2026年2月24日
刺身を食べた後、急な腹痛に襲われていませんか?
それはアニサキスが原因かもしれません。「病院に行く時間がない」「少し様子を見たい」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、アニサキス症を放置すると、症状が悪化したり、まれに重篤な合併症を引き起こしたりすることがあります。
本記事では、アニサキスで病院に行かない場合に起こりうること、自然治癒の可能性、そして病院に行けないときの対処法について、消化器専門医が解説します。

アニサキスについて
アニサキスは魚介類に寄生する寄生虫です。
長さ2〜3センチメートル、幅0.5〜1ミリメートル程度で、白い糸のような見た目をしています。

アニサキス症とは
アニサキスが胃や腸の粘膜に刺入することで起こる病気です。
主な症状は以下の通りです。
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激しい腹痛(みぞおちや上腹部)
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吐き気、嘔吐
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まれに蕁麻疹やアレルギー症状
アニサキスが寄生する魚介類
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サバ、アジ、イワシ、サンマ、イカ、サケ、カツオ、タラなど
これらを生や加熱不十分な状態で食べることで、体内に侵入します。
アニサキスは本来、イルカやクジラなどの海洋哺乳類を終宿主とする寄生虫です。人の体内では長期間は生存できず、数日〜1週間程度で死滅すると考えられていますが、個体差があります。日本では年間数千件以上の報告があり、食中毒の中でも発生件数が多い疾患です[厚労省 食中毒統計]
アニサキスで病院に行かないとどうなる?
軽症では自然軽快することもありますが、痛みは数時間〜数日持続することがあります。
ただし、以下のリスクがあります。
激しい痛みが数日続く
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虫体が刺入している間、強い痛みが持続します
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痛みには波があるが数日間我慢が必要
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日常生活に支障をきたすことが多い
(注:数日間必ず続くわけではなく個人差あり)
まれに重篤な状態になる
多くは胃アニサキス症で済みますが、まれに以下の状態になります。
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腸アニサキス症
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消化管外アニサキス症
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外科的治療が必要となる例も報告あり
強いアレルギー反応が出ることも
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蕁麻疹
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呼吸困難
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まれに命に関わる状態
症状が出た場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。
放置した場合に起こりうる合併症・リスク
アニサキス症を放置すると、まれに重篤な合併症を引き起こすことがあります。
腸閉塞・イレウス
腸アニサキス症が悪化すると、腸閉塞やイレウスを起こすことがあります。
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腸の内容物が通過できなくなる
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激しい腹痛、嘔吐、お腹の張り
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外科的治療(入院や手術)が必要になることも
穿孔(胃や腸に穴が開く)
アニサキスが胃や腸の壁を破ってしまうことがあります。
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激しい腹痛、発熱
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腹膜炎を引き起こす
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緊急手術が必要
消化管外アニサキス症
アニサキスが消化管を突き破り、腹腔内に移動することがあります。非常にまれですが、重症化しやすいです。
アナフィラキシーショック
強いアレルギー反応が起こると、命に関わる状態になります。
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全身の蕁麻疹
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呼吸困難、血圧低下
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意識障害
これらの合併症は放置すると危険です。症状が出たら早めに医療機関を受診しましょう。
アニサキスは自然治癒する?体内での寿命と経過
アニサキスの寿命
アニサキスは人間の体内では長く生きられません。多くは数日以内に虫体が死滅し、炎症が軽快します。死滅後は体外に排出されますが、必ずしも自然治癒を保証するものではありません。
自然治癒する可能性例
症状が軽い場合、自然に治まることもあります。
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無症状のケース(健康診断で偶然発見されることも)
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軽症腹痛のみ(全員が激しい痛みを伴うわけではなく個人差あり)
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胃の壁に刺さらずに通過する(気づかないうちに排出される)
軽症のケース
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軽い腹痛程度で済む
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1週間ほどで症状が消える
自然経過の問題点
アニサキスが死滅するまでの約1週間程度、痛みが長く続く場合あります(症状の出方には個人差が大きいです)。
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アニサキスに噛まれても症状が出ない人もいる
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過去にアニサキス症になった人は症状が強く出やすい
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アレルギー体質の人は注意が必要
内視鏡摘除により速やかに症状が改善することが多いです。数日間我慢するより、早めに受診することをおすすめします。
病院に行けないときの応急処置・やってはいけないこと
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まず安静にする
横になって楽な姿勢で安静にしましょう。体力を温存することが大切です。
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食事は控える
病院で内視鏡検査を受ける可能性があるため、飲食は控えてください。
やってはいけないこと
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市販鎮痛薬は診断を遅らせる可能性があり推奨されません(禁忌ではないが注意)
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無理に吐こうとする
これらはあくまで一時的な対処法です。できるだけ早く医療機関を受診してください。
何科を受診すべき?
消化器内科が第一選択
アニサキス症の診断と治療には、胃カメラ検査が必要です。
消化器内科では、以下の対応が可能です。
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胃カメラ検査でアニサキスを確認
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その場で虫体を除去
内科や救急外来でも対応可能
夜間や休日で消化器内科が受診できない場合は、救急外来でも対応可能な場合もあります。(ただし、内視鏡医がいない場合は即日の胃カメラ検査や対応ができない場合もあります。その場合は対症療法を行い、後日消化器内科を受診しましょう)。
受診時に伝えること
医師に以下の情報を伝えましょう。
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いつ何を食べたか(刺身、寿司など)
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いつから症状が出たか
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どのような症状か(腹痛、吐き気など)
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最後に食事をとった時刻
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既往症や常用薬
これらの情報が診断に役立ちます。
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。内視鏡対応時間内の胃アニサキス症は全例即日対応しております。
当クリニックの特徴
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消化器専門医による診療
日本消化器病学会専門医が、丁寧に診察いたします。 -
内視鏡検査が可能
胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます。 -
土曜日・日曜日も診療
平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています。
こんな症状があればご相談ください
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生魚を食べた後の激しい腹痛
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吐き気や嘔吐が続く
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みぞおちに強い痛みがある
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波のある腹痛が数時間続く
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アニサキス症が心配
お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
詳しくは公式サイトをご覧ください。まとめ
アニサキス症を放置すると、激しい痛みが数日間続く場合があります。アニサキスは数日〜1週間程度で死滅すると考えられていて、軽症なら自然に治まることもありますが、まれに腸閉塞や腸穿孔などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
消化器内科では胃カメラで虫体を確認し、その場で除去できます。症状が出た場合は早めの受診をおすすめします。
受診が難しい状況は、安静にして飲食を最小限に抑えましょう。症状でお困りの際は、お気軽に当クリニックにご相談ください。
よくある質問
自然に痛みが完全に治まり、その後も症状が出なければ「必須」ではありません。ただし、腹痛の再発や発熱・嘔吐、蕁麻疹/息苦しさ、黒色便・吐血・体重減少・貧血がある場合は早めに受診してください。
症状によります。典型的な「胃アニサキス症」で、痛みが我慢できれば、朝に消化器内科(内視鏡可能な医療機関)受診でもよいことがあります。いっぽう、激しい腹痛や呼吸苦/全身じんましんなどがあれば夜間でも救急受診してください。
目安は「食後1時間〜12時間以内」。多いのは胃タイプで“12時間以内”にみぞおちの激痛・吐き気が出ます。一方、腸タイプは十数時間以降〜数日後に下腹部痛が出ることがあります。刺身後の腹痛が必ずアニサキスであるとは限らず、急性胃腸炎など別の原因もあります。
そういう場合もあります。アニサキスに対して体がアレルギー反応を起こしやすくなることがあり、次回に蕁麻疹などが出やすくなったり、まれに強いアレルギー反応(アナフィラキシー)につながることがあります。一方で、必ず強くなるとは限りません。
一度感染した方は、次回アレルギー反応が強く出る可能性があります。生魚を食べる際は十分注意し、症状が出たらすぐに受診してください。完全に避ける必要はありませんが、リスクは高まります。



