2026年4月07日
「胃カメラは鼻からと口から、どちらが楽ですか?」これは、外来でよくいただくご質問のひとつです。胃カメラには「経鼻内視鏡(鼻から行う方法)」と「経口内視鏡(口から行う方法)」の2種類があり、それぞれ特徴が大きく異なります。嘔吐反射の強さや鼻腔の形状、鎮静剤の使用可否、観察だけでよいのか、生検などの処置が必要になりそうかによって、向いている方の条件も変わります。向いている方の条件も変わります。「どちらを選べばよいかわからない」という方は、この記事を参考にしてください。

経鼻内視鏡・経口内視鏡とは?それぞれの基本
胃カメラとは、食道・胃・十二指腸をカメラで直接観察する検査です。
スコープ(カメラのついた細い管)を挿入する場所によって、2種類に分かれます。
経鼻内視鏡(鼻から入れる方法)
鼻からスコープを通す方法です。
スコープの太さは約5〜6mmと細く、鼻腔・喉を通って食道・胃・十二指腸を観察します。
鼻の中に局所麻酔を使用してから行います。
経口内視鏡(口から入れる方法)
口からスコープを通す、従来からある標準的な方法です。
スコープの太さは約8〜13mmと太い分、画質が高精細です。
観察だけでなく、生検や止血などの各種処置にも対応しやすい特徴があります。
鼻からの胃カメラのメリット・デメリット
経鼻内視鏡には、スコープが細いことによる独自のメリットがあります。
一方で、注意すべきデメリットもあります。
メリット
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えずきが起こりにくい
舌の根元を通らないため、嘔吐反射が抑えられます。 -
検査中に医師と会話ができる
口がふさがらないため、気になることをその場で伝えられます。 -
鎮静剤なしでも受けやすい
検査後すぐに帰宅・運転も可能です。仕事前に受けたい方にも向いています。
デメリット
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画質がやや劣る・拡大観察など一部の機能で制限があることがある
旧世代の経鼻内視鏡では画質や解像度が劣るとされてきましたが、近年は改善しています。ただし、現時点でも拡大機能が装備されていないなど、病変の詳細評価で経口に利点がある場面があります。 -
一部処置が行いにくい
細径のため、使える処置具に制限があります。 -
鼻腔が狭い方には不向きなことがある
鼻中隔弯曲、手術歴、強い鼻炎などでは通過しにくいことがあります。 -
鼻出血が起こることがある
鼻の粘膜への刺激で、出血する場合があります。
口からの胃カメラのメリット・デメリット
経口内視鏡は、スコープが太い分だけ性能面で優れています。
鎮静剤(うとうとする薬)を使うことで、えずきやつらさを大きく和らげることができます。
メリット
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画質が高精細
病変精査など詳細評価が必要な場面で用いるのは経口内視鏡です。 -
処置の幅が広い
生検・止血処置など、さまざまな対応ができます。 -
鎮静剤を使えばほぼ眠った状態で受けられる
検査中のつらさや記憶がほとんど残らない、という方も多いです。不安が強い方、以前つらかった方では苦痛軽減が期待できます。
デメリット
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えずきが出やすい
舌の根元を通るため、嘔吐反射が起こりやすいです。ただし適正な鎮静剤使用で抑えることが可能です。 -
鎮静剤を使った後は運転できない
検査当日の車・バイク・自転車の運転はできません。 -
院内で回復を待つ必要がある
鎮静剤の効果が抜けるまで、30分〜1時間程度院内で十分にお休みいただきます。
鼻から・口からどちらを選ぶべき?向いている人の特徴
どちらが合うかは、体の状態や検査の目的によって異なります。
以下を目安に、受診時に担当医と相談して決めましょう。

経鼻内視鏡が向いている方
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以前の胃カメラでえずきがひどかった方
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鎮静剤を使いたくない方(車で来院予定・授乳中など)
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検査後すぐに仕事や運転に戻りたい方
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鼻腔が広く、鼻の手術歴がない方
経口内視鏡が向いている方
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鼻腔が狭い・鼻の手術歴がある方
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より精密な検査を希望する方
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生検や処置が必要と判断された方
当院では経口内視鏡を基本としております
当院では経鼻内視鏡は行っておらず、細径の経口内視鏡を用いて、観察性と苦痛軽減の両立を目指した胃カメラ検査を行っています。
その理由は、より安定した観察性と処置性を確保しながら、患者様の負担軽減にも配慮した検査を行いたいと考えているためです。
口から入れる内視鏡は、従来、経鼻内視鏡より太めの機種が多く、挿入時の「オエッ」というつらさの一因になってきました。一方で、鼻から入れる内視鏡は細径で受けやすい反面、鼻腔の狭さや鼻出血のリスクがあり、鼻の状態によっては使用できないこともあります。
当院でメイン機種として採用している「EG-840TP」は、外径7.9mmの細径でありながら、3.2mmの処置具チャンネルと送水機能を備えた上部消化管用スコープです。細さによる挿入時の負担軽減に配慮しつつ、処置性も確保しやすい設計で、経口内視鏡としての観察性・処置性と、細径スコープの負担軽減の両立を目指しやすい機種といえます。
そのため当院では、「口からの検査でしっかり観察したいが、できるだけ負担も抑えたい」という方に適した選択肢の一つとして、この機種を活用しています。さらに、必要に応じて鎮静薬を併用することで、検査中の苦痛や不安の軽減が期待できます。なお、鎮静薬には苦痛軽減などの利点がある一方で、呼吸抑制、血圧低下、健忘、検査当日の車・バイク・自転車の運転ができないなどの注意点もあるため、体調やご予定を確認しながら適応を判断します。
また、咽頭がん・食道がん・胃がんのリスクが高い方や、より詳細な粘膜評価が必要な方には、拡大観察機能を備えたスコープを使い分けることがあります。検査方法や使用機種は、症状、既往歴、嘔吐反射の強さ、鼻腔の状態、病変の疑いなどを踏まえて、患者様ごとにご提案します。
鎮静剤を使った経口内視鏡が向いている人の特徴
鎮静剤とは、うとうとした状態になる薬のことです。
口からの胃カメラに鎮静剤を使うことで、検査中のつらさや不安を大きく和らげることができます。
当院では、体質や体の状態に合わせて薬の種類・量を調整しています。
こんな方に特におすすめです
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胃カメラが怖い・不安が強い方
ほとんど眠ったような状態で検査が終わります。 -
以前の胃カメラでえずきがひどかった方
薬でえずきや不快感をしっかり抑えることができます。 -
しっかり精密に調べたい方
口からのカメラは画質が高く、組織の採取にも対応できます。
鎮静剤を使えない・注意が必要な方
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検査後に車・バイクを運転する予定がある方
薬が残るため、当日の運転はできません。公共交通機関でお越しください。 -
妊娠中・妊娠の可能性がある方
安全のため、原則使用できません。 -
心臓や肺に重い病気がある方
体への影響を慎重に確認する必要があります。
使用できるかどうかは、年齢だけでなく、基礎疾患、内服薬、全身状態を含めて個別に判断します。
日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。胃カメラ検査をはじめとする消化器のトラブルに対応しています。
当クリニックの特徴
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消化器専門医による診療
日本消化器病学会専門医が、丁寧に診察いたします
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内視鏡検査が可能
胃カメラや大腸カメラなど、精密な検査を行うことができます
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土曜日・日曜日も診療
平日お忙しい方も受診しやすい体制を整えています
こんな症状があればご相談ください
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胃の痛みや不快感が続いている
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胸やけや酸っぱいものが込み上げてくる感じがある
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食欲不振・体重の減少が気になる
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健診のバリウム検査で要精密検査と指摘された
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胃カメラが怖くて検査をためらっている
お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
詳しくは公式サイトをご覧ください。よくある質問
一般的には40歳以上で2年に1回が目安です。ただし、ピロリ菌感染歴がある方や、ご家族に胃がんの方がいる場合など、リスクが高い方は1年に1回の検査をお勧めすることがあります。気になる症状がある方は、年齢に関わらずお早めにご相談ください。
鼻炎や花粉症があっても、鼻腔の状態によっては受けられる場合があります。ただし、鼻粘膜の腫れが強い時期や鼻腔が狭い場合は、経鼻内視鏡が難しいことがあります。その場合は口からの検査へ切り替えることがあります(※なお、当院では経鼻内視鏡は行なっておりませんのでご注意ください)。
重要な判断や機械操作を伴う仕事は避けるのが安全です。デスクワークの可否は施設の説明に従ってください。
基本的な保険診療の考え方は大きく変わりませんが、鎮静薬の使用、生検の有無、処置内容などで自己負担額は変わることがあります(※なお、当院では経鼻内視鏡は行なっておりません)。
初めての方には、鎮静剤を使った口からの胃カメラをお勧めします。ほとんど眠ったような状態で検査が終わるため、不安や緊張を感じにくく、精密な観察も可能です。お気軽にご相談ください。