ですが、それだけで「病気がなくなった」とは判断できません。脂肪肝などでは、数値が正常でも病気が残っていることがあります。

原因の確認が済んでいるか、今後も検査が必要かによって対応が変わります。次の受診や検査が必要か、結果説明の際に確認してください。

肝臓の病気は、健康診断の採血だけでわかりますか?

採血は大切な手がかりですが、すべてがわかるわけではありません。肝臓に脂肪がたまっているかなどを調べるために、お腹のエコー検査を追加する場合があります。

どんな検査が必要かは、これまでの病歴や採血結果などを見て判断します。全員が同じ検査を受けるわけではありません。

市販のサプリメントや健康食品で数値を下げられますか?

自己判断でサプリメントを追加することは勧められません。原因に合った対応が必要であり、健康食品などが肝臓に悪影響を与える場合もあります。

「天然成分だから安心」「肝臓によいと書いてあるから大丈夫」とは限りません。使用中のものや、これから飲もうと考えているものがあれば、医師や薬剤師に相談してください。

健康診断で肝臓の数値を指摘された方へ

日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックでは、消化器内科の診療を行っています。「数値が高いといわれたけれど、どうすればよいかわからない」「再検査について相談したい」という方は、健診結果を持参のうえ、ご相談ください。ご予約や診療日時は、公式サイトでご確認いただけます。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

【参考・出典元】

  1. 日本肝臓学会「奈良宣言2023」一般向け解説。ALTが30を超えた場合の受診勧奨について。日本肝臓学会

  2. 日本人間ドック・予防医療学会「判定区分(2026年4月1日改定)」。AST・ALT・γ-GTPの健診判定について。人間ドック学会

  3. 米国肝臓病学会(AASLD)「肝酵素高値への対応」に関する解説。検査値の意味、原因、初期検査について。AASLD

  4. 英国消化器病学会(BSG)「肝臓の血液検査異常の管理に関するガイドライン」。結果の解釈と再検査について。イギリス胃腸病学会

  5. 日本消化器病学会「MASLD診療ガイドライン」関連公開資料。脂肪肝に対する生活習慣改善と減量目標について。日本消化器病学会

  6. 米国国立衛生研究所(NIH)・国立医学図書館の患者向け資料。脂肪肝の検査・治療・食事、胆石の注意症状、γ-GTP検査について。糖尿病・消化器・腎疾患研究所

  7. 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」。飲酒量の把握について。厚生労働省

  8. 厚生労働省・医薬品医療機器総合機構(PMDA)「重篤副作用疾患別対応マニュアル:薬物性肝障害」患者向け資料。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

  9. 難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班「原発性胆汁性胆管炎」一般向け解説。難病情報センター掲載。難病情報センター

【免責事項】

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断に代わるものではありません。検査結果の判断や治療については、医療機関にご相談ください。

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記事監修

院長 石岡 充彬

院長 石岡 充彬

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

2011年秋田大学卒業。2018年より国内随一の内視鏡治療件数を誇るがん研有明病院の内視鏡診療部にて研鑽を積み、2021年同院健診センター・下部消化管内科兼任副医長。都内最大手内視鏡クリニックの院長職を経て、2024年、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

 

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